「昭和九十年」がコンセプトとなった理由
ガイド:7枚目のオリジナル・フルアルバム『昭和九十年』が、12月9日にいよいよ発売となります。アーバンギャルドとしては初のコンセプト・アルバムということですが、今回このコンセプトでアルバム一枚を作り上げようと考えついたのには、何かきっかけや衝動のようなものはあったですか?
昭和九十年(初回限定盤) (amazon.co.jp)
昭和九十年(通常盤)
松永:
満を持して、というところでしょうか。これまでもアルバム毎に大枠を設けたり、テーマを決めたりはしていたのですが、今回はよりコンセプチュアルに、平成二十七年とはパラレルな「昭和九十年」という時代を描き出す内容となっています。メディアが喧伝する報道と現実が乖離していたり、液晶のなか……ネットばかりが豊かになってリアルが色々な意味で貧困になりつつあるこの時代において、フィクションとノンフィクションをつなぐ「くさび」のような作品を提示する必要にかられ、止むに止まれず作り上げた部分もあります。結果、歌詞やサウンドが一曲のなかだけで独立せず、収録曲のなかで相互に作用しあっている、演劇的かつ映画的なものが出来ました。
トレヴァーの絵とアーバンギャルドの音楽
ガイド:前回、ライヴ会場限定で地下出版された『少女KAITAI』に続き、今回もトレヴァー・ブラウンさんによるジャケ! 同じく、天馬さんの書籍としての作品集『自撮者たち』のイラストも、トレヴァーさんで、このところコラボが続いていますね。やはり、コンセプトからしてもトレヴァーさん以上の適役はいないという所でしょうか?
自撮者たち 松永天馬作品集 (amazon.co.jp)
アーバンギャルドの地下出版 (All Aboutテクノポップ)
松永:
新体制になり、初心に帰ったのかもしれません。僕らが「女の子戦争」という曲を発表した後に「GIRLS WAR」という展示をおこなうなど、トレヴァーの絵とアーバンギャルドの音楽はお互い強いインスピレーションを与え合っているような気が勝手ながらしています。