相場価格は「需要と供給のバランス」が決める
上のグラフは、首都圏ならびに東京都における中古マンションの在庫戸数(棒グラフ)と成約単価(折れ線グラフ)の推移をみたものである。成約単価は都心3区も加えた。これを見る限り、価格相場(成約単価)は在庫の増減と逆の動きをすることがわかる。在庫が増えれば単価は下がり、減れば上がる(矢印参照)。つまり、需要と供給のバランスによって相場は形成されているのである。また、その変動は都心部(3区)ほど強い。物件の最も重視されるスペックのひとつ「立地の利便性が高い」都心は需要が多く、相場はより激しく在庫に反応し、市場を牽引する。
直近はどうか。2015年以降は在庫が増加トレンドに。しかしながら、成約単価は下落傾向にまだない。これは「売却益を見込む売りが増えたから」と推察するが、成約にたどり着くのは例えば築浅などの良質な物件が多いからではないか。「良い立地の質の高いマンションに対する需要は相変わらず堅調」とみている。ここ数か月は都心3区の成約単価が大きく上下しているが、この先はどのように展開するのか、気になるところだ。
「人口増減」と「地価」の関係
日本は少子高齢化が進行中。空き家問題も取りざたされている。しかし、人口推移を地域ごとに分類すると違いがあるようだ。都市圏ごとの「転入-転出」では東京圏が転入超過を継続しているのがわかる。「生活便利な都市に、人が集まってきている」といえる。一方、地価はどう変化しているのか。下のグラフは直近2年の公示地価の変動を都道府県別にみたものである。2年連続で地価が上がっている(福島県を除く)8つの都県は人口増のラインナップと見事に合致している。【社会増減「転入-転出」】プラスは東京都、埼玉県、宮城県、神奈川県、千葉県、愛知県、福岡県、沖縄県の8つ。このうち埼玉県以外が該当。【自然増減「出生-死亡」】プラスは沖縄県、愛知県、滋賀県、東京都、神奈川県の5つで、滋賀県以外が該当。
人口増減と地価変動の相関を見るに、人が増える場所ではよほどの住宅供給「過多」が起こらない限り、地価が上がる可能性が高いと言わざるを得ない。さらに言えば、成熟している街では慢性的に新築供給が少なく、なかでも希少性に満たされた物件は(もちろん世界金融や政治動向等にもよるが)どこまで上がるか読み切れないというのが東京都心部の現状ではないか。
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