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「女人高野」室生寺で出会える、心洗われる雪の情景 (2ページ目)

奈良県北東部、三重県境に近い宇陀(うだ)市にある室生寺。「女人高野」の呼び名と、日本最小の五重塔で知られるお寺です。室生寺は春のシャクナゲや、秋の紅葉が有名ですが、旅行コラムニストが心奪われたのは雪化粧した室生寺。その心洗われる優美な情景と室生寺の魅力を、写真と共にお伝えしたいと思います。

森川 天喜

執筆者:森川 天喜

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日本最小の五重塔

さて、本堂の左手の石段を登っていくと、次第にその姿を現すのが、奈良時代末または平安時代初期に建てられたという、高さ16.1mの小さな五重塔(国宝)。

高さ16.1mの小さな五重塔(国宝)

高さ16.1mの小さな五重塔(国宝)


この五重塔は、屋外に建つ歴史ある五重塔としては、日本最小といわれます。ちなみに、日本一の高さを誇るのは、京都の東寺(教王護国寺)の五重塔で、高さ55mです。

しかし、石段から見上げると、小さいという印象は受けません。むしろ、雪化粧した木々の中に静かに立つ、その均整のとれた優美な姿に、心洗われる心地がします。

ところが、塔の裏手の少し高い場所へ移動すると、「ミニチュアのようだな」と感じます。周囲の木々や石塔の大きさと比べてしまうからだと思いますが、不思議なものですね。

別の場所から見ると、印象が異なる

別の場所から見ると、印象が異なる


また、この塔をはじめて見た人は、「歴史の古い塔の割に、新しい感じがするな」と思うかもしれません。

実は、平成10(1998)年の台風で、周りの杉の木が倒れかかり、五重塔は大変な被害を被りました。一時は、もう修復は無理かもしれないとも思ったそうです。

ところが、このことをニュースで知った多くの人たちから、またたくまに寄付が集まり、予定よりも早く、台風から2年後には修復を終え、その優美な姿を取り戻すことができたのだそうです。

「新しい」と感じるのは、この修理の結果ですが、時を経れば、次第に周囲の景色に馴染んでいくのでしょう。

室生寺の四季

今回は、冬の室生寺を紹介しましたが、このお寺は四季折々に様々な魅力があります。

4月から5月にかけて、室生寺はシャクナゲの花で一杯になる

4月から5月にかけて、室生寺はシャクナゲの花で一杯になる


室生寺といえばこの花というほど有名なのが、4月下旬から5月にかけて最盛期をむかえる石楠花(シャクナゲ)。その数、およそ3000本といわれ、鎧坂や、本堂・五重塔付近、さらに奥の院へと通じる急な石段の辺りでも見ることができます。

紅葉の季節の室生寺仁王門付近

紅葉の季節の室生寺仁王門付近


また、全山紅葉する秋の室生寺も、煌(きら)びやかでおすすめです。

<DATA>
■室生寺
住所:奈良県宇陀市室生78
拝観料:大人600円・子供400円
拝観時間:4月1日~11月30日 8:30~17:00 / 12月1日~3月31日 9:00~16:00
アクセス:近鉄室生口大野駅から室生寺前行きバス終点下車徒歩5分
地図:電車・バスでのアクセス
ホームページ:女人高野 室生寺ホームページ

ちょっと足を伸ばして

【室生龍穴神社】
せっかく室生寺まで来たのなら、室生寺から川沿いに15分ほど歩いたところにある、室生龍穴(りゅうけつ)神社へも足を運んでみたいところ。

室生山地には「龍穴」と呼ばれる洞窟があり、龍の住処とされ、古来より雨乞いの水神信仰の対象とされてきました。奈良時代から平安時代にかけては、朝廷から勅使が来て雨乞いの神事が営まれたそうです。

一説によれば、龍穴神社の歴史は室生寺よりも古く、室生寺は龍穴神社の神宮寺として創建されたともいわれます。

室生龍穴神社

室生龍穴神社


【長谷寺】
多くの人が、室生寺とセットで参詣するのが、「花の御寺(みてら)」とも呼ばれ、『源氏物語』などの古典にも登場する奈良の長谷寺。

近鉄大阪線で、2駅ほど離れた「長谷寺」駅が最寄りですが、春と秋の行楽シーズンには、長谷寺と室生寺を結ぶ臨時バスが運行されます。

<DATA>
■長谷寺と室生寺を結ぶ臨時バス
奈良交通株式会社

■長谷寺
花と物語に彩られた古刹 奈良大和路の長谷寺を歩く
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