親子3代で受け継ぐための仕立ての工夫
この振袖も真弓さんが着ていたものを仕立て直したもの。
大抵は娘世代の方が身長が大きいため、親子とはいえせっかく受け継いだ着物が着られないということがしばしばあります。
その対策として、反物を初めから自分の寸法通りにカットしてしまわずに、出来る限りの長さを取っておいて、長い分を縫い込んでおくという方法があります。また、反物の端切れがある場合には、帯で隠れる胴の部分に生地を入れ込んで丈を伸ばしてもらうか、端切れが残っていない場合には他の生地を使うという裏ワザもあります。着物自分の寸法に仕立てられているものほど着やすく、着崩れもしにくいもの。
さらに、それも不可能であるならば、着物を帯にするという手もあります。そうやって、端切れになるまで使いきるというのも、モノを大切にするという私達の祖先が残してくれた知恵でもあるのです。
着こなしで時代を表現するのも着物を受け継ぐ楽しさ
親子三代での初詣。眞弓さんが15~16歳のころの着物をアンナさん姉妹に着せたのだとか。
「着物に流行はない」とよく言われますが、やはりその時代の空気感というのはそれぞれあって、着る人によってその時代の着物になっているということです。
受け継いだ着物をそのままのコーディネートで着るのもいいかも知れませんが、自分なりの感覚やアレンジを加えることで、「自分の着物」として着こなすことができるのではないかと思います。
さらに、アンナさんから意外なひとことがあったので合わせてご紹介します!
海外と関わり深い人ほど、着物を必要とするワケ
ロシアにて「自分は日本人である!」というアピールを。この時のアンナさんの帯は、実は当日合わせていた帯と同じ綴の帯
上記のように語るアンナさんは、アメリカと日本のハーフ。抜群のスタイルを活かしてモデルデビューされたのはご存知の方も多いと思いますが、小さい頃は「日本人になりたかった!」そうです。まわりのみんなと違う髪の色、顔立ちであることで、自分が何者なのかを悩み、そして、着物を着る事によってその思いを表現できていると思ったそうです。「ハーフなのが嫌だったし、普通の日本人になりたかった。着物だって似合わないと思っていたけど、母が“周りとは違うかもしれないけど、着ていいのよ!”って、すごくたくさん着させてくれたからよかった。感謝してる!」(アンナさん)
こういった経験というのは、誰しもがあるわけではなく、しかも普段、日本の中だけにいる時は意識することが少ないかもしれません。しかしいったん海外に出ると、「自分は何者で、どんな文化をもっているのか」という、人間としての根本的な事を、考えさせられたりさらにそれを人に説明する機会に遭遇します。
着物というのは、私達日本人を一番美しく見せてくれるものであるということは、着物を着た経験がある方ならば良くお分かりのこと。その理由は、体型、容姿、環境など様々ですが、なにより私達日本人のDNAに組み込まれた美意識だとか、感覚といった生まれながらにして持っているものがそうさせるのではないのかと私は思います。だから、私達が着物を着るのに、特別な事はいらないのです。
当たり前のように世界に出る人も多い今の時代。それでもまだまだ緊張したり弱気になったりする事もあるだろうと思います。そんな時、是非「着物を着る」と言う事を思い出してみてください。きっと着物はあなたの強い味方になるはずです。
着物で、親子の絆や日本人としての誇りの再確認
妊娠中も兵児帯で浴衣を楽しみ、長男とお祭りに出かけたというアンナさん。息子さんへと着物愛が受け継がれているようですね。
土屋アンナさんの意外な一面が見られて、とても興味深いトークショーでした。ぜひあなたも着物を通じて、親子の絆、日本人としての誇りの再確認をしてみてくださいね。