コジェナー(メゾ・ソプラノ) モンテヴェルディの作品、他
マグダレーナ・コジェナーの新作はイタリア初期バロックの大家、モンテヴェルディのマドリガーレやオペラからの歌曲を収録。モンテヴェルディだけでなく彼と同時代に活躍した作曲家たちの器楽曲をはさんでバランスよくプログラミングされたアルバムです。コジェナーの自然な即興的表現が光る歌唱に加え、アンドレア・マルコンの歌を引き立てる器楽統率も見事。アルバム冒頭と最後に配置されたアンナ・プロハスカとのデュエットも絶品です。
■ガイド大塚の感想
現代を代表するメゾ・ソプラノの一人、コジェナーによる芯のある歌唱が美しいアルバム。今作も“名花”という感じがあり『ポッペアの戴冠』『タンクレディとクロリンダの戦い』などからの作品を、舞台が目に浮かぶような劇的さをもって、凛々しく歌い上げている。レコード会社からのオススメにもあるが、プロハスカとのデュエットは必聴。
クイケン・アンサンブル ドビュッシー:弦楽四重奏曲、3つのソナタ、他
『モネ展』が話題の印象主義絵画。輪郭線ではなく「色の置き方」で事物を描いた彼らのように、メロディとハーモニーの造形を全く新しい考え方で捉え、新鮮かつ美しい響きを創ったのが、モネの同時代人ドビュッシーでした。それは今から100年前、楽器の響きも弾き方も、現代とはだいぶ違う頃。「当時の楽器と奏法」を検証しながら音楽性豊かな解釈を続けてきた古楽の達人クイケン一家の記念碑的解釈が、長年の廃盤から奇跡の復活です。失われた響き、ここに。
■ガイド大塚の感想
ドビュッシー晩年の傑作群である3つのソナタが出色の出来映え。名門一家が息ぴったりに奏でるわけだが、中でも『フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ』が素晴らしい。バルトルドとシギスヴァルトに加え、唯一家族外からのゲストであるソフィー・アランクが温かく、時に生き生きと、絶妙に配置され作曲された色を描いていく。
シューリヒト(指揮) モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」、第38番「プラハ」、第40番、第41番「ジュピター」
シューリヒトのコンサートホール録音を代表する名盤のひとつ。パリ・オペラ座管弦楽団とのモーツァルトが待望のSACD化!限定盤です。今回の復刻では、デンオン製A/D コンバーターを用いて、44.1kHz/20bit でデジタル変換を行った 2016年新リマスタリングをCD層で新規で採用。SACD層は弦楽器の豊かな倍音を楽しめます。
■ガイド大塚の感想
元々きびきびとしたテンポで現代的演奏の指揮者なものの、それでもやはり昨今の演奏と比べると解釈が古くのんびりと感じるところもあるが、逆に言えば古くなりすぎず温かな響きの魅力が心地良く「良い演奏だなぁ」と思わず聴き込んでしまう。ジュピター終楽章など、全てのメロディーが活き活きと生まれ戯れるようで、その喜びに溢れた様は感動的。
タワーレコード
シューリヒト(指揮) メンデルスゾーン:『真夏の夜の夢』より、序曲集
品格あるシューリヒトのメンデルスゾーン録音を集成。待望の初SACD化で、名盤が新たな魅力を放ちます!バイエルン放送交響楽団との「真夏の夜の夢」よりは、オケの美質とシューリヒトのドライヴ力が重なったことで、素晴らしい効果が生まれている名演。CD層は従来盤と異なる新規リマスタリングを採用し、SACD層では細かなニュアンスが再現できます。今回のシリーズでは、3作が限定盤として発売されました。
■ガイド大塚の感想
「真夏の夜の夢」は弦を中心に分厚く豊かなオーケストラがしなやかにシューリヒトらしい緻密なタイトさでもって推進され、木管やホルンもやわらかな調べで幻想的な森に誘ってくれる。「フィンガルの洞窟」など序曲含め3つのドイツのオケを振っているが、どれも60年代のドイツらしい温かな力強さを堪能できる。
タワーレコード