湖畔沿いに広がる都市部(高原地帯)での服装
空路の玄関口でもあるチューリッヒやジュネーブ、首都ベルン、フランス国境のレマン湖畔に面するローザンヌ、ドイツ・フランス国境とも近いバーゼル、イタリア国境に近いロカルノ。著明な都市部は標高260m~500m近くにあります。スイスにありながらも一年を通して温暖な気候で、富裕層の保養地が多いエリアとしても有名です。それでも昼夜、天候による一日の気温差は日本よりも大きいので、スカーフや上着一枚のプラスアイテムを。冬でも街中は氷点下になることもありますが、室内は暖房が完備されているので、重ね着をしておくと調整しやすくなります。
スイスは一年を通して山でのスポーツを楽しみに来る観光客に人気の国。四つ星ホテルでも堅苦しいジャケットとネクタイ、ワンピースなどが必須ではありません(年末年始の特別ディナーを除く)。男性なら襟付きのシャツ、女性ならパンツスタイルでも、小ぎれいなスカーフ一つで十分、スイスの夕食時でのマナースタイルになります。
春・初夏(4月~6月)
日本での芽吹きの季節と言われる春は、標高差のあるスイスでは気候に大きな違いがあります。都市部では日中との寒暖差が激しいので、一枚羽織れる上着があると便利です。夏至に近づくにつれ、日は長くなり夕食時でも明るく長い一日を楽しむことができます。例えば6月1日頃の日の出が朝の5時半、日の入りは21時半ごろになります。
夏・秋(7月~10月)
7月、8月は日中、30℃近くまで上がることもあります。ノースリーブや短パンなど軽装で過ごす人が増え、海の無いスイスでは川や湖畔で泳ぐ人々を見かけます。近年、昔より気温が上がりクーラー設備の少ないスイスでは熱中症の事故があります。日本にいるときより、体内の水分は蒸発しているので、こまめな水分補給が大切です。
9月に入ると日没後の気温が一気に下がってきます。10月最終週の日曜日でサマータイムが終了し、日本との時差が8時間になります。この頃には日の出が7時、日の入りが17時過ぎと日照時間も短くなってくるので、気温が下がる時刻も早くなります。寒暖差が激しいので、防寒具も常備する季節です。
冬(11月~3月)
スイスはアルプスのイメージが強いので、一面真っ白になる印象を持たれがちですが、標高の低い都市部が、雪に埋もれてしまうことはめったにありません。降雪があれば、街中でも雪の上を歩くこともあるので防水機能の靴底がしっかりしたもの、またはスノーブーツがおすすめです。逆に、公共交通機関や建物の中は暖房設備が整っています。簡単に脱ぐことができない下着で厚着をしてしまうと、レストランなどで大汗をかくことも。薄手のウール素材をインナーにし、しっかりと暖の取れる中間層にフリースやダウン、セーターなど。最後のアウターに風を通しにくいジャケット等で三層の重ね着を基本にしましょう。
アルプス(山岳地帯)での服装、持ち物
国土の約6割が山岳地帯で高低差があるため、同じ時期でも標高差によって1~2カ月の気温差が出ます。携帯に便利な防寒具は一年を通して大活躍! 牧歌的な雰囲気の牧草地が広がり、氷河を抱いた空をつくような山々が迫るアルプスの村々は、標高1000m前後から2000m付近に広がっています。村の散策だけでなく、ゴンドラや登山鉄道が発達しているスイスでは、一年中、標高4000mに近い展望台や標高3000mに近い山岳ホテルへ簡単にアクセスでき、春から秋のハイキング、冬のスノーシューハイキングでは標高1000m前後から3000mも超えるコースまで、標高差に対応できる重ね着が基本になってきます。
また、紫外線量も日本の比ではなく、サングラス・日焼け止め・帽子等は季節関係なく携帯必須のアイテム。梅雨や雨季といわれる季節はありませんが、山の天気は変わりやすく、短時間でまとまった激しい降雨の日もあります。こんな場所では防寒具にもなるカッパ上下がとても役立ちます。標高の高い場所になると、突風や雷が危惧される際の折り畳み傘は、あまり有用ではありません。
春・初夏(4月~6月)
標高が低く日当たりがいい場所では、4月は高山植物が満開となりますが、標高が高く日が当たりにくい場所では6月に入っても残雪が残ります。こんな時期は、太陽の下では暖かく感じますが実際の気温は低いので、10℃前後の気温にも対応できる防寒具と、薄手のフリースや薄手のダウンをプラスアイテムにすると重宝します。ハイキングコースには残雪やぬかるみもあるので、靴底がしっかりした歩きやすい靴を用意しましょう。
夏・秋(7月~10月)
清涼な気候の山岳地帯では一日中薄手の長袖でも過ごせる23℃前後の過ごしやすい気候です。半袖やノースリーブの軽装も見られますが、風が吹くと体感気温が一気に下がるため、薄手の風を遮るジャケットやシャツを携帯しましょう。人気のあるハイキングコースは標高1500m~2500m付近に多く広がります。突然の雨天に備えたカッパを携帯しておくと防寒具にもなるので、街歩きにも兼用できます。観光地で標高4000mに近い展望台へ上がると、氷河が目の前に迫り、場所によっては氷点下の雪原に立つこともできます。コンパクトにしまえるダウンなどは、携帯もしやすいので常備すると役立ちます。
山岳地帯では7月や8月に季節はずれの雪が降ることも珍しくありません。9月になると標高の高いエリアでの雨が雪に変わることも。そういった気温の変化に対応した重ね着を重点に置いた服装を心掛けてください。
冬(11月~3月)
山岳リゾート地では標高1000m~2000m付近では日中でも氷点下になることもありますが、湿度が無いため、風が無ければ日の当たる場所ではプラスに感じる日もあります。とは言っても、10月末~3月終わりにかけて冬物のジャケットは必須アイテム。標高の高い場所へ上がる、または急に気温が下がった際は、暖かいニット帽と首回りを温めるネックウォーマーなどプラスできるものを準備しましょう。また、サイズの異なる貼るカイロも肩甲骨の間、腰などに貼るだけで体温が1~2℃上がります。
乾燥が気になる方は、好みに合った乾燥対策のアイテムを持ち歩くと役立つでしょう。スイスでは基礎化粧品も力を入れているので、緑の十字架マークの薬局で、ハンドクリームなどを手に入れるのも、お土産を兼ねて楽しめるのでおすすめです。
スイス旅行に持ってくると便利なグッズ
- ウィンドブレーカー(写真中央、EXライトウィンドジャケット約40g、メーカー:モンベル)
- ダウン(写真左手、プラズマ1000ダウンジャケット約112g~135g、メーカー:モンベル)
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防水機能のあるカッパ、またはリュックの上からも被れるポンチョ
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ネックウォーマー(写真手前、薄手綿もウール素材もあり、メーカー:BUFF)
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手袋
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帽子(季節により日よけに重点、または暖をとるものとして)
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サングラス
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日焼け止め
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リップやハンドクリーム、喉スプレー(乾燥対策)
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カイロ(サイズの異なる貼るタイプがおすすめ)
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ハイドレーションシステム(写真右手、メーカー:CAMELBACK)
ハイキング中の服装、持ち物
上記の便利グッズに加えて、ハイキング目的の方は以下の持ち物や服装も参考にしてみて下さい。コースの距離、標高差によって装備は変わりますが、基本となるものは全て同じです。特に高山病予報、乾燥対策は重要です。
- 歩きやすい靴(靴底がしっかりと滑らないもので、足首までのハイカットタイプが理想的)
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肩甲骨から腰までのサイズに合わせたリュック
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二本ストック
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循環機能や保温を目的としたタイツ
(サポートタイプの圧が強いタイツだと高所に上がった際に、圧迫され過ぎていると気分が悪くなることがあります。) -
下着は汗をかいてもすぐに乾くような素材がベスト
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水分補給できるハイドレーションシステム
(高山病&乾燥対策に。しっかりと歩く方はリュックに装備できるタイプまたは、上着のポケットにも入るようなソフトボトルタイプ。各メーカーから用途に応じた商品が出ているので、研究してみましょう。) -
三層レイヤーを意識した重ね着
(速乾性インナー、気温に合わせて中間レイヤー、風・雨を通さないアウターが基本スタイルです。)