株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

年末年始を前に日本株に暗雲!?大幅調整の可能性も

11月までは堅調な推移が続いていた日本株ですが、年末年始を前に世界的にリスクオフ志向が鮮明になり、暗雲が立ちこめてきました。今後の見通しと対処法を考えてみたいと思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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年末年始を前に日本株に暗雲!?大幅調整の可能性も

年末年始を前に、世界的にリスクオフ志向が鮮明に!?

年末年始を前に、世界的にリスクオフ志向が鮮明に!?

11月までは堅調な推移が続いていた日本株ですが、年末年始を前に暗雲が立ちこめてきました。12月に入ってからの日本株は下落時に売買代金が大幅に増え、上昇時は売買代金が減少すると言った感じで、株価の上下動と売買代金の組み合わせは下げトレンド時のリズムに変化。ただ、それでも、50日移動平均線や200日移動平均線をキープする日が続き、なんとか粘ってきました。

しかし、15年12月11日(金)の夜に米国株で異変が起きます。ナスダック総合指数はこの日、一気に50日、200日移動平均線の両線を下回って安値引けとなりました。エネルギー株の多いS&P500指数のチャートはさらに悪く、週間の下落率(▼3.79%安)は8月の世界同時株安以来の大きさとなります。

リスクオフ姿勢から米国債は大幅高(利回りは大幅低下)となり、安全通貨の円が買われて久々に120円台の円高水準となりました。当然これは日本株に大きなマイナスとなります。先々週までに5週続落していた原油価格は一段安へ突っ込、み、2009年2月以来の安値を記録しました。

高利回り債ファンドのデフォルト

12月11日(金)の相場心理を悪化させた一因に、高利回り債(ジャンク債)に投資するある投資信託(サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンド)が、顧客による換金を停止した事があります。資源価格安で石油や鉱業関連企業の発行する社債がデフォルトに陥る、或いは価格暴落することが多発しており、エネルギー企業を含む社債を多く保有するこの投信(ファンド)も運用が難しくなっていました。2014年夏に35億ドルあった同ファンドの純資産は、資金が急速に抜け出て7億8,800万ドルにまで縮小し、流動性の問題もあってこれ以上の換金を停止して清算に向かうことになりました。金融危機以来で最大のファンド精算と報じられ、リスクオフへと傾きました。

換金を停止して精算へ向かうことになったサード・アベニュー・ウォーカスト・クレジット・ファンド

換金を停止して精算へ向かうことになったサード・アベニュー・ウォーカスト・クレジット・ファンド

上図は、このファンド(サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンド)と関連する他の債券指標のパフォーマンスを比較したもので、共に3年前の価格を10,000としたものです。このファンドは直近の下落が激しく、年初来で▼27%下がっています。まだ米国債券や高利回り債全体を示す指標は深刻な下落を見せていません。ただ、高利回り債全体のパフォーマンスは12月11日(金)時点で年初来3%安ほどになっており、このままマイナスに終われば、原油価格水準と同様に、2008年金融危機時以来の事となります。なお、サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンドは未上場のミューチュアルファンドですが、米国の上場投信(ETF)の中の高利回り債を扱う最大級銘柄も直近の下落がきつくなっています(下図)。

米国の上場投信(ETF)の中の高利 回り債を扱う最大級銘柄も急激な下落へ

米国の上場投信(ETF)の中の高利 回り債を扱う最大級銘柄も急激な下落へ

いよいよ運命のFOMC!日本株への影響は?止まらぬ原油安、何が問題?日本株への影響は?でも述べましたが、他の商品、社債、株式、為替市場の全ての混乱が原油価格に端を発していますが、ファンダメンタルからは下げ止まりの兆候が見られません。つまり、資源ファンドや資源会社、高利回り債を扱うファンドの破綻や精算は今後も続く可能性があり、株式市場にはショックが走る可能性があります。
マクラレンオシレーターは底に達しており、更なる下落後、超短期的には一旦の反発もありえる

マクラレンオシレーターは底に達しており、更なる下落後、超短期的には一旦の反発もありえる

世界的にリスクオフ志向が鮮明となる中で、再び上昇トレンドに戻るまでは、保有株の一部を売却したり、インバース型のETFを購入してヘッジするなどして、しっかりとディフェンシブになっておきたいところと思います。なお、日本株について、超短期的にはマクレランオシレーターが底に達しており、大きく下がった後に一旦反発する可能性があります。しかし、一連の下げリズム(2~3歩下げて1歩上げる)が続く限り下落トレンドということになります。

参考:日本株通信

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