ニューヨーク、ロンドン、パリ、約5万円!
2016年4月現在、海外航空券、ツアーは昨今の原油安を受けて全面安の様相を呈しています。特にヨーロッパ、アメリカなどの遠距離路線はお得感が強く(ただし、さらに遠いアフリカや中南米行き航空券は、そこまでの値下がり感はないようです)、主要都市まで税金も入れた往復総額で5万円台の商品が珍しくありません! まだ原油価格が高値で推移していた2014年頃には考えられなかった価格で、まさに片道か?と見まがうほど。バンコク、シンガポールなどのアジア主要都市は2万円台なんて商品もちらほら。もちろんLCC(格安航空会社)利用ではありません。なんだか今すぐ仕事をやめて旅行に行きたくなってしまいます(笑)
なぜ原油安になると格安で海外に行けるのか。それは「燃油サーチャージ」と大きく関わりがあります。最近よく聞く言葉ですが、その意味と仕組みについて簡単におさらいしておきましょう。
旅行者(社)の悩みのタネだった燃油サーチャージ
燃油サーチャージとは特に2001年のアメリカ同時テロ以降、高騰する原油価格によって運賃に転嫁できないコスト負担を、「追加料金」として乗客に負担を求めた制度です。その金額は当然遠距離であるほど高く、また原油価格の推移によって数か月に一度改定されます。2011年から2013年頃には太平洋往復で大体4~5万円くらいでしたが、一方例えば日本航空の場合は、1バレルの平均価格が6000円を下回った場合はサーチャージの徴収はしないことになっています。
2016年3月31日までの日本航空の燃油サーチャージについて(日本航空HP)
安い! と思ったら高い燃油サーチャージが…
顧客だけではなく、矢面に立つ旅行会社にとってもサーチャージは大きな負担でした。また、航空会社によってその金額はまちまちなので、海外での乗り継ぎ便のサーチャージ額などはさらに複雑です。それらを間違いなく顧客に伝えて徴収するのは大変な苦労でした。
ANAとJALの燃油サーチャージがついに無料に!
そういったわけで、2016年4月から日本の大手航空会社でも燃油サーチャージが無料になりました。これは実に2009年以来7年振りのことです。街中の給油所を見ての通り、2014年夏頃から急激に下落し始めた原油価格のあおりを受けて、とうとう1バレル6000円のサーチャージ撤廃ラインを割り込んだのです。もちろん日本の航空会社だけではありません。原油安を背景に海外の多くの航空会社も燃油サーチャージの大幅値下げや撤廃に踏み切っています!
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