金魚って、どんな魚?
飼育を解説する前に、簡単に金魚について知っておこう。
金魚の起源は、2000年ほど前に中国で野生のフナ Carassius auratusから突然変異で生まれた赤い魚とされる。その後、貴族などに愛され、長い年月をかけて様々な色彩形状に品種改良されてきた。「和」のイメージが強い魚なのだが… 元々は中国から輸入されたものが、普及したのだ。面白いものである。
さて、日本には、室町時代の中期に入ってきたとされる。当初は一部の特権階級の間での、狭い世界での飼育に限られていた。しかし、やがて庶民の間にも飼育が広がり、現在知られるような多種多様な種類へと改良されていく。今ではご存知のように、日本の国民的な魚と言って良いほどに普及している。
2000年という長い年月をかけて、観賞することを目的に改良されてきたのが金魚である。そこに野生味を感じることは、もはや無い。優雅なヒレの代償に、俊敏な泳ぎを失った。人間の管理下でしか、生きてゆけないのが金魚なのだ。優雅さと果敢なさを併せ持つ。
金魚の性質
先にも触れたが、金魚の祖先は「フナ」。野生のフナは雑食性で、他種を攻撃するような事は稀な、温和な魚だ。やはり金魚も温和な、いや長年体型やヒレなどを改良されてきた結果、どちらかと言えば鈍重な印象すら受ける。
また見た目の美しさもさることながら、人に慣れやすいのも金魚の特徴の一つ。飼育してみると良く分かるのだが、水槽の前に立つと飼育者のもとへ拠ってくる様子が愛くるしい。これは条件反射で、経験から人間の姿を見ると餌をくれるものだと拠ってくるのだが。理由はともかく、人懐っこい様子は、飼育していて楽しいものである。