ポリーニ(ピアノ) 巨匠の手から(De Main De Maitre) ※DVD
1960年、第6回ショパン・コンクールで伝説に残る賛辞とともに鮮烈な優勝を果たして以来、音楽界のトップを走り続けるポリーニ。意外なことに自身について、また音楽についても語ることは稀で、今回初となるドキュメンタリー作品が完成しました。グールドやリヒテルのドキュメンタリー映像でも知られるブリューノ・モンサンジョンがプロデュースし、ポリーニの生い立ちからスタートして彼がキャリアを極めるうえで関わった音楽家たちも登場、人間ポリーニの姿が浮き彫りにされる興味深い内容です。日本語字幕付き。
■ガイド大塚の感想
ポリーニ観が変わる映像だった。彼が現代音楽を愛するのは生い立ちにも理由があると分かったし、ブーレーズとのリハーサルについて、ショパン・コンクール優勝時に審査委員長だったアルトゥール・ルービンシュタインからもらった貴重な助言など、知られざるエピソードが満載。スカルラッティやラヴェルを演奏しない理由も驚いた。人柄が伝わり、彼の音楽の聴き方が変わる内容。
市原 愛(ソプラノ) 『歌の翼に』
東京藝術大学卒業し、ミュンヘン国立音楽大学大学院を修了後、アウグスブルク歌劇場の専属ソロ歌手として年間70公演出演を始めドイツで活動し、現在は日本を拠点として活躍するソプラノ界の新星、市原愛のデビュー・アルバムです。歌と翼をキーワードに楽曲を選択。彼女の十八番であるドイツ歌曲をはじめ、フランス、イタリアのオペラ・アリア、さらには日本へと美しい歌声が羽を得て縦横無尽に世界中を旅するかのようです。
■ガイド大塚の感想
これは真摯で深いアルバム。オペラで見せるかわいらしい姿とはまた違った、優しき強き一人の女性の姿がある。ピアノ伴奏も控えめなものが多く、宙に消え入るソプラノが美しい。中心となる武満徹の4曲(翼、うたうだけ、死んだ男の残したものは、小さな空)のなめらかで大切に歌われる感じは、今の時代にまたとても身に響いた。
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オーマンディ(指揮) 『オーケストラの休日』
オーマンディはフィラデルフィア管弦楽団の魅力を存分に発揮できるオーケストラ曲を様々なテーマで編んで制作した“小品集”でも人気がありました。この『オーケストラの休日』は有名な小品集で、金管、木管、打楽器、弦楽器とオーケストラの各セクションをクローズアップしつつ、最後にフル・オーケストラならではの華やかな響きを満喫できる盤。懐かしい方も多いでしょう。さらにボーナス曲8曲入り!
■ガイド大塚の感想
1938~1980年まで“フィラデルフィア・サウンド”と呼ばれた輝かしいオーケストラの音で知られたオーマンディ。これはオーケストラの入門にも、オーマンディ&フィラデルフィア管の入門にもなる特別なアルバム。とにかくコシのあるフルカラーの音楽がすごい。オケの上手さと、完全にオーマンディの下に掌握される一体感の凄さに驚かされる。特にボーナス曲として入れられたワインベルガーの「ポルカ」など、複数のメロディーがシルクのように交差する様は、現代のオケでもこんな表現できるオケってあるっけ?と思ってしまうサウンド。
タワーレコード
メンゲルベルク(指揮) ベートーヴェン:交響曲全集
伝説的なメンゲルベルクのベートーヴェンが音質を向上させて今、蘇る!'77年発売時のアナログ・マスターより最新デジタル化! このベートーヴェンは、今から約75年前の演奏でありながらも、未だにクラシックの至宝とも謳われる偉大な遺産です。今回の復刻では演奏開始前や楽章間の演奏会場の音を極力復活しました。ハイビット・ハイマスタリング(192kHz,24bit)による新規のデジタル化の効果は絶大です。
■ガイド大塚の感想
メンベルベルクというと、まず賛否両論あるのがポルタメントだが、他の指揮者ではなかなかない味付けなので個人的には大好きだ。このベートーヴェンでもここぞというところに使われ、失われたロマンティシズムを濃厚に味合わせてくれ面白い(オーケストラは上手いし)。特に面白いと思ったのは、1、2、4など初期の、まだ古典的な交響曲。ここにメンゲルベルクの濃厚テンポチェンジや豪快さが掛け合わされると、ロマン派の曲のように聴こえてくる。時代考証の流れとは真逆のアプローチだからこそ見えてくるものもある、貴重な記録(だからこそ今、時代考証が盛んなわけだが)。
タワーレコード