止まらぬ原油安、何が問題なのか?

原油価格の調整が止まりません。今回はその理由と日本株への影響を考えてみたいと思います

原油価格の調整が止まりません。今回はその理由と日本株への影響を考えてみたいと思います

年末年始を前に日本株に暗雲!?大幅調整の可能性も
でも述べましたが、原油価格の大幅下落が原因となり、他の商品、社債、株式、為替市場など、幅広い混乱が見られています。15年9月の原油安時にも、世界最大の資源商社グレンコア社の社債と株価が暴落し、クレジット市場に緊張が走りましたが、15年12月も高利回り債ファンドであるサード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンドが顧客の換金を停止し、精算に向かうことになるなど、似たような状況になりつつあります。

しかし、これだけ原油価格が下がっても産油国は一向に減産をせずにフル生産を続け、原油の在庫は積もりに積もり上がっています。その中で第3四半期の世界原油需要は大きな落ち込みを見せ始めており、余計に需給ギャップが拡大し、更なる原油安を予期させるような状況となっています。

国によって採算均衡ラインが異なる点が問題を複雑化

今回の原油安問題を複雑にさせている要因の1つに、産油国の原油価格均衡ラインが2種類あることがあります。ロシアや中東各国の財政は石油に依存しており、1バレル=100ドル前後でないと財政が均衡しません。40ドル割れの原油価格では大幅な財政赤字で苦しい状況です。しかしその一方で、採掘する際の均衡価格は遙かに低く、たとえば、サウジアラビアでは原油価格が10ドルとなっても利益が出ると見られています。ロシアも原油価格が30ドルを割っても、まだ利益が出るという低コスト採算なのです。

すると、収支的に利益の出るうちは、1バレルでも多く採掘して売却し、赤字財政を支えようとするので、各国は今も過去最大級の生産を続けているわけです。米国もフラッキング技術の進歩によって原油価格40ドル割れでも利益の出ているシェール油田があり、全体の稼働リグ数が2014年末ピークの1,609基から524基にまで激減した現在も、全米原油生産量は、4月に43年ぶりに記録した過去最高から殆ど減っていません。

流石に20ドルになればロシアや米国の石油会社は生産をギブアップせざるを得ず、ともすれば、生産コストの安価な中東諸国はそれが狙いなのかもしれません。さらに、2016年はイランの制裁解除でより大量の原油が市場に流れ込んで来る可能性もあります。ゴールドマンサックスは2016年の原油価格を20ドル台と予想しています。これが米国の利上げ環境下で実現すれば衝撃的なことで、クレジット市場や新興国からの深刻な資金流出懸念が起きる可能性もあると思います。

日本株も無傷ではいられない

もちろんそうなれば日本株も無傷ではいられません。東証の売買の約7割は外国人投資家によるものです。原油価格の下落によって破綻や精算などが発生して、どこかで大きな損失が発生すれば、当然ながら損失によって生じた穴を埋めたり、バランスを取るために他の資産を売却する必要に迫られますので、日本株も売られやすくなりますし、安全資産と見られている円は買われやすくなり、円高にもつながっていくわけです。

原油価格の急落ははエネルギー輸入国の日本経済にとってはプラスの側面もあるわけですが、相場的にはショックが走ることに繋がり、悪影響が大きいと思います。今後とも原油価格の下落には要注意の状況が続くことになります。

参考:日本株通信

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