マネープランクリニック相談「そこそこの生活」を望む早期リタイヤが印象的
マネープランクリニックで相談にのるファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんにコメントをもらいました
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これまでいただいた相談内容を見返していくと、世相を反映しているのがよくわかります。家計が苦しいという相談の要因として、非正規雇用や正社員であっても賃金の低いケースが少なくありませんでした。一時期待されたトリクルダウンも、実は起こっていなかったということがわかります。保育園に空きがなく、すぐに働けないという相談者の方もいて、まだまだ待機児童の問題は深刻だと感じました。
そういう中で、個人的にもっとも印象に残ったのは、早期リタイヤに関する相談の多さです(過去9件登場)。早期リタイヤというと億単位の資産があり、優雅な老後生活を送る、いわば「お金があるのでもう働かない」というイメージですが、ここで取り上げた大半は「もう働きたくないのでリタイヤする」というもの。
十分な貯金を持ち、早期リタイヤを望む相談も多かった
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早期リタイヤ・セミリタイヤしたい人のお金の悩み相談
心身が疲弊し、ストレスを抱え、転職ではなく、もうバリバリ働く気にはなれないというのが動機です。中には30代の人もいました。そして、そういう人たちの多くがリタイヤ後の生活も「そこそこでいい」と考えています。
こういう人たちがリタイヤを可能にするためのポイントは2点。ひとつは、生活のダウンサイジングです。受け取る年金額や早期退職金、手持ちの貯蓄にもよりますが、長生きリスクを考えると、どうしてもリタイヤ後の生活費は落とさなくてはいけません。中には3割、4割というケースもありました。これが実際できるかどうかです。
もうひとつは、貯蓄を取り崩す生活に順応できるかということ。早期リタイヤを考える人は、それまで人一倍、家計管理をしっかり行い、貯蓄に励んできた人たちです。今度は貯めるのではなく、手持ちのお金をひたすら使うという、これまでと180度異なる生活です。目に見えて手元資金が減る生活は不安になりすし、ストレスに感じるかもしれません。そういう生活を送れるかどうかです。
貯蓄ゼロで悩む人は支出と予算の根本が間違っている
「貯蓄がありません」という相談も目立っていました(過去9件登場)。2013年の「家計の金融動向に関する世論調査」(金融広報中央委員会)で、30代の2人以上の世帯の「貯蓄ゼロ」の割合が統計開始後はじめて3割を超えましたが、この数字も実態に近いのではという気がします。貯金がゼロの人は収入と支出のバランスの見直しを
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貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯
ただし、この相談は、低所得ゆえできない人と、ある程度収入はあるのにできない人に二極化していました。ただし、どちらも基本は同じ。貯蓄分を引いて残りで生活をするということ。それができれば、貯蓄は必ずできます。
たとえば、月収が30万円あって、5万円を貯蓄するとします。そのためには、月25万円で生活費をやりくりしなくてはいけません。オーバーすれば、支出に優先順位をつけ、削れるところは削るという作業が必要です。ところが貯蓄ができない人は、この費目はいくら、この費目はいくらと個々に予算をつけて、合計でこうなるから貯蓄できないと悩んでいる。とくに、収入のある世帯に多い傾向です。貯蓄ゼロから脱するには、やりくりの根本を変えていかなくてはなりません。
30代独身の人が老後を心配するのは早すぎる
老後を心配する若い世代の相談者も多くいました。とくにシングルの方が多かったと思います(過去7件登場)。老後への不安はわかりますが、30代で心配というのは、時間軸がズレていると感じます。資金的に余裕があればまだいいのですが、個人年金保険等で老後に備える結果、今の生活が貯蓄ゼロでは、それこそ本末転倒です。まずは足元の生活で、しっかり貯蓄をしていくこと、そして健康に留意することが、結果的に老後対策につながるはずです。何のためにお金を貯めるのか、優先順位を考えよう
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独身・シングルの方のお金悩み相談
ともあれ、複雑な事情、レアなケースの相談が多いのも、このクリニックの特徴のような気がします。しかし、それはそれで意味のあることです。お金の相談というのは親兄弟でもしにくいもの。一人で悩まず、気軽に相談をしてほしいと思っています。
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