お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

35歳貯金200万円、3人目の子も家も欲しいが家計破綻?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、住宅購入と第3子の間で揺れる30代の男性会社員の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 住宅購入すれば教育資金づくりはきびしい

このご相談を拝見して最初に思ったのは「まだ住宅を購入する前で良かった」ということです。現時点でもし購入されていたら、少なくとも3人目のお子さんは資金的にきびしかったと考えています。

簡単に試算してみましょう。現時点で住宅を購入するとすれば、頭金はほぼ用意できません。諸経費(契約コスト、税金、引越し費用など)だけで100万円は見ておいた方がいいため、それを捻出するだけで貯蓄が半減します。

したがって、全額3000万円を金利1.5%(フラット35の融資率9割超のケースを参照)、30年返済(完済65歳)で借り入れたとします。返済額は、ボーナス払いなしで毎月約10万4000円。他にランニングコストとして、一戸建てであれば管理費、修繕費は発生しませんが(本来はそのための自主的な積み立てが必要)、固定資産税として1万円を加算すれば、計11万4000円。住宅コストは現在の家賃を5万円上回ります。その時点で、家計は2万円の赤字となります。

赤字解消として奥様がパートで働いた場合、予定されている月5万円の収入は、赤字補てんと下のお子さんの保育園コストでほぼなくなります。さらに言えば、本来、教育資金づくりに回さなくはていけない毎月の2万5000円がこの時点で消えてしまっています。

ただし、2年後に上のお子さんが小学校に上がるタイミングで購入すれば、それまでかかっていた幼稚園費用を下のお子さんの保育園費用に充てられるので、奥様のパート収入から3万円程度は貯蓄でき、教育資金用の積み立ても継続できます。

ただどちらにしても、3人目のお子さんが生まれる時点で、しばらく奥様は働くことができず、その間、赤字家計に陥ることになります。そして、何より怖いのは、手元の貯蓄が100万円ほどで、なおかつ住宅を購入していれば3000万円のローンを背負ってしまう点。予期せぬ大きな支出が発生すれば貯蓄が底をつくことも考えられますし、これでお子さん3人となれば、十分な教育資金づくりは不可能に近いと言わざるをえません。
 

アドバイス2 ボーナスの半分は貯蓄、パート収入は月8万円を

では、住宅購入と第3子をともに実現は可能でしょうか。ハードルは高いですが、大幅に家計収支を見直していくしかありません。

まず、手を付けるべきはボーナス。まとまった額が支給されていますが、ほとんど貯蓄に回っていません。目標としては、半分は貯蓄する。そのためには、たとえば、帰省を年2回から1回に減らす。あるいは、小遣いを減らす、もしくは毎月の家計から捻出=月の支出を見直す、といった工夫が必要です。冠婚葬祭費も年間20万円の予算取りは、やはり多い気がします。人付き合いも大切ですが、本当に必要なものだけを取捨選択していく必要があると考えてください。

次に収入アップです。ご主人の昇給もありますが、お子さんの成長につれ、生活費も少しずつ増えますので、家計改善は奥様のパート収入が大きなカギを握っています。しかも、目標額をもう少し高めに設定すべきでしょう。できれば、月8万円は目指したいところです。であれば、下のお子さんの保育園費用を差し引いて月5万円前後は世帯収入が上がりますから、今までの貯蓄分を回さなくても住宅コストはほぼカバーできます。
 

アドバイス3 購入場所や価格、時期を再考する

家計を見直していくと同時に、もう一度ライフプランを見詰め直すことも必要です。

住宅について言えば、ご実家がともに遠いということですが、本当に福岡を終の住処として考えていいのか。購入後、不要になったら人に貸せばいいと安易に考えない方が賢明です。購入するからにはずっと住み続けることを前提とすべきです。

福岡で購入するとしても、物件価格をもっと下げることができれば、その分、住宅コストによる家計負担は軽くなります。購入時期を先に延ばすことで、頭金を増やすことも検討してもいいでしょう。

また、第3子を希望されている以上、住宅購入とどちらを優先すべきかもご夫婦で話し合ってください。一度にどちらも、という発想はリスクをともないます。一般には、お子さん優先だと思いますが、そうなると、3人分の教育資金づくりが大きな課題となります。

今のお子さん2名分は、加入されている保険の解約金と現在の毎月の貯蓄分(=児童手当分)でほぼ用意できると思われますが、第3子に関しては、教育費も含めた子育て費用として少なくとも1000万円は新たにかかると考えるべき。児童手当を全額貯蓄できたとしても、残り800万円。ボーナスから年間50万円を貯蓄に回すとことができたとして、今後16年間はそれを充ててちょうど合う計算になります。

逆に言えば、手持ち資金が少ないため、たとえ住宅を購入しなくても、第3子を希望する時点で、奥様に収入がなければ、ボーナスの半分の貯蓄は必要ということになるわけです。

ともあれ、焦って住宅を購入することは避けてください。これからなら、まだまだ家計の建て直しができるはずです。
 

相談者「T」さんから寄せられた感想

貴重なアドバイスに感謝いたします。これまで漠然と不安だなと思っていたことが、具体的な数字をいただくことにより、はっきりとわかるとともに、これからの目標も見えました。まずはボーナスの半分を貯蓄できるように頑張ります。子どもはあきらめたくないですので、住宅購入については、その価格、時期、場所について、夫婦でしっかりと話し合っていきたいと思います。住宅営業マンの「今がチャンスです!大丈夫ですよ!」にはのせられないようにこれからの家族の暮らしをしっかりと考えていきます。本当にありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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