感染症

リウマチ熱とは……症状・原因・治療・後遺症【医師が解説】

【小児科医が解説】「リウマチ熱」は、溶連菌の感染による咽頭扁桃炎によって誘発される自己免疫疾患です。リウマチ熱の症状の多くは自然治癒しますが、心炎の重症度によっては予後が不良になる場合もあります。リウマチ熱によって起こる症状と注意すべき病態、治療・予防方法について、詳しく解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

<目次>

「リウマチ熱」とは

リウマチ熱とは

リウマチ熱の症状の多くは自然に治癒します。溶連菌に対する治療、炎症の抑制、再発の予防がポイントになります


リウマチ熱とは、自己免疫疾患の一つ。A群β溶血性連鎖球菌の感染による咽頭扁桃炎(一般的に「溶連菌感染症」と呼ばれているもの)によって誘発される自己免疫疾患です。

溶連菌に対する免疫力が、溶連菌と誤って、主に自分の脳や心臓、関節、皮膚・皮下組織を攻撃してしまうために起こる病気だと考えられています。これは、溶連菌の成分の一部は、関節、心筋、脳の細胞に似ていることがあるためです。主な症状は全身の関節炎(関節痛)です。リウマチ熱が起こる原因と主な症状、診断基準、治療方法について詳しく解説します。
 

リウマチ熱の病因……溶連菌感染の他、遺伝的なかかりやすさも

溶連菌感染による咽頭扁桃炎のうち、リウマチ熱につながるものは2~3%。一言で溶連菌と言っても、150種類以上の種類があり、この中にリウマチ熱を起こしやすい菌が存在しているのです。

また、遺伝的にリウマチ熱にかかりやすい人もいます。一度、リウマチ熱を発症すると、発症した人のうち30~80%の人が溶連菌による咽頭扁桃炎になります。リウマチ熱は家族内での発症もみられます。
 

リウマチ熱の主な症状……関節痛・発熱・心炎

弁膜

心臓の病気、特に心房と心室の弁が問題になります。

溶連菌感染後に以下のような症状が出てきたら、リウマチ熱の可能性が高くなります。後述しますが、中でもリウマチ熱で特に問題となるのは、関節痛自体ではなく、心臓の病気、心内膜炎を起こしうることです。

■関節炎
関節炎はリウマチ熱の最初の症状で、60~80%に見られます。膝、足首、肘、手首などのいくつかの関節に症状が出ます。寛解と再燃を繰り返しますが、徐々に良くなっていきます。膝や足首の痛みが治まってきたら、今度は肘や手首が痛くなるというように、まるで痛みが移動しているように感じられる「移動関節炎」を特徴とします。

■発熱
関節が炎症を起こすことに伴い、39度前後の高熱が見られます。

■心炎
心臓に炎症が起こり、心臓の動きが悪くなります。子どもでみられやすく、最初の症状として約60~80%みられます。心炎は関節炎が発現した後、1週間以内に起こってくることが多いです。心臓の弁が炎症を起こす心内膜炎によって弁の機能が悪くなると、弁膜症という後遺症が残り、将来的に心臓外科手術が必要になることがあります。 弁膜症で多いのは、左心房と左心室の間の弁で僧帽弁です。

■舞踏病
溶連菌感染後、約2~4か月後に見られる症状で、発現頻度は5~15%です。この症状は女性に多く、顔や手足が不規則に、意識と関係なく動いてしまうため、知らない人が見ると行儀が悪いと誤解されることもあります。無踏病は2~3週間程度で良くなってきます。

■輪状紅斑
輪状紅斑は5~15%程度で見られます。淡い赤色で、細かい線状の湿疹が手や足に輪のような形で現れます。盛り上がりやかゆみもなく、数時間から数日で消えます。

■皮下結節
皮下結節は3%程度で出現し、肘、膝、足、指の関節に見られる円形で硬く、触ると動くしこりです。
 

リウマチ熱の検査法・診断法

上記で説明したような症状に加え、溶連菌の感染が確認されると、リウマチ熱と診断されます。溶連菌の感染は喉の細菌培養検査、検査キットを使用した迅速検査、抗体検査の結果によって証明されます。

培養検査と迅速検査は細菌の存在の有無を判定でき、抗体検査では以前に感染したことがあるか否かを判定できます。後者については、血液検査で溶連菌が産生する物質に対する抗体、抗ストレプトリジンO抗体(ASO)や抗ストレプトキナーゼ抗体(ASK)、抗デオキシリボヌクレアーゼ抗体(ADNaseB)の値を測定します。このASOの値が320IU/ml以上であれば、溶連菌感染があったことが判ります。

リウマチ熱の診断で特に重要になるのは、心炎を発症しているか否かです。心炎の発症有無によって、今後の経過が変わってきます。心雑音が聞かれた場合には、心電図や心臓超音波検査などの検査が必要になります。
 

リウマチ熱の治療法・薬

抗菌薬

抗菌薬を長期間服用する必要があります

リウマチ熱は溶連菌に対する免疫反応によって誘発される疾患です。そのためリウマチ熱の治療は、溶連菌に対する治療、免疫反応によって発現した炎症の抑制、再発の予防の3点になります。

■溶連菌に対する治療
溶連菌に対する治療には、抗菌薬を使用します。ペニシリン系抗菌薬を10日間内服します。ペニシリン系抗菌薬のアレルギーのある人には、マクロライド系抗菌薬が使われますが、マクロライド系は一部の溶連菌に効果のない場合があります。

■炎症の抑制
免疫反応によって発現した炎症の抑制には、アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬、心炎に対しては、副腎皮質ホルモンであるステロイドが使われます。心炎の場合、安静が第一です。また、舞踏病の重症例では、抗けいれん薬が使われる場合があります。

■再発予防
一度、リウマチ熱にかかると、再感染で、リウマチ熱が再燃し、心炎合併の危険性が高くなります。特に最初のリウマチ熱から5年以内に溶連菌に感染するとリウマチ熱になりやすいと言われています。

米国心臓学会では、ペニシリン系抗菌薬を、心炎の合併がない時には5年間もしくは21歳までのいずれか長い期間の方、心炎の合併のある時には10年間もしくは25歳になるまでのいずれか長い期間の方、心炎および弁膜症がある時には、10年間もしくは40歳になるまでのいずれか長い期間の方、服用することを推奨しています。
 

リウマチ熱の予後・後遺症……心炎の重症度により変わる予後

リウマチ熱の症状の多くは自然に治癒します。約60%は一過性です。そのため、予後は大抵最初の心炎の重症度により決まります。心炎の重症化を防ぐために、心炎の早期発見と再発予防が大切なのです。

また、リウマチ熱に似た関節炎の症状だけ見られる病気として、「溶連菌感染後反応性関節炎」があります。この病気は、心臓への合併症が少ないのですが、ゼロではないので、注意が必要です。
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