アドバイス1 治療をするくらいの気持ちで、人の助けを借りる
ご相談内容を拝見しました。内容は少し深刻かもしれません。できるだけ早く、改善する方向に進みましょう。そこでまず大事なのは、奥様の気持ちです。おそらく、奥様は大切な家族のお金を大きく減らしてしまったことで、 自分自身を責めていると思います。その意味で、ご主人やお子様は被害者ということになりますが、では、奥様が加害者なのかと言えば、おそらくそうではありません。奥様もまた被害者なのだと思います。物質に翻弄されがちな現代ですから、買い物を誘発されてしまうある意味被害者といっても言い過ぎではないでしょう。
となれば、少しオーバーかもしれませんが「買い物依存症」を治療するくらいの気持ちを持ってもいいかもしれません。コメントを拝見していると、一人で取り組むには限界があるように感じます。最後に力になってくれるのは、やはり家族です。まずはご主人に正直に打ち明けてはどうでしょうか。
奥様は「それだけは避けたい」と考えているかもしれません。しかし、毎月10万円も返済して、それなのに借入額は増える一方では、打ち明けるのが遅くなるほど事態を悪化させかねません。もっとも身近にいる人の理解と協力を最大限活用しましょう。もしも本当にご主人が何も気付いていないのなら、事実を話すのは怖いことでしょう。ご主人から叱責されることもある程度は気持ちの準備をしておく必要があるかもしれません。それであっても、ずっと話さず先延ばしにするよりは、改善へ方向転換させることにつながるはずです。
私は「買い物症候群」さんと直接お話ししていないので何ともですが、もしかすると、専門のカウンセラーなどの助言をあおいだ方が改善には近道かもしれません。あくまで選択肢の一つですが、いずれにしても、とにかく大事なのは、一人で解決しようと思わないこと。改善する気持ちを諦めないことだと思います。
アドバイス2 奥様の収入を活かせれば道は開ける
まずは、とにかく借り入れをいち早く返済したいところです。お気付きのようにローンが多いのが気になります。住宅ローンだけでも現在残高3300万円。25年返済としているため、年間の返済額も大きなものになっています。加えて、自動車ローンも2台分。奥様の借入金にいたっては、金利が15%のものもあります。マイナス金利が導入され、ローン金利がさらに低下している昨今で、相対的にみるとこの金利は高いですね。
返済のために借入してしまう状態ではなく、収入から少しずつ返済を増やしていき、借入残高を減らす方へ、大きくシフトチェンジを目指しましょう。
大丈夫、奥様の収入があります。正社員でまとまった収入があるのはとても心強いことです。実質の手取りは20万円でボーナスは年間100万円。しかも毎年安定して支給されるとのことですから、手取りで340万円が確保できています。でも、忘れないでください。このお金は買い物のためのお金ではなく、いまは返済用のお金と捉えるようにしましょう。
だとすれば、奥様が現在返済している月10万円、年間120万円の返済から、さらに100万円、150万円と上乗せしての返済が可能です。そこで金利の高いもの、完済しやすいものから返済し、毎月の固定支出を減らすことを目指したいところです。ローン返済とともに考えないといけないのが、相談文にもあります、教育資金です。
ご長男の大学資金については、時間的に奨学金や教育ローンの利用もやむなしでしょうか。ただし、奨学金については給付型でなければ、お子様に大きな負担を背負わせることを親子ともども十分に理解しておきましょう。もし祖父母からの援助も期待できるのなら、伺ってみるのも一案です。
また、奥様の買い物が改善されれば、ローンの返済に回さず、収入を一時的に教育資金に充てるという方法もあります。たとえば、初年度分の入学金と授業料(100万~150万円)の一部をそこから出し、どうしても足りないなら教育ローンを使うという選択肢もあるはず。もちろん、次男の方の教育費の準備も考慮しなくてはなりませんから、慎重に方法を選んでください。
アドバイス3 クレジットカードを手放す生活に
一つ私からの提案です。買い物を減らす効果がどの程度期待できるか分かりませんが、いったんクレジットカードを手放してみてはいかがでしょうか。クレジットカードや電子マネーのようなキャッシュレスでの買い物は、現金で買い物をするよりも多かれ少なかれ金銭感覚を希薄化させることにつながり、ムダ使いをしやすくなるのはよく指摘されることです。
カードを使わなければ生活は不便になるかもしれませんが、むしろ、その方がいいのです。お金を出すことの不便さによって、お金を「使った」という感覚がより強くなることの方が、いまの「買い物症候群」さんには大事な気がします。
厳しいことをいうようですが、モノで人の気持ちは満たされません。ご自身、すでに気付いていらっしゃると思います。買っても買っても、それが終わらないことが何よりの証拠でしょう。買い物やモノに頼らず、もっと大切なご自身の家族のことを思って、ご家族を頼ってみてはいかがでしょうか。
告白することはとてもツラい一歩だと思いますが、それ以上に意味のある一歩だと思います。ご家族との絆を深めることで、結果的に家計も必ずよくなることでしょう。陰ながら応援しています。がんばってください。
教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
取材・文/清水京武
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