育児ストレスの根本的な原因になっている2つのハードルとは?
それでは、その2つのハードルについてお伝えしていきましょう。1. 自分へのハードルが高い場合
慢性化してしまっているストレスに悩む方に非常に多いのが、自分が設定したハードルの高さに苦しんでしまっているケース。ハードルの高さというのは、人それぞれなので、その人が「ここまで」と決めた高さがその人にとってのハードル。育児は、学校のテストのように100点が明確につかめるものではありません。それゆえ、ママそれぞれ、自分にとっての”100点”や”100%”は大きく違います。高い目標を持つことは決して悪いことではないのですが、高すぎると、それはマイナスに作用するようになってしまいます。なぜなら、にんじんをぶら下げて走る馬のごとく、いつまでたっても追いつけない自分に至らなさを感じ、いつも手が届かない理想に不安を感じやすくなるからです。
ストレス症状:慢性的な焦り、不安感、自己嫌悪
対処法: 見えないゴールを目指し走り続けてしまっている状態から脱するためには、「100点でなければ、0点も同然」のような二分化した考え方から、「80点の自分にOK」を出せるようにすることがコツ。自分に厳しい人にとって、80点にOKを出すことは、自分をたるませるように思えるかもしれませんが、ハードルを8割にセーブし、そこから生まれる2割の余裕から受ける恩恵こそ、ストレス解消の道になります。
2. 他者へのハードルが高い場合
もう1つのハードルは、他者に向けられるパターンです。ここでいう他者とは、ご主人、お子さんをメインに、ママ友、学校、通りすがりの人も含まれます。他者に対して、「ああすべき、こうすべき」が増えるので、自分が思うようにはならない現実にイライラしてくるのです。自分へのハードルと違う点は、相手に対し、いくらハードルを高くしても、相手には伝わりにくいということ。なぜなら、相手も自分が設定した自分用のハードルで動いているからです。つまり、他者に対して、いくら「ああすべき、こうすべき」と強く思っても、それはうまく伝わることは少なく、自分がそのハードルに苦しむことになってしまうのです。相手へのハードルなのに、結局は自分に跳ね返ってきてしまいます。
ストレス症状:イライラ、怒り、憤り
対処法:ご主人を変えようとするよりも、自分が変わる。お子さんを変えようとするよりも、自分が変わる。例えば、「ありがとう」をもっと口にする、ねぎらいの言葉をかける、良いところからほめる。人間は否定よりも、肯定の方が受け入れやすいので、このような間接的なアプローチはスッと相手に入っていきます。結果として、「相手が変わった!」というミラクルが起こるのです。
ハードルを高めたくなる理由は育児書にあり!?
ママのストレスの多くは、この「ハードルの高さ」と関係してくるケースがとても多いのですが、実際は「高くせざるを得ない」という現状があります。たとえば、育児書に「○○すべき、○○しましょう」と高い要求がたくさん書いてあることってありますよね。また、「母親なのだから○○すべき」という冷たい世間の目を感じることも多いですよね。それらの多くは一方的で、チョイスがありません。よって、それを知ったママ側の受け取り方は、「これを守らなくては。さもないと大変なことになる!」と強迫観念さえ覚えるママもいらっしゃるのです。確かに育児書どおりに行けば、完璧なのかもしれません。でも、実際書いてあることを本当にすべてできるのかと言ったら、現実的には無理だと思っています。たしかに「母乳で育てるのがいい」かもしれませんが、それが出来ないこともあるのですから。
日本の育児環境はママに100%以上のものを要求しているのが現状なので、なおさら自分自身でハードルを下げる意識が必要。育児書のようには行かない、それが育児の現実です!
ハードルを8割に下げることで、前よりも笑顔が増えたり、優しい気持ちになれたりしたら、育児書のチェックリストを完遂する以上の価値があります。ハードル2割減は甘やかしではありません。現実を踏まえた、子育ての質アップ法なのです。