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中田英寿が出会った日本工芸展 見どころと展示作品

ヒデこと中田英寿氏が、引退後「自分探しの旅」から「日本伝統工芸」と出会った。そこから生まれた新たなるデザイン作品が一般初公開となる貴重な展覧会。今春開催を目前に見どころと作品をご紹介します。

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

「自分探しの旅」から「REVALUE NIPPON PROJECT」へ

元サッカー日本代表で海外でもプレーをした日本サッカー界の先駆者の一人、中田英寿氏、通称「ヒデ」は、ご存知ですよね、皆さん。

REVALUE NIPPON PROJECT展

      REVALUE NIPPON PROJECT展 リーフレット


「自分探しの旅」という名言を残し、引退後数々のイベントやアクションを起こしてきた彼の活動のひとつ:『REVALUE NIPPON PROJECT』の展覧会が、今春パナソニック汐留ミュージアムで開催されます。

「えっ、あのHIDEの展覧会?」・・・と、お思いの方も多いでしょう。(もちろん、筆者も同感でしたが)展覧会の詳細を知ると、「これは、皆さんにお知らせしなければ!」の思いに駆られましたね。

そこで、開催に先立ち展覧会の見どころや作品の一部をご紹介したいと思います。

今なぜ、中田英寿が日本工芸の展覧会を?

展覧会案内書にある『REVALUE NIPPON PROJECT』について明快な彼の意思があるので、記載しておきます。
REVALUE NIPPON PROJECT展

REVALUE NIPPON PROJECT展リールフレットより

『2009年の春から日本全国を旅するようになった中田英寿氏は、旅先で出会った工芸家たちの技術の高さとプロ意識の尊さに驚かされたといいます。そこには世界に誇る技の伝承があり、新たな価値創出の可能性を感じる一方で、後継者不足などの問題も実感したそうです。

日本の工芸技術や伝統文化の素晴らしさは、国外で高い評価を受ける一方、国内ではその価値に気づかれていない現実。工芸家や職人が持つ価値と可能性を、より多くの人が理解し、新たな価値へと可能性を広げられたら。さらには国境を越えて、世界中の人々へ届けることができたら。

中田氏のそのような思いから、彼が代表理事を務める一般社団法人TAKE ACTION FOUNDATIONの主催によりREVALUE NIPPON PROJECTが立ち上がりました。

*REVELUEとは「価値を再発見する」という意味を持つTAKE ACTION FOUNDATIONの造語です。』(引用:展覧会リフーレット)


日本工芸と現代美術やデザインによる新作品の展覧会

本展では、日本工芸の魅力を再発見し、「ものづくりの心」を後世に伝えるべく中田氏のプロジェクトで生まれた作品を展示します。工芸家、アーティスト、デザイナー、建築家などのクリエイターに中田氏自身も参加し、制作した新しい作品、30点余りが一堂に会する内容は、とても興味深いですね。

一般初公開の「陶磁器」「和紙」「竹」「型紙」「漆」の作品

プロジェクトでは、毎年「陶磁器」「和紙」「竹」「型紙」「漆」といった一つの素材をテーマに選び、専門家が選定した工芸家及びアーティストからなる各チームが自由な発想で作品制作をしているのです。展覧会では、竹、型紙、漆作品のほぼ全てが一般初公開となるそうです。
  • 陶磁器
UFO鍋

UFO鍋の画像

植葉香澄、奈良美智、中田英寿  2010年 茨城県陶芸美術館蔵
©植葉香澄、奈良美智、中田英寿 ©Junichi Takahashi



光器
光器 新里明士、宮島達男、藤原ヒロシundefined 2010年undefined茨城県陶芸美術館蔵

新里明士、宮島達男、藤原ヒロシ  2010年 茨城県陶芸美術館蔵


  • 和紙
Life size polar bear in papier mache
橋本彰一、片山正通、NIGO? 2011年undefined一般財団法人 TAKE ACTION FOUNDATION蔵undefined ?Junichi Takahashi

橋本彰一、片山正通、NIGO? 2011年 一般財団法人 TAKE ACTION FOUNDATION蔵  ©Junichi Takahashi
 


中田英寿が制作参加した新日本工芸品

洛竹庵(茶室)
洛竹庵(茶室) 大塚祐司、堀口豊太、小山格平、塚田章、山中晴夫、建畠晢 2013年undefinedイヴ・ブゴン蔵undefined ?Junichi Takahashi

大塚祐司、堀口豊太、小山格平、塚田章、山中晴夫、建畠晢 2013年 イヴ・ブゴン蔵 ©Junichi Takahashi


Infinite Shadow
Infinite Shadow 中臣一、森田恭道、中田英寿 2013年undefined青木信明蔵 ?Junichi Takahashi

 中臣一、森田恭道、中田英寿 2013年 青木信明蔵      ©Junichi Takahashi

  • 型紙
silver balloon
silver balloon 兼子吉生、妹島和世、長谷川祐子 2014年undefined ?Junichi Takahashi

 兼子吉生、妹島和世、長谷川祐子 2014年  ©Junichi Takahashi


風雲波輪
風雲波輪 起正明、新立明夫、白洲信哉 2014年undefined一般財団法人 TAKE ACTION FOUNDATION蔵undefined ?Junichi Takahashi

 起正明、新立明夫、白洲信哉 2014年 一般財団法人 TAKE ACTION FOUNDATION蔵  ©Junichi Takahashi

極上の真珠と繊細なる螺鈿。
漆のバングル

極上の真珠と繊細なる螺鈿。 漆のバングル 山村慎哉、テレジータ・フェルナンデス、 ヴァネッサ・フェルナンデス、株式会社TASAKI、中田英寿 2015年undefined個人蔵undefined ?Takaya Sakano

 山村慎哉、テレジータ・フェルナンデス、 ヴァネッサ・フェルナンデス、株式会社TASAKI、中田英寿 2015年 個人蔵 ©Takaya Sakano


コロロデスク 彦十蒔絵 
鳥獣花木図屏風蒔絵
コロロデスクundefined彦十蒔絵undefined 鳥獣花木図屏風蒔絵 若宮隆志、鈴野浩一、禿真哉、柴田文江 2015年undefined個人蔵 ?Takaya Sakano

 若宮隆志、鈴野浩一、禿真哉、柴田文江 2015年 個人蔵   ©Takaya Sakano


伝統文化工芸の再発見に繋がる展覧会

昨今の日本伝統文化や伝統技術の現状は大変厳しいものがあり、特に後継者不在は大きな問題となっています。これは、家具デザインを生業にしている筆者も痛感しています。高い技術と伝統の技法を持ちながら、仕事として成り立たない、もっとはっきり言えば「食っていけない世界」としての工芸、職人の現実があるのです。

確かに最近では日本各地で伝統工芸の見直しや若いデザイナーとの共同制作など、伝統工芸はちょっとしたブームになっていますが、まだまだ一般化の道は遠いのです。

この現状に対し一石を投じる、いや、パスワークを繰り返しながらゴールに向かってボールを蹴り続ける中田英寿氏の活動。日本人が先達の人たちから受け継いできた伝統文化工芸の価値や可能性を再発見に繋がる展覧会。会場では、新たな刺激を受けた工芸家たちの技術力の高さとその作品の美しさをあらためて知る良い機会となることでしょう。

■展覧会データ
REVALUE NIPPON PROJECT展
会期:2016.4.9(土)~6.5(日)
会場:パナソニック 汐留ミュージアム
開館時間:AM10:00~PM6:00(入館はPM5:30)
入場料:一般¥1000/65歳以上¥900/大学生¥700/中・高校生¥500/小学生以下無料
主催:パナソニック 汐留ミュージアム、東京新聞、TBS
後援:港区教育委員会
協力:一般社団法人TAKE ACTION FOUNDATION
問い合わせ:03-5777-8600

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■今回の関連リンク

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展覧会
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