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クラリオンの「フルデジタルサウンド」がすごい理由

クラリオンが東京オートサロン2016で国内初お披露目した新しいフルデジタルサウンド、Z3、Z7、Z25Wの注目度が急上昇中。そのシステムを搭載したデモカーの音を聴いてきた。その凄さの理由とは?

石田 功

執筆者:石田 功

カーナビ・カーオーディオガイド

フルデジタルサウンドって何だ?

2016年1月15~17日に幕張メッセで行われた東京オートサロン2016で、クラリオン・ブースにオーディオ的には大注目のデモカーがあった。フルデジタルサウンド・システムを搭載したスバルBRZとVWゴルフである。

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オートサロンに展示されていたフルデジタルサウンド搭載のBRZ

フルデジタルサウンドとは何か。これまでも高級カーオーディオではデジタル伝送を使ったシステムがあったが、これとは違う。従来のデジタル伝送システムとは、CDなどのデジタル音源の信号をデジタルプロセッサーなどのデジタル信号処理部分に伝送するが、その部分の最終段階にD/Aコンバーターというデジタル信号をアナログ信号に変換する場所があり、出てくる信号はアナログになる。そのアナログ信号をパワーアンプで増幅し、スピーカーを駆動するという経路をたどる。

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従来のオーディオはデジタル信号を一度アナログに戻すがフルデジタルシステムはデジタル信号のままでスピーカーを駆動する


ところがクラリオンのフルデジタルサウンドは、スピーカーを駆動する信号までデジタル。そのためボイスコイルが6個ある専用のスピーカーが必要だったり、そのスピーカーを駆動するためにデジタルの音楽信号を複数のデジタル信号に分割するデジタル変調器があったりするのだが、スピーカーまで一度もアナログに変換せず、デジタル信号でスピーカーを駆動する。だからフルデジタルサウンドなのだ。

そのメリットは、
  1. 信号の劣化がなく原音を忠実に再現できること。
  2. 信号伝送中のノイズの混入がないこと。
  3. 効率良くスピーカーを駆動できるので消費電力が少ないこと。
大きなところは、この3点だ。

エコで劣化の無い高音質再生が可能

カーオーディオでは、音楽信号の伝送経路が長くなってしまいがちだから、伝送中の信号の劣化が起こりがち。また伝送中にオルタネーターノイズをはじめとした様々なノイズが混入しやすい。そんな信号伝送中の劣化やノイズの混入を、フルデジタルサウンドなら排除できるというわけ。

また、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)はもちろんのこと、アイドリングストップ車や充電制御車も、オーディオによる電力消費は少ないほうがいい。EVやHVはもろ航続距離に影響するし、アイドリングストップ車等は、大出力のパワーアンプ等による電力消費でバッテリーが弱ることによって、トラブルが発生する可能性がなくもない。その点、フルデジタルサウンドなら従来のカーオーディオ・システムに比べて5分の1の電力消費で済むため、クルマに優しいオーディオなのだ。

第二世代フルデジタルサウンドはサブウーファーも用意

そんなクラリオンのフルデジタルサウンド・システムは、フルデジタルサウンドプロセッサーのZ3(125,000円/税別)、17センチ口径のフルデジタルスピーカー、Z7(87,000円/税別)、25センチサブウーファーのZ25W(73,000円/税別)という3つの商品ラインナップ。フルデジタルサウンドの音楽を聴くには最低限、Z3とZ7、それにデジタル出力を持つプレーヤーがあればいい。

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フルデジタルサウンドプロセッサー、Z3の本体

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17センチスピーカーのZ7は6つのボイスコイルを持つのが特徴


そして、より低音再生を強化したいならサブウーファーを追加することも可能。Z25Wを使えば低音までフルデジタルサウンドで再生できるし、サブウーファー帯域に関してはアナログ出力も装備されているので、既存のパワードサブウーファーや外部アンプ+ユニットタイプのサブウーファーを使用することも可能だ。
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サブウーファーもフルデジタルで駆動


色付けのないクリアで密度の高いサウンド

さっそく、フルデジタルサウンドを装着したBRZで音楽を聴いてみた。Z3+Z7+Z25Wをフルに使った構成で、音源は特別に改造して光デジタル出力を設けたスーパーワイドナビで再生している。Z3のプロセッサー本体は、助手席の足元のカーペット裏に設置していて見えない状態。本体は幅116ミリ、奥行180ミリ、高さ37ミリというコンパクト・サイズだから、こんな場所へ設置しても邪魔にならない。コントローラーはインパネのエンジンスタート・ボタンの左横に埋め込んでいる。

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ボリューム調整や入力切替等ができるコントローラーはコンパクト


17センチスピーカーのZ7はドアに装着。ピラーに装着されているトゥイーターはZ3に付属しているものだ。サブウーファーはラゲッジルームに約35リットル程度の密閉ボックスを作り、それに入れて鳴らしている。

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Z3に付属するトゥイーターはAピラーに

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17センチスピーカーのZ7をドアに装着


まずはCDを聴いたのだが、レコーディング・スタジオのモニタースピーカーで聴くとこんな音なんだろうなと思わせる、クリアで色付けのない音だ。フルデジタルというと、どうしてもガチガチに硬い音を想像してしまいがちだが、そんなことはない。CDなのに、ハイレゾ再生を思わせる密度の高い音で、空気感まで伝えてくれる。

ハイレゾもフルデジタルサウンドで楽しめる!

クラリオン・フルデジタルサウンドは、ハイレゾ再生にも対応しているので、次にiPhoneを使ってハイレゾ音源を聴いてみる。Z3のUSB端子にライトニングケーブルで直接iPhoneを接続してもハイレゾ音源は聴けないが、間にライトニング-USBアダプターを挟み込むことで、iPhone内のハイレゾ音源の再生が可能になる。プレーヤーアプリはオンキョーのHF Playerを使用した。

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iPhone内のハイレゾ音源もフルデジタルサウンドで聴ける


ハイレゾ音源を一度もアナログに戻すことなくスピーカーで再生する音を初めて聴いたが、これはいい! 付帯音がなにもないハイレゾ音源がこれほどクリアで、密度が高く、音がシャキッと立っているのかと、ちょっとびっくりする。最大96kHz/24bitなので、192kHz/24bitの音源はダウンコンバートされるが、そんなことは些細なことと思えるクオリティの高い音で音楽が楽しめる。

もともとアナログ的な音が好きという人には無理にオススメはしないが、音楽を良い音で楽しみたい人、オーディオのグレードアップに伴う電力消費の増大が気になる人は注目したいアイテムであることに間違いない。発売は2016年4月を予定しているが、2月12~14日にインテックス大阪で開催される大阪オートメッセ2016のクラリオン・ブースにデモカーを展示する予定なので、気になる人は会場で試聴してみることをオススメしたい。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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