脳・神経の病気

髄膜腫の症状・診断・治療

髄膜腫(ずいまくしゅ)は良性の脳腫瘍の一つで、髄膜に発生します。高齢者の女性に多くみられます。治療は経過観察、開頭手術、放射線治療です。予後は比較的良好な疾患です。

井上 義治

執筆者:井上 義治

形成外科医 / 皮膚・爪・髪の病気ガイド

髄膜腫(ずいまくしゅ)とは

髄膜腫(ずいまくしゅ)は脳腫瘍の一種で、髄膜(硬膜・クモ膜・軟膜)の部位に発生する良性腫瘍です。

髄膜腫

髄膜腫は髄膜から発生します。


髄膜には硬膜・クモ膜・軟膜という3層構造があり、その中のクモ膜から発生します。クモ膜がある部位にはどの場所でも発生する可能性があります。

希に悪性腫瘍の場合がありますが、90%以上は良性です。

髄膜腫の年齢、性差、原因

脳腫瘍のなかでは多い疾患で、高齢者に好発します。また、女性に多い疾患です。放射線障害として発生する疾患のひとつでもあります。

髄膜腫の症状

症状として、頭痛、嘔吐などの症状がでます。時としてけいれんを合併します。進行すると認知症、歩行障害、手の運動障害などの症状も発生します。

髄膜腫の診断

■MRI
脳腫瘍の診断にはMRIが必要です。

MRI

脳MRI画像。髄膜に発生した髄膜腫。


■病理
最終的な診断は、切除した腫瘍組織の病理診断(顕微鏡診断)で決定します。

病理

       髄膜腫では良性の腫瘍細胞が認められます。


髄膜腫の治療法

■経過観察
症状がない場合髄膜腫は治療の対象となりません。そのため年1、2回のMRI撮影を行います。

■手術
なんらかの症状のある髄膜腫は、投薬では治りませんので何らかの治療が必要です。

・開頭術
腫瘍の局在部位、大きさなどから開頭手術が必要な場合があります。
開頭術

    全身麻酔下に開頭手術が必要な場合があります。


・放射線治療
髄膜腫に対して放射線治療を行うことがあります。よい適応は手術が完全切除でなく、腫瘍細胞が残っていると判定された場合です。

放射線

 


脳の特定の部位に限り、放射線を照射します。痛みや音などはありません。

放射線治療の不利な点は、時として腫瘍の増大を抑えきれないこと。2次発がんの可能性があることです。

髄膜腫の予後

手術治療と放射線治療の組み合わせなどにより、近年髄膜腫の予後はかなり改善しています。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます