政治や文化の中心となってきたハノイ
ベトナム社会主義共和国の北部に位置するハノイ。西側の影響を受け、商業の中心となっている南部のホーチミン市に対し、こちらは11世紀には首都タンロンが置かれるなど政治や文化の中心となってきた街だ。
今回はベトナム航空の協力を得て現地を訪れ、その魅力に迫ってみた。
人々のパワーに圧倒される
到着してまず感じるのは人々のパワーだ。とりわけインパクトを受けるのがバイクに乗る人々。ハノイでの市民の交通はバイク。道路にはおびただしい数のバイクがひしめきあう。3人乗りは序の口で4人乗りが当たり前。運転する父親が子供を脚で挟み、後部座席では母親がもう一人の子供を抱きかかえる4人乗りがたくさん見られる。
乗っている人の組み合わせは友達、恋人、家族、仕事仲間、様々だ。ベトナム人のガイドによれば、乗り方一つで恋人と夫婦は見分けられる。運転する男性の背中に体をぎゅっとくっつけてしがみついているなら恋人。体を離しているなら夫婦だ。
こんな乗り方は危ないといいたくなるが、先入観抜きで見ればこれほど楽しくかっこいい乗り方はない。それが許されることへの羨ましさを感じる。
チャンアンへ
ハノイから南へ約114キロのところにあるニンビン市。古都ホアルーの遺跡群、石灰岩の奇岩奇峰が連なるタムコックやチャンアンの景勝地など一帯が2014年6月にチャンアン景観複合体として世界遺産に登録された。チャンアンで人気なのはボートツアーだ。まるで水墨画から抜け出たような地形の中をボートはゆっくり進む。
ベトナム人学生グループと一緒になった。みんなベトナムのTシャツを着ている。校歌だろうか、歌を歌いながら彼らのボートが併走する。恐る恐るカメラを向けると笑顔でポーズを取ってくれた。
まるで天国のよう
ボートが進む先には鍾乳洞が現れる。体をかがめないと頭がぶつかる高さだ。冷たい滴が首筋に垂れる。手こぎボートは慎重に鍾乳洞を進み、抜けると突然、視界が開ける。
それは2億4000年前に出来たとされるチャンアンのカルスト地形だ。水面には睡蓮の花が咲き、あたり一帯はまるで孫悟空でも現れそうな、奇っ怪なのに美しい岩山が連なる。
「もし天国があるとしたらこうした風景ではないか」と言いたくなるほどの光景だ。
チャンアンと同じくニンビンに現存する古都ホアルーの遺跡。968年から1010年まで都が置かれていた。
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