2015年の新入社員初任給の平均額は?
新入社員はもちろん、就職活動中の学生にとって気になるのが初任給。社会人として初めて受け取るお給料は格別なものでしょう。また、初任給事情は景気や業界の動向がわかるものでもあります。では、最新の初任給事情を日本経済団体連合会が調査した「新規学卒者決定初任給調査結果(2015年3月卒)」からみてみましょう。事務系大卒平均 21万1562円で前年より2000円アップ
学歴別初任給水準(全産業)引上げ額は、前年の初任給からの引上げ金額
学歴別の初任給をみてみると、すべて前年より引上げられており、特に大学院卒(事務系・技術系とも)、大学卒(事務系)では 引上げ額が2,000 円を超えている
出典:日本経済団体連合会「新規学卒者決定初任給調査結果(2015年3月卒)」
全学歴で、前年比 1.0%前後の増加
初任給をどのように決めているかの調査では、一番回答が多かったのが「世間相場」。新入社員は一括採用のため、他の企業動向などをみながら決めているようです。次に「在籍者のバランスや新卒者の職務価値」、「賃金交渉の結果、その配分で決めた」となっています。特に。2015年はベースアップも良い結果がでて、全体の賃金があがったことも初任給アップに影響しているのでしょう。学歴別の前年からの引上げ率も0.77%から1.01%となっており、これも高い水準となっています。高校卒の現業系が0.77%となっていますが、その他は大学卒(事務系)が0.97%などと1%前後となっています。
製造業が好調 大卒事務系で21万2657円
産業別の初任給(大学卒事務系) ( )内の数字は大学卒事務系の全産業平均を 100.0 とした割合
産業別の初任給をみてみると、製造業の平均が高水準だが、製造業の中でも差がでている
出典:日本経済団体連合会「新規学卒者決定初任給調査結果(2015年3月卒)」
全産業平均21万1562円に対して、製造業平均は21万2657円と全体を0.5%上回っています。前年は21万999円でしたから、製造業の好調さは続いています。
トップ3は、石油・石炭製品、新聞・出版・印刷、化学・ゴム
産業別に更に詳しくみてみると、一番高額だった産業は「石油・石炭製品」で24万3058円。全産業平均から約15%増しになります。平均より3万1500円程高くなっており、群を抜いてのトップとなりました。続いて、「新聞・出版・印刷」の22万1755円、「化学・ゴム」の21万7847円となっています。いずれも製造業の産業です。前年の同調査は、この2産業がトップ2でした。実は、前年は「石油・石炭製品」の統計がでておらず(集計企業者数が少数だったため)、統計にものっていませんでした。いずれにしても、これらの業種が初任給がよい業種といえそうです。
ワースト3は、電気・ガス、土木建設、サービス
初任給が低い産業は、「電気・ガス」20万406円、「土木建設」20万8000円、「サービス」20万8362円と全て非製造業となっています。非製造業の全体平均も21万196円と全体から0.6%減と非製造業の低調ぶりがみえます。ただ、「卸売・小売」は、前年は全体平均より低かったのですが、今年は全体より上回っています。このような産業が増えてくると、全体の平均も押し上げてきます。この傾向が続いてほしいものです。
金属工業、繊維・衣服、卸売・小売が前年比2%アップ超え
前年との変化をみてみると、「金属工業」3.0%増、「繊維・衣服」2.7%増、「卸売・小売」2.2%増と2%増を超えている産業が3つありました。反対に前年より初任給が減った産業もあります。「食料品」1.3%減、「サービス」0.3%減となっています。いずれも、一般消費者を相手とした産業です。個人消費があがり、これらの産業が増加すると、全体の伸びも大きくなることでしょう。
初任給の事情をみてきました。初任給は会社や業界の動向だけでなく、人材確保のための数字でもあります。また、初任給が高いからといって、生涯賃金が高いというわけではありません。就活生は、初任給だけを見ることがないようにしてください。