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なでしこジャパンが出場するリオ五輪最終予選丸わかり

リオ五輪の出場を巡る争いが、様々な競技で進められている。2月29日からは、大阪を舞台に女子サッカーのアジア最終予選が行われる。「なでしこジャパン」こと日本女子代表は、4大会連続の出場権を勝ち取れるのだろうか。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

女子の五輪も狭き門

ランキングでは上位の日本女子サッカーだが、リオ五輪への道のりは容易いものではない。

ランキングでは上位の日本女子サッカーだが、リオ五輪への道のりは容易いものではない。

女子サッカーが五輪の正式種目となったのは、1996年のアトランタ大会だった。これまで5回開催されており、日本は2000年を除く4大会に出場している。

成績は右肩上がりだ。96年はグループリーグで敗退したが、2度目の出場となった04年はベスト8に食い込んだ。4年後の08年はベスト4まで勝ち上がり、前回のロンドン五輪では準優勝を飾っている。

ロンドン五輪の前年に行なわれたドイツW杯では、決勝でアメリカを破り世界の頂点に君臨した。また、昨年のカナダW杯でも準優勝している。11年のドイツW杯、12年の五輪、15年のカナダW杯と、3大会連続で世界大会の決勝戦に進出しているわけだ。

今夏のリオ五輪でも好成績が期待されるが、アジア最終予選を突破するのは簡単ではない。最終予選は2月29日に開幕し、6か国が1回戦総当たりのリーグ戦で争う。リオ五輪に出場できるのは、上位2か国だけだ。男子サッカーと同じように、女子サッカーもまた狭き門なのである。


最終予選は「総力戦」に

今回の最終予選には、国際サッカー連盟(FIFA(フィファ))の最新ランキングで世界4位の日本、同6位の朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮と略)、同9位のオーストラリア、同17位の中国、同18位の韓国、同29位のベトナムが出場する。日本はランキング最上位だが、ここで気になるのは昨年のカナダW杯の成績だ。

オーストラリアと中国がベスト8に、韓国がベスト16に進出しているのだ。FIFAランキングが日本に次いで6位の北朝鮮は、ドーピング違反でカナダW杯に出場できなかった。地力はあるチームだ。日本が同大会で準優勝しているとはいえ、圧倒的に優位とは言い切れない。

最終予選は試合と試合の間隔が中1日か2日のため、固定されたメンバーで全5試合を戦うのは現実的でない。20人の登録メンバー全員で戦い抜く「総力戦」となるだろう。


「経験」こそがなでしこの武器

男子サッカーの五輪予選は23歳以下のチームで争われたが、女子は年齢制限がない。お馴染みのメンバーが顔を揃える。

なでしこジャパンのシンボルだった澤穂希は引退したものの、キャプテンの宮間あや(31歳)、澤から背番号10を受け継いだ大儀見優季(28歳)、ディフェンスリーダーの岩清水梓(29歳)ら、チームの中心選手は変わらない。20人のうち11人までが、11年W杯、12年五輪、15年W杯に連続出場してきたメンバーである。チームとしての経験値の高さは、なでしこジャパンの大きな強みとなるだろう。

「最終予選は重圧がかかる。経験を生かしてもらいたい」と、佐々木則夫監督(57歳)も話す。ホームで開催される大会だけに、選手たちは周囲の期待をダイレクトに受ける。五輪の連続出場を途絶えさせてはいけない、との緊張感にも包まれるだろう。そうした重圧にのまれないためにも、修羅場をくぐり抜けてきた選手が多く選ばれたのだ。


円熟の連携も強みに

だからといって、ベテランばかりではない。30歳以上はゴールキーパーの福元美穂(32歳)、ディフェンダーの近賀ゆかり(31歳)、ミッドフィールダーの川澄奈穂美(30歳)、フォワードの大野忍(31歳)、それに宮間の5人だ。20代後半がボリュームゾーンになっており、キャリアのピークに差し掛かっている選手、いままさに絶頂期にある選手が多いチーム、と言うことができる。

数多くの試合をともに戦ってきた彼女たちは、お互いの特徴を熟知している。攻撃でも守備でも、きめ細やかな連携をはかることができる。チームとしての成熟度の高さも、最終予選を勝ち抜くための武器になる。就任9年目の佐々木監督の采配も、経験と実績に裏打ちされたものだ。

短期決戦だけに、初戦で勢いに乗れるかどうかは重要だ。29日の第1戦で激突するオーストラリアは、確実に退けて勝点3を奪いたい。大儀見、大野ら得点源となるフォワード陣がゴールを奪い、彼女たち自身も勢いをつかんで勝利するのが理想である。点を取るべきポジションの選手が取ると、チームのムードも良くなっていくものだ。ドイツのバイエルン・ミュンヘンに在籍するフォワードの岩渕真奈(22歳)には、スーパーサブ的な働きを期待したい。

オーストラリア戦から4連勝を飾り、FIFAランク6位の北朝鮮が待ち受ける最終戦を前に2位以内を確保する──それが、なでしこジャパンの望むシナリオだろう。
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