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ビッグタイトルが無くてもスクエニが好調な理由

2016年5月12日、スクウェア・エニックス・ホールディングスは2016年3月期の決算報告を発表しました。内容はというと、売上高が約2,141億円で、前年度比27.5%増。本業の儲けを示す営業利益は260億円で、58.4%増となっています。絶好調のスクウェア・エニックスですが、その背景には収益構造の大きな変化が見られます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

ドラクエ、FFの本編がないのに、増収増益のスクエニ

ドラゴンクエストビルダーズの図

ドラゴンクエストビルダーズなど、スピンオフのスマッシュヒットはありましたが、何百万と売れる本編最新作は発売されていません

2016年5月12日、スクウェア・エニックス・ホールディングスは2016年3月期の決算報告を発表しました。内容はというと、売上高が約2,141億円で、前年度比27.5%増。本業の儲けを示す営業利益は260億円で、58.4%増となっています。58.4%増ってすごいですよね。メチャクチャ儲かっています。

スクウェア・エニックスという企業は、ドラゴンクエストシリーズかファイナルファンタジーシリーズの本編最新作をリリースすると、売り上げが大きく跳ね上がり、それがないと低調になる、という企業でした。

これは、スクウェア・エニックスに限らず、かつてのゲームメーカーには多かれ少なかれ見られた特徴で、人気シリーズタイトルを投入できれば業績があがるけれども、それを開発している間の期間は厳しくなるということが起こっていました。

しかし決算の内容を見てみると、そういった1本のビッグタイトルが牽引しての好調、というわけではどうやらなさそうです。ドラゴンクエストシリーズとファイナルファンタジーシリーズによって、収益の柱を立てているということは変わらないんですが、事業分野別では大きな変化が見られます。

ドラクエとFFを一気に販売した2012年を上回る売り上げ

FINALFANTASY XIII

2009年は2枚看板が大いにゲーム市場を盛り上げた年でした

まず、2016年3月期決算の、売上高約2,141億円というのがどういう数字なのかご説明しておきたいと思います。

これまで、スクウェア・エニックス合併後、もっと最も大きい売上高を記録したのは、2010年3月期決算の、約1,923億円でした。この時何があったのかというと、2009年7月に「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」、2009年12月に「ファイナルファンタジーXIII」を発売していたんですね。スクウェア・エニックスが誇る2大看板タイトルを一気に投入ということで、これまでにない売り上げを記録しました。

ところがです、2015年のスクウェア・エニックスは、ドラゴンクエストシリーズも、ファイナルファンタジーシリーズも、リメイクやスピンオフ作品はあるものの本編最新作は発売していません。にもかかわらず、売上高約2,141億円ということで、2010年3月期の記録を上回っているんですね。これは、ひと昔前であれば考えられなかったことです。

その背景には、収益の主役交代と収益構造の変化がうかがえます。
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