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不思議な立ち位置の男・バナナマン設楽統(2ページ目)

2015年上半期のレギュラー番組数1位。知名度抜群の売れっ子なのに、実はよく分かっていない男。それがバナナマンの設楽統です。その実力は誰もが知るところなのに、そのキャラクターはいまひとつ知られていない。ちょっと不思議な存在なんですよ。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

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ブレイクのきっかけは?

1999年にスタートし、その後のお笑いブームの火付け役となった「爆笑オンエアバトル」に、バナナマンは何度も出演しています。ライブではシュールなネタでファンを魅了していた彼らも、テレビでは万人受けするコントで確実に笑いを取っていましたが、群雄割拠の中で特別目立つ存在ではありませんでした。

そんなバナナマンが世間でようやく認知されはじめたのは、2005年ごろに日村が「子どものころの貴乃花」のモノマネをしたのがきっかけのように思います。普通ならこれでコンビ格差が生まれたり、設楽が「じゃない方芸人」と呼ばれたりしそうなものですが、そうならなかったのは、日村を面白く操っているのは設楽だということが、お笑い好きの中では知れ渡っていたからでしょう。

その後の活動をチェックしてみても、節目になる出来事はいくつもあっても、ここでドーンと跳ねたと思われるブレイクポイントが見つけることはできませんでした。やはり一年一年着実にステップアップして、現在までの地位を築いたと考えるべきなんでしょう。芸人の中では極めてレアなケースだと思います。


他人を輝かせる設楽統の才能

と、ここまで振り返ってみても、設楽統が芸能界のトップに君臨する決定的理由は見つかりませんでした。ただ、一つの仮説として言える事は、自分をアピールすること以上に、彼は周囲を輝かせ、面白くすることに才能を発揮しているのではないでしょうか。

相方に対して「日村の存在を世間にいかに伝えるかがオレの使命」と言い放った設楽ですが、この考え方は司会業においても通じます。番組のテーマや出演者をどれだけ面白く伝えるか。そこにパワーを発揮しているからこそ、番組が面白くなり、評判を呼ぶのでしょう。

そこで自分が前に出ようとはしないから、視聴者は司会の設楽よりも場内容や共演者の方に目が行ってしまう。結果的に番組は成功するものの、司会者の活躍は表立っては見えてこない。その意味では、設楽統こそが間違いなく当代一の名司会者と言ってもいいのではないでしょうか。
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