住宅リフォーム/住宅性能向上リフォーム[断熱、結露・湿気対策、防犯]

築39年の一戸建てを耐震補強…優先順位はどうつける?(2ページ目)

築39年の一戸建てのリフォーム中の現場を見学しました。室内の壁や床、天井を解体して、耐震補強工事に着手した段階で見学できましたので、普段見られない壁の内側、床や天井の上下がどうなっているのか、耐震補強はどうやるのか、についてレポートします。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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2階に上がると
シロアリ被害や雨漏りの跡が明らかに

1階から2階に上がってみました。まず、階段の外壁側でシロアリ被害を確認しました。触わると木材がボロボロと崩れる状態です。特に梁と呼ばれる構造を支える太い横材については、梁そのものを新しいものに交換する必要があります。

シロアリは主に土中から床下に侵入して、土台や柱を食い荒らすことが多いので、シロアリ被害は通常は1階部分に多く見られるのですが、この一戸建てでは、外壁から雨水が侵入した時期にシロアリ被害に遭ったのではないかということです。
階段

リフォーム前の階段の壁(写真提供:さくら事務所)

シロアリ被害

梁はボロボロ、壁の黒ずんだところもシロアリに食われた跡

2階に上がると天井も撤去されているので、屋根裏の状態が見えます。屋根は南北に傾斜していますが、北側の屋根裏に雨漏りの跡が見えました。よく見ると、屋根からの漏水で屋根材の下地となる野地板(のじいた)が浮いたり、雨染みができたりして、傷んでいることがわかります。
屋根材

天井を剥がすと屋根材の裏側が見える

雨漏り

よく見ると、屋根の野地板に雨染みや浮きが確認できる

2階の上に屋根裏部屋があります。そちらも見てみました。外壁側にシロアリ被害、天井裏に雨漏りの跡が確認できました。
屋根裏前

リフォーム前の屋根裏部屋(写真提供:さくら事務所)

屋根裏後

解体直後の屋根裏部屋。赤丸がシロアリ被害の箇所(写真提供:さくら事務所)

シロアリ被害

写真の赤丸の部分にシロアリ被害が見られた


リフォームには予算もあるので
優先順位を付けた計画を

この一戸建てを完璧にリフォームするには、屋根の張り替えや外壁の塗り替えなどもする必要がありますが、すべてを実施すると費用は1000万円を超えてしまうのだそうです。そこで、今回のリフォームでは優先順位を付け、部位が絞られています。

最優先したのは、基礎を含む耐震リフォームです。浴室を解体して基礎や壁まで補強する案もありましたが、全体の補強計画のバランスを考えた結果、今回については浴室の解体が見送られました。

雨水やシロアリで腐食した構造部材(土台や柱・梁など)は新しいものに交換します。ただし、シロアリ被害は収まっている(進行していない)こと、雨漏りも収まっている(現時点では雨漏りしていない)こともあって、防腐防蟻処理をするものの、屋根や外壁のリフォームは、台風や大雨の後の状況を確認できる時期まで様子を見ることとなりました。

こうしてリフォーム部位を絞り込んだ結果、今回の総工費は600万円~700万円程度に収まる想定だということです。

○ ○ ○ ○ ○ ○ 
地震の多い日本ですが、住宅の大半は木造の一戸建てです。
特に、築39年といった古い一戸建ての場合、基礎が無筋のコンクリートであったり、木材の軸組みを固定する金物が釘だけであったりというケースも多いといいます。

自分の住む住宅の耐震性に不安があれば、耐震診断を受けて、用意できる予算でどこまで効果的な耐震リフォームができるのかについて、この記事をきっかけに考えていただければと思います。

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