2位『64』
恋愛要素のある刑事・探偵ものは印象に残りましたが、ストレートな刑事・探偵ものは目立ったヒット作はありません。象徴的なのは『相棒』の勢いが弱まってきたこと。あまり高視聴率を稼げなくなり、脚本のレベルも下がっているような気がします。そんな中、よかったのは『64』。警察の中のさまざまな部署を舞台にした警察小説を得意とする横山秀夫の小説が原作。得意としているのは元サツ回りの新聞記者だったからですが、『64』の主人公はその記者と相対する広報官の三上(ピエール瀧)。
7日しかなかった昭和64年に起きた未解決で時効直前の誘拐事件をめぐり、記者たちとの対立と再び起きた誘拐事件に立ち向かう姿を描きます。息をつかせない展開と意外な結末でさすが横山秀夫原作に外れなし。
この4月からNHK土曜ドラマの開始時間が21時から22時に変わったためか低視聴率に終わったのが残念でした。12月26日(土)0時25分(金曜深夜)に118分に編集されたバージョンが放送されます。
ちなみに2016年には佐藤浩市主演の映画版も前後編で公開され、こちらも楽しみ。ちなみに同じ横山秀夫原作の『クライマーズ・ハイ』もNHKでドラマ化された後映画化されましたが、こちらは佐藤浩市はドラマ版の主演でした。
1位『天皇の料理番』
今年は混戦でなにを1位にするか悩みました。こんな時は立ち戻って、例年どんな観点で選んでいるかを思い出しました。2位以下はおもしろいドラマでいいと思いますが、1位についてはそれだけじゃない「今年を代表する」、言い換えると象徴するような作品を選ぶことにしていました。
なので今年大ヒットレベルのドラマから今年のトレンドを考えてみましょう。『マッサン』『あさが来た』のNHK大阪制作の朝ドラと『天皇の料理番』『下町ロケット』の日曜劇場、それぞれ二作ずつ。共通するのは「あまり知られてなくても日本にもすごいことを成し遂げた人たちがいた」ということだと思います。『天皇の料理番』は1980年にも連ドラ化され、『下町ロケット』はフィクションであることがちょっと違いますが、共通する精神は同じでしょう。
『あさが来た』はまだ完結していないので、残り三作から選ぶと『天皇の料理番』。日本人の一つの理想を描いているように思います。
「知られていないすごい人」。さらに考えると情報バラエティではやってる「日本すごい」系番組と根は同じですね。このトレンドは続いていくのでしょうか。来年も注目です