直列3気筒ターボを積むBMW1シリーズ
今回取り上げるBMW1シリーズは、2015年9月5日に発売された1.5Lの直列3気筒ターボエンジンの新グレード。
フォード・フォーカスは、内・外装のリファインだけでなく、1.5Lのダウンサイジングターボを搭載したビッグマイナーチェンジを受け、10月3日から発売が開始されている。
そして、欧州Cセグメントと呼ばれる同クラスにおいて、自他ともに認めるベンチマーク(指標)となっているのが、フォルクスワーゲン・ゴルフだ。クリーンディーゼルエンジンの不正問題に揺れるVWだが、日本に導入されているガソリンエンジン搭載モデルは今回の問題とは無関係で、プラグインハイブリッド(PHV)のGTEも今秋設定された。
まず、Cセグメント唯一の後輪駆動(FR)を採用するBMW1シリーズは、内・外装は変わっていないものの、走りや燃費を左右するエンジンが先述のとおり、直列3気筒ターボの1.5Lに変わっている。
パワーは必要十分
最高出力は136ps/4400rpm、最大トルクは220Nm/1250rpm-4300rpmで、1.6Lの4気筒エンジンを積んでいた従来モデルと比べると、220Nmの最大トルクは同値だが、従来型より低い回転数の1250rpmから4300rpmで発揮するトルクバンドの広さが特徴。
驚くほどパワフルではないが、街中はもちろん、山岳路などでも不足なく走ってくれる。走行モードを省燃費の「ECO PRO」にしても流れに乗って走る分なら、なんとか実用になる。
ただし、「必要十分程度」というパワー感にとどまるのは否定できず、「SPORT」モードに入れれば何とか面目を保てるという感じだから速さを求めるなら、120iをチョイスしたいところだ。
一方の燃費は、JC08モード燃費では従来から約10%アップの18.1km/Lに向上している。実燃費は、当然走行シーンによるがメーターの平均燃費は13km/L台を表示することが多く、カタログ燃費からすると妥当といえる数値を確保しているといえるだろう。
FRらしい素直なハンドリングが魅力
1シリーズといえば、「50:50」の前後重量配分(試乗車のBMW118iの車検証の数値は前前軸重が740kg、後後軸重が700kg)やFRによるBMWらしい「駆け抜ける歓び」を味わえる最も小さなBMWであるが、ハンドリングの面でも期待を裏切らない。
FRらしく回頭性に優れ、フロントノーズも軽さを感じさせる。高速道路の直進安定性はもう少し欲しいところだがこれだけ切れ味が鋭いコーナリングを披露してくれると納得できるところ。
後席の居住性や積載性は、ライバルと比べると若干譲るが、それでも走りの良さはさすがにBMWらしく、300万円を切る価格設定の118iシリーズはなかなか魅力的な選択肢といえそうだ。
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