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なぜ暴力が低年齢化? 懸念すべき3つの要因(2ページ目)

小学生の教員や同級生などに対する暴力行為が、2014年についに1万1000件を超え、これまでで最多となったことが文部科学省の調査で分かりました。なぜ、まだ幼さの残る小学1年生までもが、暴力をふるうようになってしまったのでしょうか? 低年齢化する暴力行為の背景にある3つの要因とその対策についてお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

要因2:バーチャルな暴力体験

今はテレビ番組やゲームなどで、子供たちが暴力を目にしたり、間接的に体験したりする機会が増えています。アニメの世界では、たとえケンカでボコボコになっても次の日にはピンピンしていたり、「壁に激突」「屋根から落下」のような大事件でも、すくっと立ち上がり不死身です。

本来なら日々の体験の中で、痛みや辛さを感じて学んでいくもの。しかし、軽く描かれている「痛み」に触れることが多い今の子供たちは、その軽さに慣れてしまっていて、暴力への抵抗感が薄れてしまっている気がします。

実際に、この記事『テレビの暴力シーンが子どもに与える影響』にも書いたように、暴力シーンを含むテレビ番組は、子供を攻撃的にする傾向があるということ、低年齢の子供たちほど影響を受けやすいことが分かっています。

また、ゲームに関する記事『ゲームの暴力シーンは、少年犯罪増加に繋がるのか?』では、暴力的なゲームをすると、暴力への抵抗感が減り、攻撃的な行動が増えることをお伝えしました。

軽やかにコミカルに話が進むからこそ、仮想体験は面白いのですが、それは現実と想像の世界がきちっと分けられているからこそ楽しめるもの。テレビ番組にしても、ゲームの内容にしても、幼少時は親が管理してあげることが必要です。


要因3:孤独感による自暴自棄

現代の日本で、子供の孤独感が問題になっていることをご存知でしょうか? 2007年にユニセフが行った先進国の幸福度調査(*)で、各国の子供たちの孤独感を調べたところ、日本は「もっとも子供が孤独を感じている国」ということが分かりました。その調査によると、「自分が孤独だと感じますか?」の問いに「はい」と答えた子供の割合が10%を超えたのは、対象の24か国のうち2つ、日本とアイスランドだけでした。しかも、日本は2位のアイスランド(10.3%)を大きく上回り、29.8%の子供たちが「孤独だ」と答えたのです。

とはいえ、「孤独」と答えたその子たちが一人で生きているわけではありません。家族があり、家があり、学校があります。それでも「一人ぼっち」と感じるのは、精神的に孤独だからです。つまり、家や学校の居心地が悪い、家族に分かってもらえないなど、ごく身近な人とのつながりが希薄になっている状況が浮かび上がります。

非行問題に詳しいハーシ博士は、
  • 子供がどこかに属しているという所属感を得ていること
  • 安心できる居場所があること
が、子供の問題行動を抑制すると示唆しています。裏を返せば、「どうせ一人なんだから、周りは関係ない」と思ってしまうと自暴自棄に走りやすいというわけです。

これを踏まえると、今の日本は、育児の原点である「巣作り」が緊急課題と言えます。子供にとって、絶対的な安心感を得られる居場所があれば、「自分は守られている。だから、ボクもパパとママのことを守る」のように、親へのコミットメントがその子の抑制力につながっていきます。


「暴力の低年齢化」という社会現象に対抗できる策とは?

以上、暴力の低年齢化の3つの要因とその対策について見てきました。
  • 子供に自由度のある子育てを心がける
  • テレビやゲームは子供の年齢に応じた対応をする
  • 子供が「お家が大好き」と言える環境を作る
これらが、今の育児に切実に求められている課題であり、「暴力の低年齢化」という社会現象に対抗できる策といえます。どれも、個人レベルで意識できることばかりです。

このような社会現象を前にすると、国や自治体に対策を求めてしまいがちですが、小さな無数の心がけの方がずっとずっと子供たちに響きます。「他人ごと」と思わずに、一人一人ができる働きかけを積み重ねていきたいですね。

*出典:UNICEF Innocenti Research Centre(2007)「Child Poverty in Perspective: An Overview of Child Well-being in Rich Countries」より
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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