資産運用/早期リタイアしたい人と資産運用

早期リタイア生活に向けた資産運用のポイント

マネープランの相談で近年急に増えているのが「早期リタイアしたい」という希望です。30代後半から50代半ばくらいにはアーリーリタイアをしたいと考えているようです。早期リタイアが可能な人、難しい人さまざまですが、早期リタイア・アーリーリタイアに向けての資産運用方法とリタイア後投資をするときの注意点について解説します。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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ギャンブル的な資産運用は控える

早期リタイアに向けての資産運用は、一言で言えば「いかに資産の山を高くするか」にかかっていると言えるでしょう。資産の山が高ければ高いほど、早期リタイア後の生活に余裕が出てくるうえ、過度なリスクを取った資産運用を行う必要がなくなるからです。

間違えないでいただきたいのが、資産の山をより高くするためにどんどんリスクを取って資産運用をしなさい、たとえば「レバレッジをかけて投資をする」ということを言っているわけではありません。レバレッジをかけた運用を否定はしませんが、そのような超積極的(アグレッシブ)な運用では、上手くお金を増やすことができたら早期リタイアをしよう、上手く行かなかったら早期リタイアを諦めようというようなギャンブル的なプランになってしまうからです。

早期リタイアという目標を決めたならば、その目標が達成できるように堅実な資産運用を心がける必要があるのです。裏技や一発逆転を望むのではなく、積立を中心とした資産運用を心がけるべきなのです。

早い(若い)時期から始める

積立を中心とした資産運用を行うと述べましたが、投資を控えようと言っているわけではありません。積立を中心にして、投資を行うための「タネ銭」を作って行く、あるいは投資信託などを活用した積立投資を行っていこうということなのです。

このため毎月の収入からいかに積立の原資を捻出することができるかが大切になってくるのです。早期リタイアに関する相談を受けていて思うのは、皆さんが毎月かなりの金額を貯蓄(積立投資を含む)に回しているということです。それを早い時期(若い時期)から長気にわたり続けて行くことがポイントになるのです。言い換えれば、若い時期からコツコツと積立を続けて行くことが早期リタイアを実現させる鍵と考えられます。

若い時期からと言っても、背伸びをした金額でも積立を長期間続けて行くのは至難の業です。最初は少なくてもよい(=早く始めることが大切)のですが、徐々に積み立てる金額を増やして行くことで、資産の山が高くなっていくスピードが加速するはずです。同時に、積立を行う商品も拡げて行きましょう。積立貯蓄から初めて投資信託などへ拡げて行くのです。

また、積立貯蓄で貯まったお金は投資の「タネ銭」ですから、株式やETFなどに投資を行って資産の山を築く速度をアップさせましょう。投資スタイルは皆さんお1人お1人に合った方法で構いませんが、信用取引やレバレッジを効かせたFX取引などを利用して過度なリスクを取ることは慎みましょう。

基本は国際分散投資を行い、複利効果を高めることです。もう1つ注意すれば、常に一定額の預貯金を持つようにすることは忘れないでください。積立貯蓄の全額がタネ銭ではないのです。

早期リタイア後の運用はリスクを抑える

早期リタイア後はデイトレーダーなどで毎日1~2万円を稼ぎ、それを生活費の足しにするというような相談を受けるケースもあります。結論から言えば、デイトレードで得ようとする利益を原資として早期リタイアのプランを立てるのは危険極まりないプランと言わざるを得ません。

もちろん、投資の才能がある人であれば、デイトレードで生計を立てることが出来る人がいるでしょうし、また既に専業トレーダ―で生計を立てている人がいるのも事実です。しかし、大多数の人が同じことが出来るかと問われれば、デイトレードでの利益を生活費にするというのはごく一握りの才能がある人だけが出来ることと考えるべきなのです。少しの間なら続けることは出来るかもしれませんが、何年も何十年も続けていけるのは限られた人なのです。

少し過去を振り返っても、2015年チャイナショック、2013年バーナンキショック、2011年東日本大震災、2010年ギリシャショック、2008年リーマンショック等々、度々株価が急落する局面が起こっているのです。これら急落局面を乗り越えてトレードを続けて行くことは言葉に表せないくらい大変です。

早期リタイア後の資産運用は、年齢から判断すればそれなりのリスク許容度があったとしても、働いている時よりもリスクを抑えた運用を心がけるべきなのです。収入等で挽回するのが難しいため、早期リタイアまでに築いてきた資産の山を短期的かつ大幅に崩してしまうと、早期リタイアが頓挫してしまいかねないからです。

早期リタイア前は、資産の山をいかに高くして行くのが基本になるため、売却益狙いの資産運用が中心になるのですが、早期リタイア後は築いてきた資産の山を運用しながら徐々に使っていくことになります。このため売却益重視の運用から、利子や配当金(分配金)などのインカムゲインを重視した、言い換えればある程度は確実に受け取ることができる利益を確保する運用を心がけ、受け取ったインカムゲインは生活費などに使って行く(=資産の山を取り崩す速度を遅くする)ことになるのです。

残念ながら、早期リタイアのための資産運用にはウラ技や一発逆転はありえません。早い時期からプランを立て、その目標に向かってお金の準備(運用)をして行くことが大切になるのです。

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