生活習慣病になりやすい職業・肥満になりやすい職業……職業と病気の関係
生活習慣病予防は十分可能です
「職業によって生活習慣病にかかる人が多い職業とそうでない職業はあるのですか?」と聞かれることがあります。実際に病院で患者さまのお仕事を伺っていると、生活習慣病にかかっている職業には偏りがあるようにも思えます。
調べてみると、職業と生活習慣病について関連性を検討した論文もありました。この論文では、営業職の人には肥満が多く、警察官の検査結果はよくない人が多いなど、職業による健康診断の結果に差があると書かれています。論文について、詳しくは「山口真由美他:職種と生活習慣病との関連性,健康康医学18,55-58,2003」をご覧下さい。
やはり同じ職業の場合、そこで働く人のライフスタイルは似てきます。看護師や警察官のようなシフト勤務、夜間に営業している飲食店の夜勤、営業職のようにお客様の予定に合わせた勤務などであれば、職業ごとに時間の使い方がある程度決められてしまうものです。
ライフスタイルが似るということは、かかりやすい病気も似てくるということ。例に出した論文の結果も、その傾向を表しています。
健康にいい生活とは? 理想的な1日のスケジュール例
自分自身のライフスタイルを見直そうと考えたとき、ネックになりやすいのは「仕事」です。とはいえ、健康になるために生きているわけではないので、職業を変えなければならないというわけではありません。その傾向があることを意識したうえで生活できれば、生活習慣病を予防することは十分可能です。ここで、健康的な生活についておさらいをしてみましょう。昼間に勤務しているサラリーマンの理想の1日だと思ってください。
■健康的に目指したい理想の1日
7:00 起床・朝食
8:00 自宅を出る
9:00 業務開始
12:00 昼休み・昼食
13:00 午後の業務開始
18:00 業務終了
19:00 自宅到着・食事
20:00 テレビを見るなど趣味の時間
22:00 入浴
23:00 就寝
だいたい身体に無理のない健康的なスケジュールというと、このようなところでしょうか。私たち栄養士が患者さまとお話しする際には、食生活以外にこのようなスケジュールを青写真として頭に置き、患者さま一人ひとりの実際の生活と照らし合わせて、身体に悪影響を与えていると考えられるポイントをお話ししています。
そのうえで、変更できるところは変更する、やめることが望ましいことはできるだけやめるなど、患者さまご自身でライフスタイルを見直していただきます。
シフト勤務・夜勤でもできるところから! 健康にいい生活に近づけるコツ
やはりこうした健康的なスケジュールをお話しすると、シフト勤務があるからとか、夜勤だから健康を害しても仕方がないという人もいます。しかし、上記に書いた青写真はあくまで青写真です。このスケジュール通りに活動できる人はほとんどいません。でも、それでいいのです。大切なことは生活習慣病を予防することなのです。完璧に青写真通りに生活することではなく、自分の生活を青写真に少しでも近づけることで、健康に過ごすことを目指してください。
自身の生活習慣を見直し方。具体的なチェックポイントは?
生活習慣病を予防するために、まず自分の1日のスケジュールを上記の青写真を参考にして書き出してほしいのです。かつて夜勤の患者さまで、このスケジュールが17:00から始まる人もいました。それも1つのライフスタイルです。シフト勤務の人は、早番・遅番などシフトの種類の数だけ書き出してみてください。
書き出したあとは、先に書いた青写真と比べてみます。夜勤で17:00から1日が始まる人は青写真を10時間ずらして、7:00起床を17:00起床と読み替えて、1日のスケジュールを青写真と見比べます。
青写真との差が1~2時間であれば気にしなくて大丈夫です。もしそれ以上ずれているスケジュールがあれば、青写真に近いスケジュールに調整することはできないか検討するのです。
おそらく、趣味の時間をずらすことで食事をタイミングよく摂れるようになることが多いように思います。ただ、残業などで、どうしても時間の調整が利かないこともあります。
帰宅が遅くなり、食事と食事の間の時間が長く空きすぎてしまう場合は、わかめスープやおにぎりなど、先に少し小腹を満たすことができるタイミングはないかを検討しましょう。そして、間食した後の食事を通常よりも軽く済ませることで対応します。
生活習慣病予防のために、自分の望む生活ができないのでは本末転倒。数年先の健康を作るためにも、今から青写真を真似た「よい習慣」を身につけることが大切です。ぜひ、自分の生活に取り入れても違和感がない習慣を探しましょう。
健康的な食生活を送るために、「残業しがちなビジネスマンのための「間食の摂り方」」や「「野菜が高くて買えない人」のための食生活マニュアル」、「栄養学的に疲れを回復させるアドバイス」も併せてご覧下さい。