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育児ストレス解消に「2つのハードル2割減」が効く!(2ページ目)

この記事では、育児ストレスの根本的な原因である”2つのハードル”にフォーカスを当て、シンプルかつ効果が続く育児ストレス解消法についてお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

育児ストレスの根本的な原因になっている2つのハードルとは?

それでは、その2つのハードルについてお伝えしていきましょう。

1. 自分へのハードルが高い場合
慢性化してしまっているストレスに悩む方に非常に多いのが、自分が設定したハードルの高さに苦しんでしまっているケース。ハードルの高さというのは、人それぞれなので、その人が「ここまで」と決めた高さがその人にとってのハードル。育児は、学校のテストのように100点が明確につかめるものではありません。それゆえ、ママそれぞれ、自分にとっての”100点”や”100%”は大きく違います。高い目標を持つことは決して悪いことではないのですが、高すぎると、それはマイナスに作用するようになってしまいます。なぜなら、にんじんをぶら下げて走る馬のごとく、いつまでたっても追いつけない自分に至らなさを感じ、いつも手が届かない理想に不安を感じやすくなるからです。

ストレス症状:慢性的な焦り、不安感、自己嫌悪

対処法: 見えないゴールを目指し走り続けてしまっている状態から脱するためには、「100点でなければ、0点も同然」のような二分化した考え方から、「80点の自分にOK」を出せるようにすることがコツ。自分に厳しい人にとって、80点にOKを出すことは、自分をたるませるように思えるかもしれませんが、ハードルを8割にセーブし、そこから生まれる2割の余裕から受ける恩恵こそ、ストレス解消の道になります。


2. 他者へのハードルが高い場合
もう1つのハードルは、他者に向けられるパターンです。ここでいう他者とは、ご主人、お子さんをメインに、ママ友、学校、通りすがりの人も含まれます。他者に対して、「ああすべき、こうすべき」が増えるので、自分が思うようにはならない現実にイライラしてくるのです。自分へのハードルと違う点は、相手に対し、いくらハードルを高くしても、相手には伝わりにくいということ。なぜなら、相手も自分が設定した自分用のハードルで動いているからです。つまり、他者に対して、いくら「ああすべき、こうすべき」と強く思っても、それはうまく伝わることは少なく、自分がそのハードルに苦しむことになってしまうのです。相手へのハードルなのに、結局は自分に跳ね返ってきてしまいます。

ストレス症状:イライラ、怒り、憤り

対処法:ご主人を変えようとするよりも、自分が変わる。お子さんを変えようとするよりも、自分が変わる。例えば、「ありがとう」をもっと口にする、ねぎらいの言葉をかける、良いところからほめる。人間は否定よりも、肯定の方が受け入れやすいので、このような間接的なアプローチはスッと相手に入っていきます。結果として、「相手が変わった!」というミラクルが起こるのです。


ハードルを高めたくなる理由は育児書にあり!?

ママのストレスの多くは、この「ハードルの高さ」と関係してくるケースがとても多いのですが、実際は「高くせざるを得ない」という現状があります。たとえば、育児書に「○○すべき、○○しましょう」と高い要求がたくさん書いてあることってありますよね。また、「母親なのだから○○すべき」という冷たい世間の目を感じることも多いですよね。それらの多くは一方的で、チョイスがありません。よって、それを知ったママ側の受け取り方は、「これを守らなくては。さもないと大変なことになる!」と強迫観念さえ覚えるママもいらっしゃるのです。

確かに育児書どおりに行けば、完璧なのかもしれません。でも、実際書いてあることを本当にすべてできるのかと言ったら、現実的には無理だと思っています。たしかに「母乳で育てるのがいい」かもしれませんが、それが出来ないこともあるのですから。

日本の育児環境はママに100%以上のものを要求しているのが現状なので、なおさら自分自身でハードルを下げる意識が必要。育児書のようには行かない、それが育児の現実です!

ハードルを8割に下げることで、前よりも笑顔が増えたり、優しい気持ちになれたりしたら、育児書のチェックリストを完遂する以上の価値があります。ハードル2割減は甘やかしではありません。現実を踏まえた、子育ての質アップ法なのです。
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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