「できている時」をこまめに認める
忙しい時ほど、子供が「できている時」には目をかける余裕もなく、何か問題を起こした「できていない時」だけ、最大限の注意関心を向けがちになります。そのため子供と過ごす限られた時間の大半を、行為を咎めたり怒ったりとすることに費やしてしまいます。「罰による抑制」ばかりに力が注がれている状態です。ですから忙しい時こそ、問題を起こさず「できている時」を積極的に認め、声をかけるよう心がけてみましょう。大げさに褒めちぎる必要もありません。目を見て、肩にそっと触れるなどし、「仲良く遊んでいてくれたから助かったわ。ありがとうね」「出かける用意をさっとしてくれたから、一気に台所も片付いたわ」そうママやパパが喜んでいる姿を示してやりましょう。
「なんでできないんだろう!」と思う背後には、必ず、「できている時」があります。「いつも」我ままを言っているわけではありません、「全然」言うことを聞かないわけでもありません。「当たり前」と通り過ぎている子供の「できている時」に目を向けてみましょう。限られた子供と過ごす時間を、子供の行為を認め、感謝し、喜ぶことにより費やすことで、「ああ、ちゃんと見てくれてるんだな」子供もそう安心します。また最大限の注意関心を引くために問題を起こすといった行為も減っていくでしょう。
何をしたらいいかを、はっきりさせる
遊びに夢中になっているところ、「出かけるよ!」と突然声をかけられるよりも、今日は何時に出かけるんだな、そうあらかじめ分かっている方が、子供も行動しやすいもの。年末年始に向けてのスケジュールや、今日は何をする予定かなど、さらりとでも話し合っておきましょう。壁に家族の予定表を貼っておき、毎朝皆で目を通すというのもいいでしょう。大人でも何かに夢中になると忘れてしまうこともあるもの。子供はなおさらです。
こちらが何を期待しているかをはっきりさせておくことで、子供もよりスムーズに動けます。
絆作りの時を持つ
絆作りといっても、遊園地に一日中連れて行くという必要もありません。帰宅時に手をつないで歩く、夕食時にテレビを消してその日あったことを話し合う、そんな生活の中でのひと時に、「あなたと共に過ごす時を楽しんでいる」という姿を示してやりましょう。子供にとって、「ああ、自分と一緒にいることを楽しんでくれてる」、そう感じられるほど嬉しい時はありません。次から次へと溢れる「するべき」ことを少しだけ横に置き、心を込めて子供と過ごす時を生活に取り入れていきましょう。子供もより自然に、大好きなママやパパが笑顔でいられるようにと動いていきます。
忙しいときこそ、「できている時」を積極的に認める、予定を話し合う、共に過ごす時を楽しんでいる姿を示す、心がけていきたいですね!
参考資料:
(*1) Fabes RA, Fulse J, Eisenberg N, et al. 1989. Effects of rewards on children’s prosocial motivation: A socialization study. Developmental Psychology 25: 509-515.
(*2 )Chernyak N and Kushnir T. 2013. Giving preschoolers choice increases sharing behavior. Psychol Sci. 24(10):1971-9.