×20ってなんだ? 適正株価を計算する。
EPSが増加トレンドにあることは分かった。それじゃあ株価がどうなっているか見てみたいですよね。でもその前に、EPS×20の「×20」という部分についてみてみましょう。ここで20を掛けたのは、ファーストリテイリングの適正株価を計算したかったからです。
どんなものにも適正な値段があります。ペットボトルの水500mlなら100円くらい。庶民向けの飲食店で食べるランチなら800円くらい。株式にも同じように適正な値段があります。「適正株価」と呼ばれたり、「1株当たり株主価値」と呼ばれたりします。ここでは「1株当たり株主価値」を略して「1株価値」と呼びましょう。
ではなぜEPSに20を掛けたら、1株価値が計算できるのでしょう?
理論的に正しい1株価値の計算は、非常に複雑です。DCF法(ディー・シー・エフ法)と呼ばれる方法によって計算します。これは理論的には正しいのですが、とても煩雑です。これに代わる簡便な方法として、「過去の株価はEPSの何倍くらいで推移してきたか?」によって1株価値を算出する方法もあります。これなら簡単そうですね。
株価はEPSの何倍か?というのは、株式投資ではPERという指標で知られています。
PER = 株価 ÷ EPS
東京証券取引所に上場する企業のPERの推移を見ると(東京証券取引所が公表しているデータをもとに算出)、過去10年間でだいたい平均20倍になっています。つまり、過去10年間をみると「株価はEPSの約20倍で推移してきた」といえます。そこでEPSに20を掛けたのです。