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2016年は銀行株の下落が新たなトレンド

2016年から新たにトレンドとなってきたのが銀行株の下落です。とりわけ欧州銀行株と世界株式市場が連動して下げている様子です。それでは、このまま銀行株は下げ続けるのか?今後の見通しに迫ります。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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2016年は銀行株の下落が新たなトレンド

2016年は銀行株の下落が新たなトレンド!?強烈なリスクオフ相場はなかなか終わりそうになり

2016年は銀行株の下落が新たなトレンド!?強烈なリスクオフ相場はなかなか終わりそうになり

2016年から新たにトレンドとなってきたのが銀行株の下落です。とりわけ欧州の銀行株と世界株式市場が連動して下げている様子です。資源価格急落に伴う資源企業の破綻懸念が、融資元の銀行の焦げ付き懸念に繋がっています。

また、資源企業の多くはジャンク債を発行することで資金調達しており、こうした投資不適格債券価格が暴落しています。代わって安全な高格付けの国債に買い集中し、日本の10年債券などは買いが殺到し過ぎた結果、日本国債の金利はマイナスとなりました。また金にも買い殺到して金価格は急騰しており、金鉱株も大幅続伸です。

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欧州の銀行株については2011年と2012年の夏場にギリシャショックから南欧危機(PIIGS危機)に発展し、EUが空中分解するのではないかと疑われた時にも強烈な信用収縮が起き、株価が下落しました。欧州の銀行株はその当時に迫るほど急落しており、各国株価指数を押し下げています。

ドイツ銀行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が急騰

その中の一つ、ドイツ銀行(DB)は特にひどい状況です。同社の株価は2月9日に、ついにリーマンショック時の瞬間安値を下回りました。半年前に比べても57%下落しました。ドイツ銀行は2015年7-9月期に▼60.1億ユーロ、10-12月期も▼21.2億ユーロの最終赤字に沈んでいました。投資銀行部門のリストラ費用の計上が大きい上に、金利低下(欧州もマイナス金利)で利鞘収入も減っています。

そして何より同社は1兆4,000億ユーロという、天文学的な残高にも思える金融派生商品(デリバティブ)を保有しており、このリスク資産に不安集中しているものと思われます。同社は収益を高めようと、ハイリスク・ハイリターンのデリバティブ商品に注力してきました(そしてそれを現在リストラ中)。リーマンショック時に破綻した金融機関と同じ構造が気になります。ドイツ銀行の発行した債券に対する利払い能力を疑う見方も出ており、安値更新が止まない状態が続いていました。その負の連鎖に輪を掛けたのが日銀のマイナス金利導入ではないかと思います。同行の破綻シナリオに対する一種の保険である同社クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格は日銀以降急騰しています。上昇するほど市場は破綻確率が高いと見ていることになります。

もっとも、2月12日はドイツ銀行が54億ドル相当の社債を買い戻すと発表したことで安心が拡がり、大幅高とそのほかの銀行株も急反発となりました。12日15時に引けていた日本のメガバンク株はこの銀行株ラリーに参加できなかったのですが、2月15日(月)は大幅反発で開始されるはずです。

ただし、こちらもこの日10%前後も上昇したと言っても、年初来で見れば30~40%も下がっているような状態です。今回の反発は一時的な反発となる可能性があると思います。現在は強烈な下落トレンドの最中ですが、だからこそ逆に急激な反発が起こりやすいのです(歴代上位の急反発のほとんどは長期下落トレンド中に発生しています)。

結論的に今年は、(リーマンショック以来の)超ハイボラティリティーが相場を支配し、資産価格に壊れが生じだしているのが現状況と思います。一旦資産のひび割れを見てしまった投資家は、今後の戦略でも恐怖が勝ってしまい、上がったところは常に売り(逃げ)で来るため、長期下落トレンドはなかなか簡単に終わらないと思います。もっとも、長期下落トレンドの中にも、中央政府の金融政策の変更などをキッカケとして1~3カ月にわたる強力な反発が生じることもあります(2008年もそうでした)。それが本格的な上昇トレンドに転じるものなのかどうか、現時点で判断はできませんが、とりあえず今は下手に動かず、そのタイミングを待つ段階と思います。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

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