ベル麻痺とは・発症頻度

顔面神経麻痺とは、顔の筋肉を動かす神経である顔面神経が急に機能しなくなり、まぶたが閉じれなくなったり、口元が垂れ下がったりして、あたかも顔が曲がってしまったかのように見える病気です。そのなかで、原因不明なものを特別にベル麻痺と呼びます。

ベル麻痺は、一年で人口10万人あたり、約20人が発症するので、決して珍しい病気ではありません。多くの患者さんは、2~3ヶ月のうちに完治することがほとんどで、早期治療が効果的です。

ベル麻痺の症状

*

これは右ベル麻痺の模式図です。右側のまぶたが閉じていなく、口元が垂れ下がっているのがわかります。(出典:http://www11.ocn.ne.jp/~h2jibika/memo9.html)

急に顔の動きが悪くなり、鏡で顔を見ると顔が歪んでいるように見えておかしいと気づきます。通常は、顔面の片側のみが動かしにくくなり、額のしわ寄せができななくなったり、瞬きができなくなったり、口角が下がり口元から水が漏れ出たりします。ときには味覚が変化することも。とくに気をつけて欲しい症状は、まばたきができなくなることで、目が乾いて角膜が傷つきやすくなってしまいます。そのときには、目薬や眼帯などで目の保護が有効です。

また、麻痺側の耳の後ろに水泡ができることがあり、この場合は帯状疱疹による顔面神経麻痺の可能性が高くなるので早急に耳鼻科や神経内科、脳神経外科を標榜している医療機関を受診しましょう。


ベル麻痺の検査

顔面神経麻痺を起こす病気はたくさんありますが、そのなかでも脳梗塞や脳腫瘍といった脳の病気ではないことを確認することが重要。多くの場合、MRIやCT検査を行い脳のチェックを行います。また、サルコイド、ライム病などのややめずらしい病気でも起こることがあり、それらが疑われる場合には、血液検査などほかの検査が必要になります。あらゆる検査をしても原因が不明な場合の顔面神経麻痺をベル麻痺と呼びます。


ベル麻痺の回復・治療・ステロイドの内服

多くの患者さんは2~3週間の経過で改善し始め、概ね8割以上の人が2~3ヶ月で完治します。自然に治癒する場合もありますが、早めの内服治療を行ったほうが、後遺症残さずに感知する場合が多いので、早めの医療機関受診が大切です。

治療の中心は内服治療。顔面神経の腫れを改善するために、ステロイド治療を行います。ときには、抗ウイルス薬であるアシクロビルを投与する場合も。また、神経の回復を促すビタミンB12を加えることもあります。ステロイド治療やアシクロビルといった薬は、1~2週間程度の使用に留めますが、ビタミンB12は1~2ヶ月の長期投与をすることが一般的。

また、麻痺によって目が閉じれない場合は目の乾燥を防ぐ必要があります。目薬を使用したり、就寝時に眼帯を用いたりして、角膜の保護を積極的に行うようにしましょう。

一般的には入院治療は必要がなく、外来通院が主体になりますが、顔面麻痺の程度が重い場合は入院をして点滴治療になることも。

最初の1~2週間は蒸しタオルなどで1日2回温めて血の巡りをよくすることが重要。顔の筋肉の動きが出てくるまでの間は、筋肉が縮む方向にゆっくりと手で動きをつけてあげるくらいで、無理に動かし過ぎないほうがいいでしょう。顔面神経麻痺の改善は時間がかかるので、ゆっくり、あせらず取り組みましょう。

ベル麻痺の再発リスク・後遺症

8割以上は完治するベル麻痺ですが、瞬きができない、口元が完全に閉じないなど麻痺の程度が強く、治療が遅れてしまった場合は、後遺症が残ることもあります。

内服治療を行ったのにもかかわらず重度の顔面神経麻痺が残った場合は、神経移植術などの手術治療をおこなうこともあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。