着ない服、寄付して役立てたい!

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知っていますか? 寄付した古着はどこへ行くのでしょう

長く大切に着たいとは思っていても、体型や生活の変化で、着られなくなってしまう服って、どうしても出てしまうもの。

まだじゅうぶんきれいな服であれば「寄付する」という方法があります。服もムダにならないし、世のために役立てるかも……?
でも、どんな服を、どうやって寄付すればいいの? 寄付した服は本当に役立っているの?


「JFSA」さんにお話を聞いてきました

jfsa

JFSA千葉センター。事務局、倉庫、ショップが一カ所に
 

そんな質問を、古着を活用してボランティア活動を行っている、「日本ファイバーリサイクル連帯協議会(JFSA)」さんにお聞きしてきました。

JFSAは、1993年に活動を開始し、1995年に設立された老舗NPO。一貫して、古着の回収によって、パキスタンの貧困地域での学校運営をサポートしています。
「私たちが支援しているのは、パキスタンのカラチにある私設学校“アルカイール・アカデミー”で、通っているのは5歳から15歳までの子供たちが中心です」(JFSA広報・桑山さん)。
アカデミーでは無償で授業が受けられます。また、無償で教材や文具が提供され、必要な生徒には、給食が供与されます。


古着で学校運営を支援

ちびちゃん授業

アル・カイールアカデミー分校の子供たち。10歳以上の識字率は60%(パキスタン統計局)

パキスタンには、日本のような義務教育制度がありません。そのため大都会カラチの貧困地域の子供たちのほとんどは、小さい頃から家計のために働くことを余儀なくされ、学校に通うことができずにいます。アル・カイールアカデミーに通うことで、子供たちは、文字の読み書きや計算、理科や職業教育(日本のNGO「地球市民交流基金アーシアン」による)などを受けることができます。その活動を支えているのが、寄付によってJFSAに集まる古着なのです。


古着を支援に変えるしくみ

古着を募るのは、アカデミーに通う子供たちが着るためではなく、パキスタンで販売し、その利益でアカデミーを運営するため。寄付された古着のうち、パキスタン国内で市場価値のあるものは海路輸出され、販売されます。その他の古着も日本で販売されて、国内での活動を支えています。

市場

パキスタンの古着市場(ライトハウスバザール)


「アル・カイールアカデミー創設者で現校長のムザヒル氏は、1987年に10人の子ども達と学校を始めました。最初の頃は、寄付という形で学校を運営していました。しかし、寄付は人頼みなので、額が不安定です。学校を継続させるためには、安定的な収入が必要です。そんな時に出会ったのが、パキスタンの人々と事業を通してパキスタンの子どもたちに学ぶ機会を作れないかと考えていたJFSAです。JFSAとAKBG(アル・カイールビジネスグループ)の取り組みは“与える、やってあげる”ではなく、“仲間、パートナーとして活動する” ことなのです。」(JFSA理事・田辺さん)


寄付品はタダでも、タダでは送れない!

仕分け作業

台の上に服を広げて仕分け作業。種類が多く、分類がむずかしい
 

持ち込みや宅配(送料は送り主負担)によってJFSAの千葉センター(千葉県千葉市)または東葛センター(千葉県柏市)に集められる古着の量は、年間 130tほど。
古着自体は寄付品です。ですが、それが学校の運営を支えるために多くの手が必要になります。ボランティアや協力団体のスタッフがそれらを1点1点確認し、選別・梱包、船積みしたりしなければ、古着は活用できません。JFSAに寄せられた古着は、倉庫での保管するための家賃、古着を選別・販売するための人件費、パキスタンまでの海上輸送費、関税などの税金など、さまざまなコストがかかって活かすことができます。


古着の仕分けには手間がかかる

仕分け箱

仕分けした服をそれぞれの場所に置いていく。たちまち箱がいっぱいに
 

JFSAの千葉センターで、実際の仕分け作業に参加させていただきました。この日行われたのは、古着を75種類に分ける「一次選別」。「男性長袖」「男性 半袖」「女性長袖」「女性半袖」「ジャケット」「ニット」など、種類別に札のついた箱や袋が用意されています。ボランティアの皆さんは、古着の山からつか み出した服を腕にかけ、右往左往しながら目当ての札を探し、どんどん重ねていきます。「ワンピースはどこでしたっけ?」「中古のシーツでーす!」「子供服 の袋はー?」

古着のコストは人のコスト

カレー

ランチ休憩にスタッフが供してくれる本格パキスタンカレー。ボランティアへのケアも一仕事

ベテランのボランティアさんもいますが、慣れない場所で慣れない作業のこと、ほとんどのボランティアさんは置く場所を間違えたり、ときには勢い余ってぶつ かりそうになったり。「半袖? 長袖? 男物?」と、デザイン性の高い服は判断に悩むことも多く、なかなかスピーディーには仕分けられません。
「古着の選別は機械化ができず、手間のかかる作業です。大手の古着業者は、人件費の安い海外に工場を作って選別を行なっています。」(田辺さん)


仕分け → コンテナ積み → 海路輸送

コンテナ

第51回コンテナ積み出し作業に関わった人たち。パッケージは1個50キロと体力の要る作業

20人ほどのボランティアが半日程度作業して、処理できた古着の量は3.5トン。目の前の30tの古着の山を全部仕分けできるのは、まだまだ先 のようです。この後さらに、季節や状態によって120種類に分別する二次仕分けを経て、古着はパキスタンに送られるもの(8割)と国内で販売されるもの (2割)に分けられます。そこからまた、パキスタン向けの古着を50キログラムのパッケージに圧縮し、一つひとつコンテナに積み込む力作業が必要になりま す。古着が次の人に手渡されるためには、たくさんの人手が必要であることがよくわかりました。


20年以上で生徒数3500人の大所帯に

本校

カラチ市内ニューカラチにある、アル・カイールアカデミー本校の授業風景
 

JFSAがコンテナで古着を送るようになってから、今回は51回目(2016年1月)の積み出しだそうです。最初は10人の子供から始まった学校は、今や3500人の大所帯 となり、教育を受けるだけではなく、貧困の中厳しい暮らしを強いられる子供たちを、ドラッグや犯罪から守る役割も果たしています。ここに通っていた子供の 中には、成長してアカデミーの教師になった女性や、職業訓練の成果を生かして電気関係のビジネスに従事している男性たちもいます。息の長い地道な活動の中で、善意から送られた古着は、立派に実を結んでいるのです。

どんな服を募っているの?

「募っているのは、服として再利用できるもの。ですから、シミや汚れ、破れなどのある傷んだものは除き、洗濯された清潔なものをお願いします。また、回収期間(年3回、1、5、9月)があること、受付品目に制限があることをご理解ください。お送りいただくときは、段ボールではなく、シーツで包んで十字に縛 るか、ゴミ袋や大型のバッグ(これも寄付していただけるもの)に入れてください」(桑山さん)

パキスタンの生活文化から、婦人物のスーツやスカートは受け付けていなかったり、意外にもブラジャーやガードルなどのファンデーション下着は中古も受け付けていたりと、独特の要望があるようです。


質の高い寄付品

フリマ

国内では、直営のショップのほか、フリマでも販売される(写真はJR船橋駅前)
 

こんなに大量の古着の中には、着られないものや役に立たないものも交じっているのでは? その処分にもコストがかかっているのでは? と心配していましたが、
「JFSAはホームページや、回収に協力してくださっている生協などの団体の広報を通して、古着や毛布などの回収を呼びかけています。団体のスタッフの方がパキスタンを訪れたり、送り出しの作業に参加して、古着のゆくえとその先に暮らす子どもたちの様子を広報誌で伝えてくださっています。また、団体が主催しているイベントに出店したり、活動説明や組合員の皆さんとの選別体験を行なわせていただくことがあります。そうした場を通して、皆さんから寄せられた古着が役立っていることを伝えています。組合員や会員の皆さん、実際に倉庫に古着を持ち込んでくださる近所の方が“少しでも役に立てば”という想いをこめて古着を寄せて下さっています。そのためか古着には汚れやシミ、傷みが無く、クオリティも高いものが多いです。送り方も丁寧で、清潔できちんと仕分けされた梱包が多く、助かっています」(桑山さん)

そのため、併設のショップで売られる国内向けの古着にはよいものが多く、東京・下北沢や原宿などの古着業者も買い付けに来るほど。年間集まる約130tの中でも、廃棄になってしまう古着はわずか100kgに過ぎないそうです。


日本のクロゼットは服でいっぱい

ファストファッション

洋服の低価格化によって、購買点数は増えているが…

一方、送られてくる古着を見ていて、スタッフが感じるのは、もののない時代を知っている高齢者が身辺を整理しようとしている“終活”と、ここ10年ほどで増えたファストファッションの浸透ぶりだそうです。低下価格化の進む洋服は、以前よりさらに気軽に、たくさん買われるようになっています。バブル崩壊後、経済は低迷を続けていますが、日本のクローゼットは相変わらず、服であふれています。


原料を作っている国の人たちは服が買えない……?

子供

教育を受けられず、市場で働く子供たち(ジュースの販売)

理事の田辺さんは言います。
「パキスタンは、世界有数の古着輸入国ですが、同時に、世界第4位の綿花生産国でもあるのです。綿花栽培に従事する人々の大半は小作人で収入は少なく、服は、古着を年に一枚買えるかどうか。この意味を、考えてほしいのです。私たちが買っている服が、どこから来たのか? 衣類の原料のない日本に、なぜこんなに服があふれているのか? その服を作った人はどんな暮らしをしているのか? そして古着を送るとき、そのゆくえにも、心をはせてほしいですね」


「寄付したら終わり」にしない

寄付は、自分の買い方、着方を振り返るチャンスです。「寄付したら終わり」では、クローゼットはいつまでたっても片付かないでしょう。
自分が寄付する服が誰のもとへ、どんな旅をするのかにも関心を持ちましょう。
寄付先は具体的な活動内容や収支を公開しているでしょうか?
寄付先の人々との交流はあるでしょうか?
善意を代行してくれる人たちを思いやって、送り方や品目にも注意してくださいね。そんな人が着た服ならば、必ず誰かの役に立ってくれるでしょう。


JFSAではボランティアを募集しています
●年に4回の送り出し作業 次回は2016年4月6日(水)9時~15時半頃
●年に4回の会報・回収案内発送作業 次回は3月末~4月初旬(土日)
●フリーマーケット出店・販売ボランティア 
4月23、24日 JR船橋駅北口デッキ 
4月3日         稲毛公園チャリティバザール (千葉市)
問い合わせ……jfsa@f3.dion.ne.jpまで

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