ビタミンDが不足すると糖尿病や高血圧などを招き、心血管に関わる病気のリスクを高めることは以前から指摘されています。今回の発表は、EDも同じ血管の病気であることから、なんらかの関係があるのではないかとして行われた調査結果を踏まえたものです。
心血管の病気でない成人3486人を調査
EDで悩む人にとって他人事でない注目の研究成果は、2015年11月に米国・オーランドで開かれた米国心臓病協会学術集会(AHA2015)で明らかになりました。心臓病は血管との関わりが深いだけに、因果関係のある疾患に照準が合わせられたのです。発表したジョン・ホプキンス大学医学部の医師たちは、2001~2004年に「国民健康栄養調査」(NHANES)という研究プログラムに登録している20歳以上で、心血管の病気でない3,486人を調査しました。
ED発症の有無については口頭での回答で評価。その人のビタミンDが不足しているかどうかは血清ビタミンDという成分が20ng/mL以下であるかないかで判断しました。
生活習慣(病)との因果関係明らかに
米国の調査では、高血圧の人の半数以上がEDであったという結果が明らかに
平均年齢の項目で明らかなように、ED群は非ED群に比べて年齢が高いのが特徴です。
生活習慣に関わる他の項目では、
【過去に喫煙していた】
・ED群=40.3%
・非ED群=2.4%
【糖尿病】
・ED群=21.5%
・非ED群=5.5%
【高血圧】
・ED群=53.7%
・非ED群=27.4%
――という結果でした。
ビタミンD欠乏の改善でEDも改善するかは要研究
統計学の一種である「ロジスティック回帰モデル」という手法で、ビタミンD正常群に対するビタミンD欠乏群のED発症の確率を調べると、「ビタミン欠乏群のED発症リスクが高い=EDになりやすい」ことが分かりました。つまり、ビタミンDが足りていない状態だと、糖尿病や高血圧などの心血管に関わる病気のリスクとは独立してEDの発症リスクを高めることが示されたわけです。
ただし、この研究の発表者は「ビタミンDが不足するとEDが有意に増加する」ことを統計学的に明らかにしたものの、「ビタミンD欠乏を改善すればEDも改善するのかについては、さらなる研究が必要」としています。
ビタミンDは食物と紫外線から
ビタミンDを多く含む食品を意識的に摂るようすることも大切な心がけ
ですから、必要以上に神経質になる必要はありません。ビタミンDに限らず、偏った食生活を改め、規則正しい生活習慣を続ければ、健康な心身を保てるはずです。
参考までに、ビタミンDを多く含む食品には植物性(ビタミンD2)と動物性(ビタミンD3)とがあります。植物性はきのこ類、海藻類など、動物性は魚肉、鶏卵、レバーなどで摂ることができます。
ビタミンD3は日光に当たることによってもつくられます。日光に当たるというと紫外線による皮膚への悪影響を心配する人も多いでしょう。しかし、体内で無理なくビタミンDをつくるには日光浴が有効です。
何事も大切なのはバランスです。紫外線を恐れ過ぎず、普段の生活の中で自然に日光を浴びるように心がければビタミンDがつくられるので、EDになるリスクも減っていくでしょう。
余談ながら、ビタミンD不足が原因でEDになったような場合でもジェネリック商品などのED治療薬で改善が期待できますので、試してみることをお勧めします。
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