脊髄空洞症とは……男女差なく、20~30代での発症が多い病気

脊髄空洞症の症状

腕の痛みやしびれなどの違和感から始まることが多い脊髄空洞症とは

「脊髄空洞症」とは、全国で2500人が難病指定を受けている指定難病で、有病率は10万人あたり1.92人です。アイドルとして活躍されているAKB48の柏木由紀さんが、2021年6月3日放送のテレビ番組で受けた人間ドックにて、この脊髄空洞症を指摘されたことを公表しました。

脊髄「空洞」症というと、脊髄の中に何も入っていない状態をイメージしてしまうかもしれませんが、実際には何らかの液体が入っています。多くは脳脊髄液です。その結果、脊髄内にある液体が脊髄の内側から脊髄にある神経細胞を押してしまい、全身にさまざまな症状が出現します。
 
この病気には男女差がなく、あらゆる年代で見つかりますが、20~30代頃に発症することが多いです。
 

脊髄空洞症の原因……キアリ奇形に伴うものの他、腫瘍、外傷、炎症も

脊髄空洞症の原因は、生まれつき小脳が落ち込んでいる「キアリ奇形」に伴うものが多く、脳脊髄液の循環が悪くなって発症すると言われています。また、脊髄にできた腫瘍や、外傷や炎症が原因のこともあります。

メディアによると、AKB48の柏木さんの場合は脊髄腫瘍にともなう脊髄空洞症が強く疑われているようです。
 

脊髄空洞症の症状・初期症状……腕の痛みやしびれ感で始まることが多い

脊髄は「手を動かす」「足を動かす」などの脳からの司令を四肢に伝える役目と、「熱い」「冷たい」「痛い」などの外界からの刺激を脳へ伝える役目があります。冒頭で解説しました通り、脊髄空洞症の症状は、その脊髄の中に溜まってしまった液体(主に脳脊髄液)が、脊髄の内側から脊髄にある神経細胞を押してしまうことで起こります。

症状はさまざまですが、腕の痛みやしびれ感で始まることが多いです。また、触った感じはわかるが痛みが鈍くなるといった症状を訴える方もいらっしゃいます。進行すると、手や足が動かしにくくなったり、排尿障害や排便障害が出たりすることもあります。
 

脊髄空洞症の検査・診断法・受診すべき診療科は何科か

診断にはMRIが有用です。気になる自覚症状がある場合は、神経内科、脳神経外科、整形外科のいずれかを受診しましょう。診察でこの病気が疑われた場合は、速やかに画像検査を行います。
 

脊髄空洞症の治療法……ビタミンB12製剤などの服用、進行時は手術も

症状が軽い場合は、しびれ止めや痛み止め、神経の回復を促すビタミンB12製剤などを使用して様子をみます。しかし、症状が徐々に進むことが多く、いずれ手術治療が必要になることもあります。放置せず、定期的に医療機関に通院する必要があります。
 

脊髄空洞症も該当する「指定難病」とは

また、脊髄空洞症は「指定難病」でもあります。指定難病とは、国が「難病の患者に対する医療等に関する法律」に定められる基準に基づいて医療費助成制度の対象としている難病のことです。2021年6月現在、333の病気が指定されています。

指定難病と聞くと怖いイメージを持ってしまうかもしれません。しかし「治療法がまったくない」「寝たきりになってしまう」といった病気ばかりではなく、医療の進歩によって症状が安定して、日常生活が問題なく行えるものも増えてきています。しかし、完治はむずかしいことが多い病気です。介助が必要な人もいますし、多くの場合は、定期的な通院や薬の治療が必要です。そのため、これらの病気には、医療費負担の軽減や社会参加がしやすくなるような福祉支援が設けられているのです。

該当する病気と診断された場合、主治医や自治体の窓口で相談してみるのがよいでしょう。脊髄空洞症の場合は、食事、栄養、呼吸の状態のいずれかが、評価スケール(modified Rankin Scale)で3以上の場合に、認定を受けることができます。
 

脊髄空洞症の原因にもなる「脊髄腫瘍」とは……10万人に1人の頻度の腫瘍

脊髄空洞症の原因にもなる「脊髄腫瘍」は、脊髄、あるいは脊髄周辺の組織にできる腫瘍のことで、10万人あたり1人くらいの頻度で起こります。脳腫瘍の1/5から1/10程度ですので、比較的珍しい病気と言ってもいいでしょう。

腫瘍のできる場所によって、硬膜外腫瘍、硬膜内髄外腫瘍、髄外腫瘍の3つに分類され、腫瘍のなかの細胞成分によってさらに細かく分類されます。脊髄腫瘍の治療は手術治療が一般的で、まれですが追加で化学療法や放射線療法を加える場合もあります。

「指定難病」「10万人に1人」といった言葉を聞くと不安になってしまうかと思いますが、早期発見で、しっかりと経過観察をしながら適切にケアをしていくことが大切です。もし手の痛みやしびれなどの長引く症状があり不安を感じられている方は、放置せずに受診するようにしてください。

■参考
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