ミスタータイガース、平成の大エースなどのビッグネームが並ぶ
来季のもうひとつの特徴として、二軍監督に「ビッグネーム」が顔を揃えたことだろう。それは、一軍の指揮官に負けないと言っても過言ではない。
セ・リーグは6球団すべての二軍監督が代わった。その中でも目を引くのは、1970年代から80年代に阪神の主軸を打ち、「ミスタータイガース」と呼ばれた掛布雅之氏の就任だ。本塁打王3回、打点王1回という実績は、過去の阪神二軍監督の中では飛び抜けた存在である。
これまではユニホームを着ず、アドバイザー的な立場で二軍を見ていたが、その指導力に惚れ込んだ金本新監督の強い要望もあり就任した。背番号「31」も復活。金本―掛布ラインは、どのチームにも負けない強力なものになりそうだ。
中日は、中日で現役を引退した小笠原道大氏が就任した。フルスイングを信条として、日本ハム、巨人、中日と渡り歩いた19年間で通算2120安打をマーク。首位打者2回、本塁打王1回、打点王1回を獲得した。とくに2006年の日本ハム、2007年の巨人でMVP(最優秀選手賞)に輝いているが、両リーグでのMVP獲得は江夏豊以来2人目で、リーグを跨いでの2年連続は史上初の快挙だった。愛称である「ガッツ」をぜひとも若手に注入してもらいたい。
巨人は一軍投手コーチから配置転換となった斎藤雅樹氏が就任。サイドスローから繰り出す勢いのあるストレート、切れのあるスライダー、シンカーを武器に、18年間で180勝(96敗)11セーブをマーク。1989年と90年に2年連続20勝を挙げ、「平成の大エース」と呼ばれ、メジャーで通用するとまで言われた。最多勝5回はプロ野球記録。最優秀防御率3回、最多奪三振1回。MVP1回、沢村賞を3回受賞している。若手投手を育て、何人一軍に送り込めるかが注目される。
パ・リーグの大物二軍監督は、オリックスの田口壮氏だ。1995年、96年、イチロー(現マーリンズ)らとともに「がんばろう神戸」を合言葉にしてチームを優勝に導いた。2002年から米大リーグへ移籍し、カージナルス、フィリーズ、カブスと渡り歩いた。2006年のカージナルス、2008年にフィリーズで世界一を経験した。日米を通じて得た豊富な野球経験は、若手育成に大いに役立つに違いない。
来季のプロ野球、ソフトバンクの3連覇はあるのか、ヤクルトのリベンジはあるのか、はたまた他チームの逆襲はと話題は尽きないが、監督に豪華な顔ぶれが揃った二軍にも注目する価値がある。