9年目のマイナーチェンジを行ったプレミオ/アリオン
コロナの後継モデルに相当するプレミオ/アリオンが9年目のマイナーチェンジを行った。トヨタはエスティマで10年目のマイナーチェンジするなど、昔のクルマを復活させる動きが出ている。フルモデルチェンジをさせるより投資効率が良いということなんだろう。実際、エスティマはトヨタの予想を大きく超える反響があったそうな。果たして今回は?まず変更の内容から。手法を見ると驚くほどエスティマに似ている。すなわちフロントを中心としたデザインの大幅なイメージチェンジと、低コストタイプの自動ブレーキの設定、そしてインテリアの変更だ。ほぼ同じ装備内容のグレードと比べ、マイナーチェンジ前から10万円程度の値上げを行っているのもエスティマ同様である。
大幅なデザイン変更は“やりすぎ”か
詳しく分析してみたい。フロントのデザイン変更だけれど、この9年間でトヨタの方向性が大きく変わった。アウディの成功からヒントを得たと言われる、上下方向に大きな開口部持つグリルを積極的に採用。クラウンで大きな拒絶反応が出なかったため「肯定された」という判断になったのかもしれない。写真の通り小さいクラウンのような雰囲気。ただプレミオとアリオンの車格を考えれば、明らかに「やりすぎ」だと思う。車格以上に「エラそうな顔」を持たせたクルマで成功した例はほとんど無い。本家アウディも新型A4でフロントグリルのサイズを縮小してきたほど。エスティマのイメージチェンジは新しさを感じさせたものの、少しばかり厳しいかな、と思う。
新エスティマと同じく『セーフティセンスC』を採用
自動ブレーキだけれど、これまたエスティマと同じく安価な方の『セーフティセンスC』(赤外線レーザー+カメラ)を採用してきた。トヨタは新世代の自動ブレーキ技術を発表した際に「プリウス以上の車格はミリ波レーダー+カメラのセーフティセンスPを使う」と言っていたのだけれど、なぜか安価な方を連発している。おそらくレーダーより赤外線の方が容易にマッチング出来るのだと思う。加えてレーダーを使うタイプも、夜間は歩行者を感知出来ない。だったら高価なレーダーでなく赤外線式の方がリーズナブルという判断なのだろう。ユーザーからすると、付いてないよりずっと好ましいこと(後進時の飛び出し制御は全グレードに標準装備)。
同価格帯のライバルは「インプレッサG4」。性能差をどう考えるか?
値上げ後の価格は、1500ccエンジンを搭載するベースグレードの『A15』にオプションの自動ブレーキ付けて195万円。ここまで出すと、プレミオ/アリオンとほとんど同じボディサイズのスバル・インプレッサG4という魅力的なライバルより高くなってしまう。世界最高性能持つアイサイト3を装備するグレードが買えてしまう。参考までに性能差を書いておくと、停止車両に対し自動停止出来る速度はプレミオ/アリオンが30km/h。インプレッサ50km/h(実力はそれぞれプラス10km/h程度)。前者だと歩行者を感知出来ないのに対し、後者なら夜間を含めて感知して自動ブレーキ制御をする。また、停止まで含む先行車追随クルズコントロールもインプレッサにしか付かない。
購入を考えているならインプレッサG4とじっくり比べてみたらいいだろう。
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