西高東低。貯蓄額TOPは近畿圏で2085万円!
総務省の『家計調査(2015年)』では平均貯蓄額は1805万円と2002年以降の調査では最高額となりました。こうした平均値は、一部の富裕層や首都圏などの都市部のデータによって引き上げられる傾向にあります。しかし、地域別、主要な都市別で見ていくと、必ずしも、そうとは言い切れません。集計世帯数が6000強なので、各都市別にするとサンプル数が少なくなっているため、あくまでも参考値ということになりますが、意外な結果が見えてきます。
まず、大きなくくりである地域別でみると、平均貯蓄額のトップは近畿圏の2085万円、次いで東海圏の2022万円と続き、関東圏は3位の1971万円という結果になりました。平均負債額が最も多いのが関東圏で597万円。次いで東海圏の529万円。3位は四国圏の496万円。
貯蓄額から負債額を差し引いた純貯蓄額で見ると、トップは近畿圏の1605万円ですが、2位は東海圏の1493万円。3位には負債額の少ない北陸圏が1447万円となっています。貯蓄倍率(年収に対する貯蓄額)は、やはり近畿圏と東海圏が3.4倍、3.3倍となっています。
東京都だけに限れば違う結果になりますが、必ずしも首都圏が貯蓄額トップというわけではなく、実際には東海・近畿は、貯蓄意欲が高い傾向にある、とは言えそうです。
ちなみに、地域別では「沖縄」だけが単独でデータが出されています。常に、年収が全国ワースト1位、2位と言われていますが、貯蓄倍率も1.2倍と低く、さらに、負債が年収の割には高い点が目立ちます。純貯蓄額では109万円ですから、地域特性で片付けてしまえない、深刻な問題だと言えるでしょう。
勤労者世帯では、どうでしょうか。
勤労者世帯の平均貯蓄額は1309万円でした。地域別では、やはり近畿圏がトップで1600万円。次いで、関東圏が1467万円で勤労者世帯では2位。中国圏が1347万円で3位にランクインしました。平均負債額は、関東圏が898万円でトップ。次いで、東海圏の813万円、近畿圏の762万円となります。
純貯蓄額では、全世帯と同様に、近畿圏がトップで838万円。次いで、中国圏が773万円、北陸圏が711万円となります。
年収では関東圏がトップですが、収入の多寡で貯蓄額が決まるというわけではなく、負債を減らす、できるだけ貯蓄する、という意識の高い近畿圏が「お金とシビアに付き合っている」と言えそうです。
主要都市別の貯蓄額では、奈良市がトップの2816万円!
『家計調査』では、主要な都市、東京都区部の計52の貯蓄データも公表されています。1都市のサンプル数がさらに少なくなるので、あくまでも参考値ではありますが、このデータでも意外な結果が出ています。平均貯蓄額が2000万円以上の都市をピックアップしたのが下の表です。二人以上世帯の平均貯蓄額が1805万円なのに対して、トップの奈良市は1000万円以上多い、2816万円という驚きの結果となっています。負債も少なく、結果的には純貯蓄額も2434万円と群を抜いています。貯蓄額では2位に東京都区部が入っていますが、純貯蓄額では神戸市が1979万円で2位という結果。貯蓄額2000万円以上の都市では、奈良市、堺市、神戸市、大津市、和歌山市と5つの都市があり、近畿圏全体を引き上げていることがわかります。
近畿圏の主要都市である大阪市の平均貯蓄額は1567万円で31位。京都市は1975万円で13位。また、東海圏の主要都市である名古屋市は1942万円で15位。主要都市より周辺都市での貯蓄額の多さが目立ちますが、主要都市では、収入も多いが消費支出も増えがちであり、住宅購入での持ち出しが多いのかもしれません。
九州圏では北九州市が2022万円とトップですが、その他の市では総じて下位にあり、純貯蓄額は1000万円以下という結果もでています。ちなみに、平均貯蓄額最下位は青森市の666万円(ブービーは那覇市の734万円)で、純貯蓄額も183万円(同、那覇市327万円)となっています。
都市によって、暮らしぶりが大きく異なりますので、いくら貯蓄があれば安心なのか、という正解はありません。現役世代のうちは都市部で収入と貯蓄を増やし、リタイア後に地方で暮らすから消費は減る、そんな考え方もあるでしょう。まずは、自分が今、暮らしている都市の平均データを参考に、お金を貯めることの意味を考えてみてはいかがでしょう。
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