2015年10月に横浜市のマンションで杭の施工不良が見つかり、全棟の建て替えに向けた話し合いが進んでいるようです。その原因や背景についてはあれこれと取り沙汰されていますが、元請け、下請け、孫請けといった重層構造も大きく影響していることでしょう。

このマンションの元請けは三井住友建設ですが、その前年、2014年6月には同じ横浜市内で、熊谷組施工のマンションにおける杭未達問題が発覚しています。

さらに、2014年1月には鹿島建設施工による東京都心の億ションで、施工不良により販売中止や契約解除に追い込まれる事態が発生。その原因は簡単にいえば「孔の開け忘れ」なのだとか。

もう少し遡ると、2007年には千葉県で建設中の超高層マンションにおいて施工ミスによる鉄筋不足が判明しています。こちらは清水建設の施工物件でしたが、当時に「鉄筋の数え間違い」「施工担当者の検査ミス」などが原因として挙げられていました。

また、同じ頃に竹中工務店が東京都心で施工していた超高層マンションでは、地下階用の強度が低い鉄筋を誤って8階に使用したとされる強度不足の問題も発生しています。

2005年に耐震強度偽装事件が大きな社会問題となった後に、建築確認制度の強化などが図られているものの、どんなに設計段階の審査を厳格にしても、施工段階で大きなミスがあれば何にもなりません。

施工段階におけるチェック態勢強化の必要性は以前から指摘されていましたが、大手ゼネコンでも工事ミスがたびたび発生しており、他のマンションは大丈夫なのかと不安を覚える人も少なからずいるでしょう。

残念ながら、問題が発覚しないままで隠れている不良物件が他にないとはいえないのです。

工事段階におけるミスはチェック態勢を二重、三重にすることで防げるはずですが、そうすると工期が延び、人件費がかさみ、販売コストに跳ね返って、結果的に消費者の負担が増す、という話を聞くこともありますが、だからといって工事不良を見過ごしてよいわけではありません。

大手であれ中小であれ、ミスが見過ごされないための管理態勢を十分に強化していって欲しいものですが、そのためには「人為的なミスはどこかで必ず起きるものだ」という前提で考えることが大切なのではないでしょうか。

「ミスや事故は起こさない」という前提では、いざ問題が起きたときの対応が不適切になりかねません。「問題は起きるはず」という前提に立てば、それを防ぐためにはどうすればよいのか、起きた問題を解消するためにはどうすればよいのかといった事前対策もできるのです。

マンションなどの建設工事だけにかぎらず、原発事故やマイナンバーの情報管理などにも通じる話でしょうが……。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年12月公開の「不動産百考 vol.18」をもとに再構成したものです)


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