頭部外傷とは

CT

これはCT検査の画像です。むかって右に三日月状に白く映っているのが頭蓋内出血です。このタイプを急性硬膜下血腫と言います。

人生において、誰でも一度くらいは頭をぶつけたことがあると思います。頭をぶつけてできる怪我を総称して、医学的には「頭部外傷」と呼びます。たいていはタンコブができて、しばらく痛みがあるくらいで完治しますよね。

しかし、交通事故、格闘技、スポーツや、酔っぱらって転んだときなど、思いがけない力で頭をぶつけた場合、生命の危険にさらされることもまれではありません。ここでは、頭をぶつけた時に頭の中で起きうることと、注意しなければならないポイントを分かりやすく解説します。

頭部外傷の種類

頭をぶつけた時に起こる頭部外傷は、以下の3つにに分類されます。

■ 皮膚……皮下出血(たんこぶ)、皮膚の切り傷
最も一般的な頭部外傷は、「皮下血腫」と呼ばれるたんこぶです。打った場所が膨れ、自然に回復します。皮下血腫は1~2週間で改善する事が多いですが、なかなか改善しない場合は病院を受診して下さい。また、頭の皮膚が裂けてしまうと、血流が良いため出血量が多くなることがあります。その場合は、病院を受診し、適切に縫合する必要があります。抜糸の目安は、5~7日ですが、傷の治りが悪い場合はそれ以上、時間がかかることがあります。

■ 頭蓋骨……骨折
頭を強く打つと、脳を保護している頭蓋骨が折れてしまうことがあります。ひびが入る程度の骨折であれば手術をする必要はありませんが、複雑に折れてしまい、さらには頭の内側に落ち込んでしまうような骨折の場合は、手術して治す必要があります。また、耳や鼻の穴から、サラサラとした血液交じりの水が出てきた場合には、緊急に病院を受診してください。

■ 脳……脳挫傷・くも膜下出血など
皮膚や頭蓋骨にケガをしただけでは、命に別状は無いことがほとんどですが、脳がケガをした場合は別です。脳のどの部分に血が出たかによって、下記のように病名は変わってきます。
  • 急性硬膜下血腫:脳と硬膜の間に出血したもの
  • 急性硬膜外血腫:頭蓋骨と硬膜の間に出血したもの
  • 脳挫傷:脳細胞が直接ケガをしたもの
  • くも膜下出血:くも膜と軟膜の間に出血したもの

頭部外傷の症状

軽い頭部外傷では痛みが出現するだけですが、以下のような症状を伴う場合に脳の怪我を伴っている可能性があるので注意が必要です。
  • 頭痛がどんどんひどくなる
  • 吐き気、嘔吐をくりかえす
  • 意識が朦朧としている
  • 物が見えにくい
  • 手足が動かしにくい
  • けいれんを起こす

頭部外傷後の治療・後遺症

軽い頭部外傷だけでは、とくに治療は必要ではありませんが、意識がもうろうとしていたり、手足の麻痺がある場合には脳の怪我を伴っている場合があるので、手術治療が必要になることがあります。手術治療は全身麻酔で行い、頭の中の血塊を取り除く手術を行います。この手術は手足の動きをよくしたり、言葉の障害を治すために行う手術ではなく、生命危機に瀕している状態から回復させることが目的です。

入院期間は症状によって様々で、長期のリハビリテーションが必要になることも。

頭部外傷の後遺症は、軽症であれば特に何もなく回復しますが、手足の麻痺、言葉の障害だけではなく記憶、やる気、感情という高次機能障害が残存することも。まれに、頭部外傷後にてんかんを起こす場合もあります。
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