手軽に登れるのに、すごい絶景!
「日本百名山」に選ばれている筑波山は、標高877mと百名山の中では最も標高が低く、ケーブルカーとロープウェーも整備されているので、"手軽に"登れる山として、登山初心者やファミリーにも人気です。筑波山山頂からの眺めは、まさに絶景!
しかも、筑波山は完全な独立峰ではないものの、関東平野にポツンと立っているので、山頂からは、他の山にさえぎられずに地平線まで見渡すことができ、手軽な山とは思えない、壮大な"絶景"を堪能できます。
筑波山に登るなら、あわせて歩きたいのが、江戸時代の旅人も歩いた「つくば道」。筑波山にまつられる筑波山神社の正式な参詣道で、「日本の道100選」にも選ばれています。
アキバから快速で45分!
筑波山へは、昔は常磐線の土浦駅で「筑波鉄道」(1987年廃止)というローカル線に乗り換えて、のんびりと向かったものですが、今は「つくばエクスプレス(TX)」の快速を使えば、秋葉原駅~つくば駅までわずか45分。つくば駅前のバスロータリー(つくばセンター)
「つくば道」を歩くには、駅前のバスロータリー(つくばセンター)から、登山口への直行バスではなく、つくば市が運行するコミュニティバス「つくバス 北部シャトル」に乗り、30分ほどの「筑波交流センター」へ向かいます。
バスに揺られていると、車窓に筑波山の2つの山頂である男体山(標高871m)・女体山(877m)が現れ、それが次第に大きくなってきます。
さて、交流センターに到着し、バス停から筑波高校の角を入ってしばらく歩くと、「北条」という地区の、どこか懐かしい雰囲気の商店街に出ます。
元は呉服店という古民家を改装した『北条ふれあい館』。この辺りの「北条」という地名は、鎌倉や小田原の「北条氏」とは関係ないそうだ
この北条地区は、江戸時代に筑波山参拝の門前町として栄え、今でも店蔵や土蔵などが残り、歴史的な街並みに風情を感じます。
商店街の一角にある、元は呉服店だったという古民家を改装した『北条ふれあい館』は、街の情報発信拠点。その数軒先の角には、高さ3mを超える「つくば道」の道標が立っています。ここからつくば道がスタート。
高さ3mを超える「つくば道」の道標
つくば道は、江戸幕府の三代将軍・徳川家光の時に、筑波山神社(当時は「中禅寺」)のお堂を再建するための資材を運搬する道として整備され、やがて、江戸方面からの参詣者の歩く「参詣道」になったのだそうです。
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■つくば道/つくバス
北条さんぽマップ(つくば市北条の観光情報ポータルサイト)
「つくバス」利用案内
昔の旅人の気分で、つくば道を歩く
さて、つくば道を歩いて行きましょう。味わい深い風景が続く、気持ちの良い散歩道です。今では珍しくなった火の見櫓(ひのみやぐら)や里山の風景、刈り入れ前の穂が風に揺れる田んぼの向こうに見える筑波山などに、思わずシャッターを切りたくなります。
刈り入れ前の穂が風に揺れる田んぼの向こうには、男体山と女体山の2つの山頂が見える
道中で、ぜひ立ち寄って欲しいのが「普門寺」というお寺。鎌倉時代に創建されたという歴史ある寺院で、境内には涼しげに小さな滝が流れ落ち、高台に登れば筑波山がきれいに見えます。
普門寺。休憩用のテーブルには無料で飲めるお茶を置いてくださり、自由に使えるきれいなトイレがあるのも、旅人にはありがたい
普門寺からさらに歩を進め、次第に上り坂がきつくなり始めた頃に、石造りの鳥居が見えてきます。これが、筑波山神社の「一の鳥居(6丁目の鳥居)」で、ここから先は神社の神域。
筑波山神社の一の鳥居(6丁目の鳥居)
かつては、石段が続いていたというこの道も、昭和40年代に舗装され、時折、車も走り抜けていきます。ここまで来れば、筑波山神社までもう少し。神社の手前に、わずかに石段が残されており、往時の様子がしのばれます。
わずかに残る石段と、旧郵便局のレトロな建物が、なんとも味わい深い
神社を参詣し、ケーブルカーで山頂を目指します
筑波山神社にたどり着きました。筑波山神社の社殿
筑波山は古代から神の山として仰がれ、『万葉集』にも筑波山を詠んだ歌が、計25首も納められています。また、江戸時代には、筑波山神社の前身である中禅寺は江戸の鬼門(北東)の護りとして、将軍によって手厚く保護されました。
筑波山ケーブルカー
神社をお参りし、境内を左に抜けるとケーブルカーの乗り場(宮脇駅)があります。また、駅のすぐ近くには、筑波山の複数ある登山コースのひとつ、「御幸ヶ原コース」の登山口があります。
もし、ここまで歩いてきて疲れたなと思ったら、男体山と女体山の2つの山頂をめぐることも考慮して、無理せずケーブルカーを使いましょう。山頂駅までの所要時間は8分ほどです。
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■筑波山神社/筑波観光鉄道(ケーブルカー・ロープウェイ)
筑波山神社ホームページ
筑波観光鉄道ホームページ
男体山・女体山、2つの山頂をめぐります
ケーブルカーを下りるとすぐに、素晴らしい景色が広がる展望台がありますが、まだここは頂上ではありません。道標を見ると、男体山山頂まで300m、女体山山頂まで600mとあります。まずは、男体山山頂を目指しましょう。男体山山頂への道は岩場もあり、何よりも石の表面が滑りやすいので、ゴム底の滑りにくい運動靴などが必須です。
岩場は滑りやすいので、注意!
男体山山頂には小さなお社と、昭和3年に建てられたという古い気象観測所の建物があります。
木々の間から景色は見えるものの、正直、感動するほどの眺望ではありません。ちなみに、「男体山山頂」を示す標識は、お社の後ろにひっそりと立っているので、見逃さないように!
男体山頂上を示す標識
ケーブルカーの山頂駅まで、いったん引き返し、今度は女体山山頂を目指します。
筑波山といえば「ガマの油」が有名ですが、女体山に向かう途中には、江戸時代に永井兵助という人物が、この場所で「ガマの油売り口上」を考案したとされる、「ガマ石」があります。
ガマ石
よく見ると、ガマガエルの頭部にそっくり! 小石を投げて口の部分に入ると願いが叶うとされるので、口の中にはたくさんの小石がたまっていました。
ガマ石から5分ほどで、女体山山頂に到着。ここからの眺めは、まさに絶景!というより表現がありません。
女体山(877m)山頂からの眺めは、まさに絶景!
ほんの狭い岩場に立つと、まさに「頂上を極めた!」気分になります。
冒頭にも書きましたが、筑波山からの眺めがすごいのは、筑波山が関東平野にポツンと立っているので、他の山にさえぎられずに遥かに地平線まで一望できることでしょう。
地平線を眺め、地球が丸いのを実感。湖として日本第二位の面積を誇る「霞ヶ浦」も見えます!
帰りは、女体山を少し下った所からロープウェーが出ており、つつじヶ丘(標高542m)まで6分ほどで下りられます。つつじヶ丘からバスに乗れば、つくば駅(つくばセンター)まで、およそ50分です。
筑波山ロープウェー
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■関東鉄道バス
リンク先の1番乗り場の時刻表をご覧ください。
つくばセンター(つくば駅)発着系統時刻表
つくば道と筑波山の旅、いかがだったでしょうか。ケーブルカーやロープウェイを使えば、とても"手軽"に登山ができ、つくば道から筑波山山頂まで歩き通せば、本格的なハイキングになります。誰と登るかや、その日の体調などによって、様々な歩き方が可能です。
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