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ドラマをわかりやすくおもしろくするナレーション(2ページ目)

『下町ロケット』の松平定知の語りが話題になるとともに、他のドラマでもナレーターを使う例が増えています。なぜ今、ナレーションなのか?分析してみました。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

増え始めたのは

再び増えだしたキッカケは『半沢直樹』で元NHKアナ、山根基世のナレーションが好評だったからでしょう。ストーリーの続くタイプの連続ドラマはストーリーを追うのがたいへん、と視聴者が続けて見てくれない傾向があるので、ナレーションを入れてわかりやすくするというのは一つの手です。

『半沢直樹』チームの作品は以前からナレーションを使うことが多く、この10年で 
  • 倍賞千恵子『華麗なる一族』『レッドクロス~女たちの赤紙~』
  • 奈良岡朋子『南極大陸』
  • 山根基世『半沢直樹』『ルーズヴェルト・ゲーム』
  • 加賀美幸子『LEADERS リーダーズ』
  • 松平定知『下町ロケット』

があります。

元NHKアナが三人。倍賞千恵子は『わたしは海』『ひらり』『すずらん』と朝ドラ三作のナレーションを担当。奈良岡朋子は『おしん』『おんなは度胸』『春よ、来い』『いのち』『春日局』『篤姫』と橋田壽賀子脚本を中心に朝ドラと大河、三作ずつを担当。

NHKで聞いている声が聞き心地がよく安心できるということでしょう。

 

名調子

NHK型とは違った、語り口で聞かせるナレーションというのもあり、この代表格が芥川隆行と来宮良子の二人。

芥川隆行は元TBSアナですが「クセがありすぎる」と評価されずに1959年に退社。民放アナ出身初のフリーアナといわれています。ドラマのナレーションで注目されたのは古巣TBSの1961年版『新選組始末記』。語りに節をつけた「芥川節」で人気になります。

以後『水戸黄門』『木枯し紋次郎』『必殺』シリーズなど時代劇、『不良少女とよばれて』『スクール☆ウォーズ』など大映テレビ作品、『キイハンター』『Gメン’75』など刑事・アクションもの、田村正和のコミカルな面を引き出した『パパはニュースキャスター』など人気ドラマを担当しています。

来宮良子はNHKの専属劇団・東京放送劇団出身。1952年「銭湯の女湯から人が消える」といわれた伝説のラジオドラマ『君の名は』でナレーションを担当。「忘却とは忘れ去ることなり」のフレーズが有名です。

代表作はもちろん『演歌の花道』。テレビドラマでは『ヤヌスの鏡』『アリエスの乙女たち』などフジテレビの大映テレビ作品、『スケバン刑事II』『スケバン刑事III』などで、おどろおどろしい声が心に残ります。

 

ナレーション芸人

これからのナレーションもNHK的わかりやすさから変わっていくかもしれません。

一つの可能性は芸人の起用。すでに夏ドラマの『ブスと野獣』ではウーマンラッシュアワー村本のナレーションが話題になりました。バラエティや情報番組では『マツコ&有吉 怒り新党』(テレビ朝日系)の「新・3大○○調査会」ではナイツ塙、『シルシルミシルサンデー』ではバカリズムが担当するなど「ナレーション芸人」とも呼ばれています。



ちなみにドラマのナレーションで、史上最も変わっているのは1983年のTBSドラマ『誰かが私を愛してる』でしょう。多岐川裕美・野口五郎主演、ホテルを舞台にしたドラマです。

そして変わっているのは脚本の市川森一が考えた「歌うナレーション」。音楽担当の丸山圭子が歌う挿入歌「ガラスの森」の歌詞が毎回かわり、これまでのストーリーを説明するという荒業を展開していました。
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