お笑い芸人でありながら、俳優としても個性豊かな人物をごく自然に演じ、ドラマに映画に引っ張りだこのマキタスポーツ。彼が演じる人物はどれも、どこかで会ったことがあるような気持ちを抱かせ、視聴者に親近感を与えてくれるように思えます。幅広く活躍しているマキタスポーツの魅力にせまります。


大きすぎない演技が異彩

張りあげない声、大きすぎない演技、ふざけている時と落ち着いている時の変わらない温度感が魅力的なマキタスポーツの演技。その魅力を一言で言うなら力みのなさかもしれません。例えるなら、無表情の顔つきが悪巧みに見えたり、慈愛にあふれる眼差しに見えたりして、折り線を入れ、見る角度によって怒ったり笑ったりするお札の顔のようです。


ドラマの相関図で見せる顔が異彩

マキタスポーツは1枚の写真に演じる人物の人となりを凝縮させる達人です。番組公式ホームページにある登場人物の相関図に、彼の姿を発見しただけで、プッと笑いがこぼれてしまいます。

2016年の新春に放送されたNHK『富士ファミリー』の神社の事務員は、苦々しくもにこやかにも見える可笑しさ。日曜ドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』では、クールな表情が多い登場人物のなかで、ひとり強い目ヂカラで異彩を放ちます。『戦う!書店ガール』の沖縄料理店の店長はとても幸せそう。見事に1枚の写真にキャラクターの魅力を写し出しています。


制服姿で見せる個性が異彩

前述した『臨床犯罪学者 火村英生の推理』では、鑑識の八十田宗徳を演じています。口ではなく顎にかかっている“用をなさないマスク”がポイント、のんきな雰囲気の鑑識です。

『ドクターX~外科医・大門未知子~』では白衣姿で気弱な医師を表現、『地獄先生ぬ~べ~』では住職の法衣姿でよからぬことを考えます。『ルーズヴェルト・ゲーム』では、青島製作所の青い法被(はっぴ)で野球部の試合を強烈なヤジで熱く応援。制服という型を破り、伸び伸びと私たちを楽しませてくれます。


オジサンを多彩に演じる異彩

誰しも年齢を重ねると、ちょっと若く見せようとするものです。しかし、彼は年相応を楽しんでいます。すべての人物にオジサンの「人生謳歌」と「哀愁」を漂わせ、愛されるオジサン像をいろんな角度から見せてくれるのです。

『HERO』で演じた関刑事は、木村拓哉演じる型破りな検事の久利生公平の行動に、ちょっと困った顔をしながら、彼の話に耳を傾ける人物。若かりし頃の正義感と望んでいないしがらみをうまくにじませ、オジサンの現実と哀愁をみごとに見せてくれました。

愛すべきオジサンだけでなく、ダメなオジサンや嫌なオジサンもマキタスポーツの得意とするところ。『平成猿蟹合戦図』ではどこから見ても怪しい殺し屋を、『ラスト・ドクター ~監察医アキタの検死報告~』では、これまたどこから見ても憎たらしい監察医を、『PANIC IN(パニックイン)』や『みんな!エスパーだよ!』では、女性が好きすぎてどうしよもない人物を演じています。

難しいことを抜きにしオジサンを楽しむ姿勢にもマキタスポーツらしさを感じます。


にじみでる人間性が異彩

お笑い以外にも音楽、ラジオ、映画……多彩な彼には高い人間性を感じます。それは自分自身の価値観をきちんと確立しているから。それゆえ、彼の演技を安心して見ることができるのかもしれません。

好奇心、探求心の赴くままに、知りたいことを知る、やりたいことをやる、歌いたい歌を歌うそんな生き方がマキタスポーツの演技にも生きているのでしょう。


おそらく今後も俳優業でますます活躍の場が増えていくであろうマキタスポーツ。少年のような好奇心とオジサン年齢の楽しみ方をうまく交差させ、想像もできない役がらを、いとも簡単に見せてくれるに違いありません。

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