子供の教育/小学校受験・中学受験・高校受験

中学受験塾は「スモールステップ」で選ぼう!

小学3年生の2月から、中学受験塾に通い中学受験勉強を始めるというご家庭は多いでしょう。どこの塾にするか、そろそろ決めなければいけません。しかし焦りは禁物。塾選びの新基準を説明します。

執筆者:おおた としまさ

塾選びには「インフォームドコンセント」が重要

受験合否に大きく関わる塾選び、どうやって決めるべき?

受験合否に大きく関わる塾選び、どうやって決めるべき?

わが子を塾に預けるということは、自分の命を医者に預けるようなものです。病院で、説明もなく、投薬されたり手術されたりしたら、どう感じるでしょうか。

それで結果がいいなら文字通り「結果オーライ」ですが、少しでも不調が生じたら、ましてや症状が悪化するようなことがあったら、まったく納得できないでしょう。

どんな塾に行ったって、必ずしも結果がともなうものではありません。だからこそ、インフォームドコンセント(事前の説明と同意)が大事です。

合格実績を確かめて、わが子の学力に合っている塾はどこかを下調べしておくことは前提ですが、そのうえで、なぜこういう宿題が出されているのか、どの宿題から優先的に取り組むべきなのか、なぜこういうテスト体系なのかなどを、親があらかじめ理解しようということです。

そこがわかっていないと、子供が一生懸命塾に通っていても、学習の効果がなかなか上がらなかったり、親自身が不安になったりします。

これから塾を選ぶのであれば、もしくは転塾を検討しているのであれば、合格実績や世間一般の評判や塾のセールストークだけでなく、もう一歩踏み込んで、各塾がどのようなしくみで子供の学力を伸ばそうとしているのかという「意図」までを気にしてみてください。

その「意図」を「スモールステップ」と名付け、各塾のスモールステップの違いを説明したのが拙著『親が後悔しない、子供に失敗させない 中学受験塾選び』です。

塾を決める前に確認したい9つのポイント

各塾のスモールステップについては拙著をお読みいただくとして、ここではスモールステップを確認するための9つの質問を紹介します。

1「5年生の算数の1週間の学習サイクルについて少し詳しくうかがいたいのですが」
→スモールステップを話題にしたいことを前振りします。

2「週何回の授業ですか?」
→通塾の負担だけでなく、1週間の中で1教科を何回かの授業に分けるのか、1回の授業でまとめてやるのかなど、学習サイクルに関わる情報を聞き出します。

3 「どんな教材を使ってどんな授業をしますか?」
→使っている教材によって、カリキュラム概要がわかります。

4 「宿題にはどんな教材を使用してどの程度出しますか? 宿題のチェックはどのように行いますか?」 

→家庭学習に対するスタンスや親の関与度がわかります。

5 「1週間の学習の成果はどのように確かめますか?」
→「週テスト」や「確認テスト」など、子供や親が短期的な手ごたえを感じられるしくみがあるかを確認します。

6「『週テスト』や『確認テスト』で十分な成果が出ていないときはどのような対応がありますか?」
→必ずしも成績が上がっていないときのサポート姿勢がわかります。

7 「過去の単元を振り返るしくみはありますか?」 
→月単位や学期単位の学習サイクル、テスト体系がわかります。

8 「テストの点数という『結果』以外に、学習の『プロセス』を評価するしくみはありますか?」
→子供の学ぶ意欲を喚起することにどれだけ配慮しているかがわかります。

9 「親としての相談がある場合にはどのように連絡すればいいですか?」
→親と塾との関係をどのように考えているかがわかります。

以上を確かめれば、その塾の「スモールステップ」に対する考え方がある程度わかるはずです。実はこれ、私が本書に掲載した塾の「スモールステップ」について取材したときに共通して聞いた質問項目なのです。

これらの質問に、論理的に、かつ、その意図までをも含めて答えてくれる塾であれば安心です。

確固たる指導方針や教育理念があり、それを実現するロジックがあり、さらにそれを実践する方法論があれば、まずは合格。その方法が、わが子の性格にあっていて、かつ、保護者の教育観にもマッチしているならビンゴです。

いい塾に巡り会えれば中学受験は成功したも同然

塾選びに、「どれが正解」「どれがベスト」ということはありません。要するに、「子供にとって、もしくは家庭にとって、どの塾がぴったりなのか」という相性が大切です。

塾を選ぶということは、その学習サイクルを子供の生活サイクルの中に取り入れるということです。それはすなわち、その後数年間、子供だけでなく家族全体の生活サイクルに少なからず影響を与えることも意味します。

しっかり自分の軸を持ち、「塾ありき」ではなく「わが子ありき」の中学受験をしてほしいと思います。

どんなにベストを尽くしても、志望校に合格できるか否かはわかりません。本当の第一志望に合格できる子は、中学受験生全体の3割、いや2割程度とも言われます。

だからといって残りの7割、8割が全員敗者になるわけではありません。悔しい思いもするかもしれませんが、どんな結果であれ、最後に「いい中学受験だった」と思えるのなら、その中学受験は成功です。

つまり「この塾が最高! ここでダメならしょうがない」と思える塾に出会えたとしたら、その時点で中学受験は成功したも同然だということです。だからこそ、塾選びは慎重に、冷静に行ってください。


関連書籍

親が後悔しない、子供に失敗させないundefined中学受験塾選び

親が後悔しない、子供に失敗させない 中学受験塾選び

『親が後悔しない、子供に失敗させない 中学受験塾の選び方』

おおたとしまさ著、ダイヤモンド社刊

1週間単位の授業・家庭学習・確認テストのサイクルを「スモールステップ」と名付け、スモールステップの違いから中学受験塾を選ぶ視点を提案する。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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