「自分には、なにもない」女の人生はリセットしてこそ輝き出す

メディアからの数々の批判にもめげない、逃げない。その心にあるものは?

メディアからの数々の批判にもめげない、逃げない。その心にあるものは?
 

「楽しいですよ、自分で決めて、自分で痛い思いをするのって」

梅宮アンナが一時期、芸能界から姿を消していたのをご存知だろうか? 

出産後に離婚し、愛娘を育て、気づけば30代後半。自立しはじめた娘にも後押しされ、新しい伴侶を求めていた彼女は、人生最大とも言える「本気の恋」をしたという。しかし、その約3年間の恋にピリオドを打つことを余儀なくされた。

「物事がうまくいかないときは周りのせいじゃなく、今いる“ステージ”がいけないんだって思うようにしてるんです。魅力的な人にならないと魅力的な人には出会えないし、やりたい仕事ができないのは、自分のスキルが足りないから。文句や弱音を吐くより、なにか始めてみようって」

しかし、生きがいだった仕事も休業状態。自分には、なにもない。そんな状態で、痛手を乗り越えられたのはどうしてなのか? 

2016年2月11日、「芸能人・梅宮アンナ」は、15年ぶりとなるエッセイを出版した。

“梅宮アンナは生まれ変わりました”

こんな言葉で、彼女の著書は始まる。私、ガイド潮凪は、本著にプロデューサーとして関わった。そこで強く感じたのが、新しい人生を生きるための「リセット」……たくさんの経験をしてきた大人の女性にとって、この言葉は魅力的に響くのではないかということ。

何を「リセット」し、何を「リスタート」すべきか? 一緒に考えてみていただければ幸いである。生まれ変わった梅宮アンナの生き方をモチーフに、人生のリセットについて一緒に画策していきたい。


リセットのために、「自分が一番苦手なことをやろうと思った」

梅宮アンナ流のリセットとは何なのか?

梅宮アンナ流のリセットとは何なのか?


リセットというとなにもかも投げ出すように聞こえるかもしれない。

だが、年代にあった自分の輝かせ方を画策するための前向きなリセットというものがある。努力対象を絞り、レバレッジを効かせるためのリセット。それにより、仕事、恋愛、結婚、交友関係、外見、価値観……つまり、自分自身を磨くための第一歩となる。

「まずは一番苦手で、苦しいものに挑戦してみようと思ったんです。私の場合は、スポーツでしたね。0から1にすることのつらさを上塗りして、新しい体験も上塗りして、生まれ変わろうって思ったんです。それで、トレイルランニング(舗装路以外の山野を走る中長距離走)を始めたら楽しくなって……もちろんキツいですよ、今日も筋肉痛! 私って、ちょっとMなのかな(笑)? でも、そうすると、悩んでた痛みなんて、すっごく小さいもののように思えてくるんですよね」

スポーツをはじめたことで、付き合う交友関係も、友人関係も変わったという。どうやらこのリセットという行為は目に見えない力をも動かすらしい。求める「周波数の人」をグイグイと引き寄せる魔力も身に付く。そして、「なりたかった自分」「やりたい仕事」に近づくことができる。

「よく“夜遊びしてクラブなんかでパーッとストレス解消していそう”なんて言われるけど、全然そんなことないんです。たしかに、20代のころはそういうこともありましたね。でもそのときは、本当の自分じゃなかったなぁって今は思います」

リセットによってできた前向きな空白時間。そこで心の中に埋もれていた本当に好きなものやコトに気付く。そして、与えられた人間関係ではなく、自分が引き寄せた人間関係を大切に大切に育む。これこそ、本当の”リスタート”とも言えるのではないだろうか。


梅宮辰夫という十字架から逃れたくて、「ビル清掃までやった」

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人一倍、自立心が強かったというアンナさん。学生時代はアルバイトに明け暮れたことも。


『でも、梅宮アンナって、梅宮辰夫の娘でしょ。なんだかんだ言って、お金に困ったこともなく、親が敷いた芸能界のレールを歩いているだけでいいわよね!』

メディアの報道により、そのように見られがちな彼女である。しかし、これも虚像でしかなかった。実は学生時代から自分の意思を貫こうと「自立」をテーマに掲げ、そのたびに父との戦いがあったという。

「父は厳しい人だったので、反対されることは多かったです。中高一貫校に通っていたんですが、自分で決めた高校に行きたくて親を説得して編入しました。その高校の卒業旅行で海外に行きたいと行ったら猛反対されて、“そんなのダメだ、金は出さん!”のひと言。だったら自分で稼げばいいんだと思って、初めてのアルバイトに没頭したんです。アイスクリーム屋さんから、ビルの掃除までかけもちして、やっとの思いで得た4万9800円! 今でも忘れませんよ、この数字。あぁ、働くことってこんなに楽しくて自由で、自立するってこんなにうれしいことなんだ、と思いました」

自分で稼いで、自分で道を切り拓ける自由。その喜びに気づいて以来、彼女は経済面で家に頼ることはなかっ た。今も昔も、自分の知恵と労力で稼ぎ、ほしいものを手に入れるまで奔走するのが彼女のやり方だ。

同時期に、モデルのオーディションも受け続けた。

今でこそ主流だが、当時珍しかったハーフモデルということもあり、何十回も不合格を言い渡され、それでも諦めなかった。ついに雑誌『JJ』のカバーモデルの座を射止める。その後の活躍は言うまでもない。


どん底から救ってくれたのは「インスタグラム」での交流

さて、話は現在に戻る。

雑誌のカバー、ワイドショー、映画やドラマなどで名を馳せたTHE 芸能人だった彼女の沈黙。そして、「ゼロからの再出発」。その第一歩に選んだのは、当時流行しはじめたSNSアプリ「インスタグラム」だった。なぜインスタグラムによるライフスタイル発信がファーストアクションになったのだろうか?

長女・ももかさんとの飾らない写真も多い。

長女・ももかさんとの飾らない写真。写真1枚で、2人の関係性が伝わる。/梅宮アンナインスタグラムより


「娘に、“ママもやってみれば?”って言われたのがきっかけなんです。やってみたら、“面白い!”ってピッタリはまりました。

私って誤解されやすいタイプでしょ。でも、インスタは写真メインだから、感性に共感してくれる人だけが集まってくる場所だ、と思ったんです。私自身も好きなものの写真を撮りためていると、自分の好きなものってこれなんだ……って、改めて向き合えた。それがまたフォロワーの方たちとの交流につながる。それで、インスタグラムを発信することで、“今の、本当の自分”を伝えてみようと思いました。

そうしたら、“JJ時代からアンナちゃんが好き”と言ってくれる、同世代のフォロワーさんがコメントをくれたりして、どんどん素の自分を出せるようになっていって……」


コメントの言葉尻を取られ、2世タレントのフィルターを通して見られる――世間から誤解されやすかった今までの芸能人生とは、間逆のアプローチだった。

みなさんが実践するなら、インスタグラム、ツイッター、Facebook……何でも良い。大切なのは、心の中身を映し出した写真やメッセージを発信するということ。やがてこの発信の継続が、新しい世界との接点を引き寄せる。その周波数に共感してくれる新しい人々との、やわらかな交流が自然発生する。

写真左は、トレイルラン完走の瞬間。写真右は、バスルームのコスメ収納を紹介。プチプラコスメも多く、コメントで品番や色番を答える場面も。

写真左は、トレイルラン完走の瞬間。写真右は、バスルームのコスメ収納を紹介。プチプラコスメも多く、コメントで品番や色番を答える場面も。/梅宮アンナインスタグラムより


「自分が本当に好きなものに気づけると、何倍も幸せになれます! その本当に好きなものに向き合おうとする時間が、インスタグラムをやることでできたのかもしれない」


実際、その自己発信により“本当に好きなもの”も増えていったという。

写真上は、撮影当日の投稿。AllAoutの会議室での写真を公開。写真下は、約10ヶ月前に行われた、著書の初回打ち合わせの様子。ファンからは喜びの声が寄せられた。

写真上は、撮影当日の投稿。AllAboutの会議室での写真を公開。写真下は、約10ヶ月前に行われた、著書の初回打ち合わせの様子。ファンからは喜びの声が寄せられた。/梅宮アンナインスタグラムより


「インスタグラムを通じて、芸能界以外の方とも交流できるようになって世界が広がりましたね。同じ感性の人が集まっているから、みんな自然体でいられる。それこそ、“こないだアップしていたレストランの場所を教えて!”“コスメの品番を教えて!”と質問されて答えたりすることもあります。同じ感性でつながって交流できる場所っていいですよね。それが新しい仕事につながっていったりもしました」


「子育て放棄、母親失格」と報道された、母親・梅宮アンナの真実

42歳、女性。等身大の梅宮アンナ。

母であり、オンナである、等身大の梅宮アンナとは?


彼女は、10代の娘の母である。リセットにより、子育てのスタイルは変わったのか? この問いに関する答えは、「ノー」である。もちろん良い意味で。

「批判を受けるとやっぱりすごく落ち込みますし、泣き暮らすこともあります。でも、自分の中では核となる部分なので、子育てのスタンスはずっと変わっていません。

父親がいないので、うちは“梅宮家”で子育てをしています。生まれたときからずっと、梅宮辰夫、ママ(クラウディア)、私、そして娘がセットで家族だったから。

こういう仕事をしている家族ですから、娘と会う時間も変則的で、ほかの家庭とは少し違うかもしれない。でも、これが私たちにとって自然なんだから、みんなと同じじゃなくてもいいし、いつも完璧じゃなくてもいいって思ってます。

1+1は2であるべき、じゃなくて、1+1は138(笑)でもいいよね、っていうのが私の考え方だから」

現代の日本では、子育てや家族、そして母親像についての「あるべき論」が強く存在している。それにより、悩み、自分を責める母親も少なくない。とくに、シングルマザーへの風当たりは強い。

「実際、子育てって楽しさばっかりにひたってる余裕はないんです。それって働くママたちはみんな感じていることだと思うけど、言葉にするのって、すごく難しい。でも、したいことや大事なものがはっきりしていれば、自分で自分のルールを作っていけばいいと思う。

仕事もする、子育てもする、好きなものは好き。私はそんなパパとママに育ててもらって、2人が大好きだし、娘もそう言ってくれています。“ママがとなりの家のママと違うのはわかってるからね”って。みなさんがそれぞれの家族のカタチを楽しむように、うちも梅宮家流を楽しんでいきます」

メディアからの数々の批判にもめげない、逃げない。その心にあるものは?

「あるべき論」よりも、自分の道を自立して歩くことが彼女のモットーだ。


一生懸命がんばってきた女性たちは、大人になったいまこそ「リセット」をして、「あるべき論」に縛られない自分流の人生を歩いて良いのだと、私も思う。

「今は、味方がいると思えるからこそ、ときには痛い思いもしながら自分で考えて、自己責任で行動を起こせる――そういう仕事の仕方、生き方、自分のポリシーみたいなものを貫けるようになりました。
生きるってタイヘンだなぁと思うこともあるけど、いつも全力で燃えていたいんです」

撮影/萩原昌晃

■Infomation
『女は「ひとりの時間に」磨かれる』(梅宮アンナ・著)

恋愛、結婚、出産、離婚を経験をし、傷つき、仕事も恋もすべてを失い……改めて自分を見つめ直した梅宮アンナの自伝エッセイ。母として、女として、自力した人生を歩みたいという想いを胸に、自分の成長、充実した毎日のために、大切にしているひとりの時間の過ごし方を語る。

>>次回は、続編の対談企画「梅宮アンナがガイドに人生相談。40代で幸せな恋をするには?」を公開します。

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