子供の笑顔、泣き顔、パパとママには違って映る!?

こんな泣き顔もパパとママで受け取り方が違う傾向が…

こんな泣き顔もパパとママで受け取り方が違う傾向が…

育児をしていると、夫婦間でお互いのやり方に違和感を覚えることがあると思います。例えば日々の育児で、パパはママのリアクションに「なんて大げさな!」と呆れ、ママはパパに「なぜ気づかない!」とイライラする……。こんなことありませんか? この違いを追求したイギリスの実験で分かったこととは? 知っていれば、お互いの理解度アップにつながる実験データをご紹介したいと思います。


最近の研究トレンドは「男親の育児観」

イクメンという言葉が聞かれるようになって既に久しいこのごろですが、パパが育児に積極的に関わるようになってきたのは日本だけではなく、世界的に見られる傾向です。それにともない、心理学の研究トピックも流れが変わりつつあります。これまでは圧倒的に「ママ×子供」が研究の対象だったのですが、最近は、「パパ×ママ」。親として両者にはどんな類似点があるか、どんな相違点があるかを比較する研究が増えてきています。

例えば、以前に書いたこの記事『パパの遊び方、ママの遊び方 その違いの裏にあるもの』で取り上げたのは、「遊び方の違い」。パパはおもちゃを使わずアクション多め、ママはおもちゃを使う知育好き、そんな傾向をお伝えしました。

そして、この記事『パパ育児、ママ育児、こんなに違うから面白い』で取り上げたのは、「子供とのコミュニケーションやしつけの違い」。抱っこする際、パパは子供を外側に向けて抱っこし、ママは内側向けて抱っこする。こんな違いをご紹介しました。

今日お伝えする研究は、子供の感情に両者がどうリアクションするか? 子供が泣いたとき、笑ったとき、パパとママはそれぞれどう感じるものなのでしょうか? イギリスの大学が行った実験をご紹介しましょう。


”親”になると男女差が出る!

この研究の対象者は、男女合わせて110名。内訳は、18か月未満の子を持つ母親29名と父親26名、そして、子供がいない女性29名と男性26名でした。実験では、10人の赤ちゃんが様々な感情を出している画像(非常にポジティブ、非常にネガティブ、感情を抑えた表情、普通の表情など)を50パターン見てもらい、それぞれの感情のレベルを、”非常にポジティブ“から”非常にネガティブ“までのスケールで評価してもらいました。すると、次のような興味深い結果が得られたそうです。
  • 子供がいない男女は、赤ちゃんの感情の評価に男女差が見られなかった
  • 子供がいる男女は、その評価に大きな違いが見られた
  • 子供がいる女性は、子供がいる男性よりも、赤ちゃんのポジティブな表情をよりポジティブに、ネガティブな表情をよりネガティブに評価した
  • 子供がいる女性は、いない女性と比べると、赤ちゃんの感情を非常に強く捉える傾向があった
  • それに対し、子供がいる男性は、いない男性よりも、赤ちゃんの感情を控えめに捉える傾向があった
まとめると、
  • 男女とも親になることで、子供の感情の捉え方が変化するものの、その方向性は男女で異なる
  • 女性はより強く反応するようになり、男性はより控えめに反応するようになる
というもの。親になると男女差が出る、興味深い結果です。

この実験は、匿名の赤ちゃんの画像を評価したものでしたが、これがもし、我が子へのリアクションだったらどのような違いが出るのか……。ママはさらに強く捉えるようになるだろうというのは、想像に難しくありませんが、パパはどちらに転じるのか、非常に興味があります。いずれも、今後の研究に期待したいところです。


自分にとってはそれが正解、だけど……

感情はそのまま受け取られるのではなく、その人なりの解釈が加えられる。当たり前のようで、意外と見過ごされている気がします。親になると、その解釈がより極端になっていくので、我が子の「泣いた」「笑った」ひとつとっても、夫婦間で違う思いが湧き出ることになります。

「公園で転んで泣いてしまった」という状況も、「それくらい大丈夫」と思うパパに対し、ママは「なんてかわいそうに」と思うかもしれない。でも、それぞれ自分が正解と思っているので、違う捉え方をされると互いに「違和感」を感じることに。

夫婦喧嘩は、こんな「違和感」から勃発することが多いですよね。相手に対する「こうやって欲しい」「もっと○○すべきだ」は、とかく夫婦喧嘩の原因になりがちです。

パパはママに対し「なんて大げさな」と思うことがある。そして、ママはパパに対し「なぜ気づかない」と思うことがある。こんな思いも、この実験が示してくれた「親になると変化する感じ方」から来ているのだと思えば、これまでよりは飲み込めることも増えるのではないでしょうか。相手も極端だけど、自分も極端になっている、そんなお互いの傾向を頭の片隅に置いておけば、あわや喧嘩勃発というときの抑制力になってくれるはずです。

*出典:学術誌 The Quarterly Journal of Experimental Psychology (2016).「Interpreting infant emotional expressions: parenthood has differential effects on men and women」より

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。