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京都三大祭り(葵祭、祗園祭、時代祭)、2019年の日程と観覧のポイント

「京都三大祭り」といえば、「葵祭」(上賀茂神社・下鴨神社、 5月15日)、「祇園祭」(八坂神社 、7月いっぱい)、「時代祭」(平安神宮 、例年は10月22日。2019年は26日)のこと。これに「五山送り火」を加えて「京都四大行事」ということもあります。今回は、「京都三大祭り」の歴史や観覧のポイントなどを解説したいと思います。

森川 天喜

執筆者:森川 天喜

国内旅行ガイド

「京都三大祭り」観覧のポイントを徹底解説

年間300余りの祭りがあるとされ、祭りの数が多いことで知られる京都。その中でも「京都三大祭り」といえば、「葵祭」(上賀茂神社・下鴨神社 、5月15日)、「祇園祭」(八坂神社、 7月いっぱい)、「時代祭」(平安神宮、例年は 10月22日。2019年は26日)のこと。

これに「五山送り火」を加えて「京都四大行事」ということもあります。
 
2016年に、筆者も「祗園祭」に参加。蟷螂山の皆さんを撮影

2016年に、筆者も「祗園祭」に参加。蟷螂山の皆さんを撮影


京都を代表する3つの祭りですが、それぞれ祭りの歴史も性格も全く異なります。今回は、「京都三大祭り」の歴史と観覧のポイント、観覧に当たっての注意事項などを解説したいと思います。

【目次】  

「葵祭」の歴史と観覧のポイント

毎年、5月15日に行われる「葵祭」は、上賀茂神社と下鴨神社の例祭。
 
【葵祭】華麗な平安装束に身を包んだ人々の行列

【葵祭】華麗な平安装束に身を包んだ人々の行列


祭りの起源は、今からなんと約1400年前の欽明天皇(在位539~571年)の頃。三大祭りの中で、最も古い歴史を持ちます。

「葵祭」は、5月3日の流鏑馬(やぶさめ)神事にはじまり様々な儀式が行われますが、有名なのは、平安時代の衣装を着た500名以上の人々の行列が京都御所から下鴨神社を経て上賀茂神社まで市中を歩く、15日の「路頭の儀」。

総勢511名、馬36頭、牛4頭で構成される行列の長さは約1kmに及び、すべての行列が通過するまで約1時間かかります。
 
十二単をまとい、腰輿(およよ)と呼ばれる四方輿に乗った「斎王代」

十二単をまとい、腰輿(およよ)と呼ばれる四方輿に乗った「斎王代」


うっかりすると誰が主役なのか分からないまま行列が行き過ぎてしまいますが、この行列にはちゃんと主役がいます。それは「斎王代(さいおうだい)」と呼ばれる女性。

「葵祭」は古くは「賀茂祭」と呼ばれ、賀茂氏の祭りでしたが、平安遷都を機に国家的な祭りとなりました。当時、「賀茂祭」における賀茂神社の「斎王」(神社に奉仕した未婚の女性皇族)の華麗な行列は大変人気が高く、『源氏物語』では、葵上と六条御息所が見物の場所を争った「車争い」の場面として描かれています。

賀茂神社の「斎王」は、鎌倉時代に起きた承久の乱で途絶えてしまい、その後、復活することはありませんでしたが、戦後、「葵祭」を盛り上げるために「斎王」の代わりである「斎王代」を昭和31年から列に加え、今日に至るそうです。
 
車輪を軋ませながら通り過ぎていく牛車

車輪を軋ませながら通り過ぎていく牛車


その他、行列で見応えがあるのは、牛車でしょうか。水干姿の童に綱を引かれながら、ギシッギシッと独特の車輪がきしむ音を響かせて通り過ぎていきます。「御所車」などという風流な名前で呼ばれますが、乗り心地はことのほか悪かったようです。
 

「葵祭」を見物するなら、どこがいい?

有料の観覧席があります。観覧席は指定席になっているので場所取りの必要がなく、また、行列の説明なども書かれたパンフレットももらえるのでオススメです。観覧席は京都御苑と下鴨神社参道の2ヶ所に設置されます。
 
「葵祭」の有料観覧席(京都御所)

「葵祭」の有料観覧席(京都御所)


観覧席のチケットについては、京都市観光協会にお問い合わせ下さい。ネットでの販売も行っています。
 

「葵祭」注意事項など

・15日が荒天の場合、翌16日に順延になるので、できれば予備日も京都に滞在できる旅行日程を組まれることをオススメします。
・行列に近づくと、馬や牛が暴れて危険ですので、気をつけましょう。特にフラッシュ撮影は大変危険です。
・5月中旬になると陽射しも強くなってきますが、人混みの中では危険なので日傘は禁止です。陽射しが心配な方は帽子を用意しましょう。
 

「祗園祭」の歴史と観覧のポイント

祇園祭は八坂神社の祭礼。なんと、7月丸々1ヶ月かけて行われる、京都最大の祭りで、「日本三大祭り」の一つにも数えられています。
 
【祇園祭】最大12トンにも及ぶ巨大な山鉾が京都の街中を行く山鉾巡行

【祇園祭】最大12トンにも及ぶ巨大な山鉾が京都の街中を行く山鉾巡行


「祇園祭」の起源は、平安時代の貞観11(869)年に全国で疫病が発生したときに、平安京の神泉苑に当時の日本全国の国の数にちなむ66本の鉾(矛)を立てて悪霊をはらい、国の安寧を祈ったのがはじまりといいます。

「祗園祭」のハイライトは華麗な「山」や「鉾」が街中を巡行する「山鉾巡行」で、2014年からは7月17日の前祭巡行(23基の山鉾)と24日の後祭巡行(11基の山鉾)の二度の巡行が49年ぶりに行われるようになりました。

「動く美術館」とも言われ、煌びやかに飾られた「山」や「鉾」が京都市街を巡行します。「山」は0.5~1トン、「鉾」は7~9トン(巡行時は8.5~12トン)にも及びます。
 
巨大な鉾が街中を巡行する姿は迫力がある。写真の「函谷鉾」は重量11.39トン。最大の「月鉾」(11.88トン)に次ぐ最大級の鉾

巨大な鉾が街中を巡行する姿は迫力がある。写真の「函谷鉾」は重量11.39トン。最大の「月鉾」(11.88トン)に次ぐ最大級の鉾


山鉾巡行の見所は、まず巡行の先頭を行く「長刀(なぎなた)鉾」。巡行の順番はクジで決めますが、この「長刀鉾」だけは「くじ取らず」として、毎年巡行の先頭を行くことが決まっています。また、現在、生稚児(本物の子ども)が乗る唯一の鉾です(他の鉾には稚児人形が乗っている)。

各「山」や「鉾」の飾り付けが、必ずしも日本古来のデザインではないところも面白いと思います。「月鉾」の前懸はインド製の絨毯(現在は複製)ですし、フランス製やベルギー製の織物が使われている山鉾もあります。
 
山鉾巡行の重要な儀式である「くじ改め」。巡行の順番が、くじ取り式で決まった順番か奉行(京都市長)により確認される

山鉾巡行の重要な儀式である「くじ改め」。巡行の順番が、くじ取り式で決まった順番か奉行(京都市長)により確認される


一風変わっているのが「蟷螂(とうろう)山」。別名「かまきり山」とも呼ばれ、「山」の上に乗ったかまきりの羽や鎌が、からくりで動く仕掛けになっています。
 
大小様々な祗園祭の山鉾の中で、一風変わっているのが、御所車に乗ったカラクリ仕掛けのカマキリが据えられた「蟷螂(とうろう)山」。蟷螂とはカマキリのこと

大小様々な祗園祭の山鉾の中で、一風変わっているのが、御所車に乗ったカラクリ仕掛けのカマキリが据えられた「蟷螂(とうろう)山」。蟷螂とはカマキリのこと


そして、山鉾巡行の一番の見所が「辻廻し」。「鉾」には方向舵が付いていないので、角に来ると方向転換をしなければなりません。車輪の下に青竹を敷いて水をかけて滑りやすくし、掛け声とともに方向転換します。
 
人の背丈ほどもある、祗園祭の鉾の大きな車輪

人の背丈ほどもある、祗園祭の鉾の大きな車輪


山鉾巡行とともに、ぜひ見ておきたいのが前祭である「宵山(よいやま)」(14日~16日)。
 
鉾の上からの眺め

鉾の上からの眺め


山鉾が町の辻に置かれ、コンチキチンの祇園囃子が奏でられます。一部の山鉾は、上に登ることもできますよ。
 

「祇園祭」を見物するなら、どこがいい?

一番人気は、「辻廻し」が行われる四条河原町などの交差点ですが、早めに行って場所取りをしなければなりません。

巡行コースの案内

有料観覧席は一般観覧席のほか、2018年からは、詳しい日本語解説をイヤホンで聴きながら祭りを鑑賞できる「祗園祭まなび席」(前祭のみ)が販売されることになりました。その他、「辻廻し観覧プレミアム席」(前祭)、「くじ改め観覧プレミアム席」(後祭)という特別席も販売されます。有料観覧席については京都市観光協会にお問い合わせ下さい。
 

「祇園祭」注意事項など

・とにかく暑さ対策が必須です。朝、ビルの影に場所を取ったと思ったら、太陽の移動とともに炎天下になんていうこともありました。
・人混みの中では危険なので日傘は禁止です。帽子や日焼け対策として長袖を着ていった方がいいでしょう。
・炎天下で同じ席で最初から最後まで通しで見るのはキツいです。有料観覧席も途中で退席可能です。
・雨天決行です。「祇園祭」は、戦争などで中止されたことはありますが、最近、山鉾巡行が中止されたのは阪急電車の地下工事(昭和37年)のときだけだそうです。2015年は嵐の中、山鉾巡行が行われました。
 

「時代祭」の歴史と観覧のポイント

「時代祭」が行われる10月22日は、京都の誕生日(平安京に遷都された日)。「時代祭」の歴史は他の2つの祭りに比べると比較的新しく、明治28年に平安神宮が創建されたのを機に、京都市民あげて始められました。

※2019年は10月22日に、即位の礼の中心儀式「即位礼正殿の儀」が行われるため、時代祭を10月26日に変更して行います。
 
【時代祭】まるで時代絵巻!明治から平安時代までの衣装を着た人々が次々と登場

【時代祭】まるで時代絵巻!明治から平安時代までの衣装を着た人々が次々と登場


「時代祭」の観覧のポイントは、各時代毎の衣装や祭具、乗り物などを楽しむことに尽きます。

明治維新時代から京都(平安京)に都が遷された延暦時代に至るまで、各時代の厳密な時代考証を元に製作された衣装を着た総勢およそ2000名の大行列が京都市街を練り歩くのは圧巻の一言。

江戸時代でひときわ目を引くのが、皇室から徳川十四代将軍家茂(いえもち)に降嫁された和宮(かずのみや)。いわゆる十二単の姿です。
 
和宮(かずのみや)

和宮(かずのみや)


安土桃山時代を代表するのは、織田信長と豊臣秀吉。時代のヒーロー的な人物が登場すると、やはり盛り上がります。
 
織田信長

織田信長


行列に登場するのは、偉人や有名人ばかりではありません。大原女(おはらめ)の行列も登場。
 
大原女

大原女


さらに時代を遡り、藤原時代(平安時代中期)になると、紫式部がやって来ました。
 
紫式部

紫式部


平安京(京都)が誕生した延暦時代(平安時代前期)になると、鎧(よろい)の形状もずいぶんと古代っぽくなってきます。
 
延暦時代の武官

延暦時代の武官


いかがでしょうか。一度、この華麗な行列を間近で見てみたいと思いませんか?

そして、例年「時代祭」が行われる10月22日の夜には、「京都三大奇祭」のひとつ「鞍馬の火祭」が行われます。昼は「時代祭」を見物して、夜は鞍馬に移動して「火祭」を見るというプランがオススメです。
鞍馬の火祭

鞍馬の火祭

 

「時代祭」を見物するなら、どこがいい?

有料の観覧席があります。観覧席は指定席になっているので場所取りの必要がなく、また、行列の説明なども書かれたパンフレットももらえるのでオススメです。観覧席は京都御所、御池通、平安神宮道の3ヶ所に設置されます。

観覧席のチケットについては、京都市観光協会にお問い合わせ下さい。ネットでの販売も行っています。
 

「時代祭」注意事項など

・22日が雨天の場合、翌23日に順延(2019年は26日が雨天の場足、27日に順延)になるので、できれば予備日も京都に滞在できる旅行日程を組まれることをオススメします。
・行列に近づくと、馬や牛が暴れて危険ですので、気をつけましょう。特にフラッシュ撮影は大変危険です。

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