5位『コウノドリ』
医療ものはドラマでは定番的に人気がありますが、その中心は手術シーンが見せ場になる外科や救命救急もの。それ以外の診療科はヒットしにくい。今年でも『Dr.倫太郎』が精神科医に挑みましたが、『半沢直樹』の堺雅人主演、『ドクターX』『花子とアン』の中園ミホ脚本という実力派の組み合わせを持ってしても苦しいものがありました。そんななか産婦人科に挑んだ『コウノドリ』。毎回重いテーマをはらみながらも医師、助産師、看護師が真摯に向き合う姿を描いています。きっと緻密に取材した成果なのでしょう。また主演の綾野剛のやわらかい演技を初めとして、レギュラー、妊婦を中心としたゲストの演技もよく、心にしみるドラマでした。
TBS金曜ドラマは他に『表参道高校合唱部!』もさわやかに楽しめ、主演の芳根京子に新人賞をあげたいところ。近年不調だったTBSドラマですが、秋に不振の木曜21時枠を廃止、代わって水曜に深夜ドラマを新設し第一作『おかしの家』をつくり好評。古豪復活の気配が見えてきました。
4位『一番電車が走った』
今年は戦後70年で、関連企画が多く放送されました。その中で最も印象に残ったのはNHK広島制作の本作。原爆投下の3日後には路面電車が復旧して走った実話を元に、走らせた運転士の女学生と復旧した電鉄会社社員たちの姿を描きます。戦時中にいそうにない長身・濃い顔の阿部寛がまったくそれを感じさせずなじみ、黒島結菜もラストの行水シーンで、今しか出せないだろうみずみずしさをみせつけました。
単発ドラマでは他に『かもしれない女優たち』も光りました。昨年『素敵な選taxi』が好評だったバカリズム脚本。予想できそうで、さらにその上を行く結末のバカバカしさがたまりません。ぜひ連ドラの次回作もみたいところす。
3位『デート~恋とはどんなものかしら~』
かつては恋愛ドラマの代名詞的存在だったフジ月9枠。しかし視聴率をとれなくなり、この三年、恋愛ドラマは年一作ペースまで落ち込みました。しかしドラマ畑出身の亀山千広社長に変わり「恋愛ドラマの月9」へ回帰、今年は『デート』『恋仲』『5→9』と三作恋愛ドラマとなりました。『恋仲』と『5→9』の二作はよくいえば王道パターンですが、ストーリーやいろいろな場面に既視感ありあり。
しかし『デート』は恋愛がわからないヒロインと生活のために結婚したい男が契約結婚をめざしながら、その中で恋愛感情が芽生えていくという、ヒネリまくった恋愛ドラマでした。恋愛ドラマ冬のドラマと呼ばれる時代にあった新しい恋愛ドラマはこんなトリッキーなものだったんですね。さすがは『鈴木先生』『リーガルハイ』の古沢良太脚本。
他には恋した相手は必ず犯人の『婚活刑事』、記憶が一日でリセットされる探偵に恋してしまった『掟上今日子の備忘録』と一見、刑事・探偵もののようでいて屈折した恋愛ものでもあるという作品が印象に残ります。やはり現代に恋愛ドラマを成立させるのは簡単なことではないようです。
次は「いよいよ2位と1位」